人気芸人「ぼる塾」のメンバー4人によるリレーエッセイ連載。
過去の連載記事でもおしゃれを楽しんでいることについて書いてくれたあんりさん。でも実は洋服が嫌いで恨んでいた時期もあったんだそう。
そんなあんりさんが、心からファッションを楽しめるようになったきっかけとは？
「夏服を選びたいから一緒についてきてくれない？」by 田辺さん
CanCamをご覧のみなさま、盛り上がってますかー!?
ぼる塾のあんりでーーす！！！
現在ぼる塾は、絶賛5大都市ツアー中。
ツアーって響きがなんだか素敵でワクワクしています。
ミュージシャンを気取るなら、ツアー中の今しかない。
今日はしっかり私についてこいよ。
歓声があまり聞こえてこないので、調子に乗るのはこの辺で終わらせておきます。
すみませんでした。
調子にのるといえば、私の最近のマイブームは洋服を買うこと。
かわいい洋服が手に入ることが幸福であり、それが似合うということが奇跡のようで大切なのです。
(以後、うさんくさい言い回し気をつけます。)
私が洋服を買って楽しんでいるなんて、昔から私を知っている人は驚いていると思う。
私自身でも本当に信じられません。
子供の頃から、ふくよかだった私。
とにかく着られるサイズの服を探してばかりだった。
そんな私が小学三年生から小学六年生くらいのときに毎日着ていたお気に入りの服がある。
大きめサイズのオレンジ色のパーカー。
お気に入りポイントは、私が経験する初めてのぶかぶか。
まだぶかぶかだから、ずっと着られる。
まだぶかぶかだから、これからもいっぱいご飯が食べられる。
ぶかぶかは未来への希望。
本当に毎日のように着ていたから、オレンジ色のパーカーは次第に黒ずんでいった。
みかんだったら食べ頃を少し過ぎた、もうそろそろ食べなきゃの色。
英語の授業で好きな色を聞かれた時、青だと答えたらクラスメイトたちに「嘘つけ！！」と総ツッコミされたこともある。
それくらいオレンジ色のパーカーといえばあんり、あんりといえばオレンジ色のパーカーというイメージは定着していた。
後で気づいたことだけど、その頃友達からもらう誕生日プレゼントもオレンジ色のものが多かった気がする。
中学生になってもおしゃれには目覚めなかった。
お母さんが買ってくれた洋服を自分なりに組み合わせて、それがまた最悪にセンスの悪い組み合わせで、あれは立派な親不孝だったと思う。
思春期真っ只中、そんなダサい私の友達でいてくれた子たちには今でも感謝している。
でも、今でも忘れられない苦い思い出もひとつある。
中学生にもなると、地元で遊ぶだけじゃなくて渋谷や原宿に行ったりする子たちが増えた。
おしゃれなものがあふれた都会に精いっぱいのオシャレをして向かい、新たにおしゃれなものを吸収してくる。
そんなキラキラとした大人の階段をみんながのぼっていく。
私ものぼりたかったが、私には都会に着ていく服がない。
「原宿で遊ぶときはあんりを連れて行くのはやめよう。」
ある日、休み時間にトイレから戻った私に気付かずに友達がそう話しているのを聞いてしまった。
その友達は決して悪いコじゃなかった。
もしかしたら、そのコはそのコなりにおしゃれが苦手な私に気を遣ってくれていたのかもしれない。
一緒にいて楽しい思い出が山ほどあったし、悩みを聞いてくれたことだってあった。
でