人気芸人「ぼる塾」のメンバー4人によるリレーエッセイ連載。
当連載を1冊にまとめた書籍『思い、思われ、食べ、ぼる塾』(小学館刊)が好評発売中!メンバーが書籍のお気に入りポイントや見どころ、沖縄撮影でのエピソードを紹介しているので、詳しくは下記の記事をチェック♪
今回は、あんりさんのターン。
みんながみんな、憧れている漫画のヒーローのような存在になれるわけではない。でも、それでいいんだって思わせてくれる、仲間想いのあんりさんらしい優しいお話です。
「あんたの繊細さは短所じゃない、長所よ」by 田辺さん
CanCamをご覧の皆さま。いつもお世話になってます。
いきなりですが、最近のマイブームをご紹介。
夜中に泣ける動画や漫画を見て、号泣したあとの目を冷たいタオルで冷やす。
「なにを言ってるんだ?」
「あんりちゃんお疲れかな、大丈夫?」
ほとんどの人には理解されないだろうが、共感してくれる人が少しでもいたらうれしい。
これがすごく気持ちいいのだ。
サウナの後の水風呂みたいな感じ。
ほっとしてサッパリする。
ハッピーエンドの作品で泣くのがポイント。
自分じゃない誰かの人生に涙するのってなんだか気分がいい。
最近いちばん泣いたのが、『弱虫ペダル』。
ぼる塾の漫画好きといえば、酒寄さんや田辺さん。
ふたりは昔から漫画の話で妄想を膨らませて、楽屋の隅でニヤニヤしながらコソコソ楽しんでいました。
そんなふたりの会話を盗み聞きするのが、私の密かな楽しみでもある。
弱虫ペダルを教えてくれたのも田辺さん。
私自身も『鬼滅の刃』や『ONE PIECE』、『東京リベンジャーズ』、『クローズ』に『ドロップ』などなどそれなりに漫画を嗜んでいます。(少女漫画もたくさん読みます。)
そんな私は特に少年漫画に描かれている仲間の友情に憧れを持っていて、陰ながら仲間を守ってやりたいという願望が強いのです。
よく田辺さんが話してくれるのですが、私は坂道で転びそうになったはるちゃんを、片手でノールックで助けたことがあります。
そんなときも少年漫画の主人公気取りになって、私の気持ちは満たされています。
田辺さんがおやつの時間を楽しんでいるとき、はるちゃんが「さっきお弁当食べたのに、また食べるんですか?」とお節介をやき、さっきまで幸せそうだった田辺さんの表情がみるみる暗くなってしまうことがよくあります。
「うるせぇなあ!田辺さんがおやつ食ってあんたが太るのか?田辺さんが食ったら田辺さんが太るだけなんだから放っておけよ!」
いま自分の言葉を文章にしてみて、私田辺さんに結構なことを言ってるなと気づいたのですが、田辺さんはこんなときいつも、かよわいヒロインみたいな顔でこっちを見て、私をヒーローだと信じて疑いません。
私も文章にするまではなにも気づかず、仲間を守れていると満足しているのです。
ある日私がネタに対して傷つくような言葉を向けられたことがありました。
一緒にネタ作りをしている酒寄さんも、この言葉を向けられたらきっと傷つくだろう。
私はそれを絶対酒寄さんの耳には入れたくないと強く思いました。
その為に自分なりに一生懸命行動しました。
しかし、それは結局酒寄さんの耳に入ってしまいました。
酒寄さんの耳に入ってしまったと聞いたのは、田辺さんとステーキを食べているときでした。
私は酒寄さんを守れなかったことが悔しくて、田辺さんの前で初めて泣きました。
肉を噛みながら泣く私は、少年漫画の『トリコ』のキャラクターのように見えたと、あとで田辺さんに言われました。
私の涙がよほど衝撃だったのか、田辺さんは毎日私をなにかに例えてきました。
田辺さん「昨日のあんりは『東京リベンジャーズ』のマイキーみたいだった。覚悟が見えたね」
田辺さん「一昨日のあんりは『鬼滅の刃』の炭治郎みたいだった。優しかったね」
田辺さん「こないだのあんりは『ONE PIECE』のルフィーみたいだった。覇気出てた。私吹っ飛びそうだった」
私は結局酒寄さんを守れなかったのに、田辺さんは私をヒーローにしてくれました。
酒寄さん「あんりちゃん、田辺さんから聞いたよ。あんりちゃんの気持ちがうれしくて、私傷つく暇なんてなかったよ。本当にありがとうね」
酒寄さんも、なにもできなかった私に感謝をしてくれました。
はるちゃん「あんりー!たべっ子どうぶつ新しい味出てたよー!」
はるちゃんは知ってか知らぬか、何故かお菓子をくれました。
ヒーローになるのは難しい。
仲間を守るって簡単じゃない。
守るよりも守られることのが多いし、よかれと思ってやったことが逆に傷つけてしまうこともある。
大人になってから涙を流すことも結構難しい。
心のモヤつきから目を逸らすのに慣れて、自分が悩んでいることも見て見ぬ振りをする。
いちいち気にしていたら、とてもじゃないけど疲れてしまう。
向き合うことも大事だが、逃げることも必要だ。
だから、私は泣く時間を作って、涙にのせてモヤモヤも一緒に流す。
私はヒーローにはなれない。
でも、そんな私に「ありがとう」と言ってくれる仲間がいる。
それは私の強みだ。
ぼる塾にはヒーローが4人いる。
怒りん坊だったり、食いしん坊だったり、おバカだったり、ガリガリだったり、ひとりひとりはそんなに強くない。
ただ4人集まれば助け合える、最強のヒーローだ。
ぼる塾の単独ライブに一度来てみてほしい。
誰かがネタを飛ばしたときの助け合いが他のグループとはレベルが違う。
そんなところも見どころのひとつだ。
そんなところも許してくれるお客様こそ、ぼる塾にとって最強のヒーローだ。(あんり)
★ぼる塾連載は毎週日曜夜配信予定です!お楽しみに★
本連載から36回分のエッセイを厳選セレクトして掲載。巻頭には32ページにわたり、沖縄で撮影されたほっこり癒される4人のグラビアを収録。その他、ぼる塾自身が初めて語った「ぼる塾」についてのロングインタビューなど、ぼる塾の魅力が詰まった永久保存版!
書名:思い、思われ、食べ、ぼる塾。
定価:1,980円(税込)
体裁:288ページ ※とじ込みスペシャルステッカー付き/B6 変形判
発行:小学館
▼沖縄ロケのバックステージ動画もCanCamYouTubeチャンネルにて公開中!
▼バックナンバーはこちら!
第13回 あんりさんの回「あんりが分析!田辺さんがモテる理由」
第17回 あんりさんの回「できなかったことより、できたこと」
第21回 あんりさんの回「みんなへ伝えたいありがとうの気持ち」
第64回 はるちゃんの回「自分のわがままを詰め込んだYouTube」
『猫塾』と『しんぼる』が合体したお笑いカルテット。現在、酒寄希望さん(写真左)が育休中のため、きりやはるかさん(中央左)、あんりさん(中央右)、田辺智加さん(右)のトリオで活動中。
酒寄さんが育休中にnoteで書き綴った、笑えて心温まるぼる塾エッセイが書籍化!『酒寄さんのぼる塾日記』(¥1400/ヨシモトブックス)発売中。
©吉本興業/マガジンハウス
芸能界でも指折りのスイーツ通で知られる田辺さん初の書籍。『あんた、食べてみな! ぼる塾 田辺のスイーツ天国』(¥1,430/マガジンハウス)発売中。
『ぼる部屋』毎週木曜 24:15-24:25 KBC 九州朝日放送にて放送中。
『ラヴィット!』毎週月曜~金曜 8:00-9:55 ※月曜レギュラーTBS系にて放送中。
★公式YouTube 『ぼる塾チャンネル』
★個人公式インスタグラム 酒寄さん@jiujixiwang はるちゃん @kiriyaharuka あんりさん@f_y_e_b 田辺さん@chikaxxsweet
★個人公式Twitter 酒寄さん@no_zombie はるちゃん@shinboru1001 あんりさん@takobu7 田辺さん@chi0314ka
文/あんり(ぼる塾) イラスト/mame 構成/田中絵理子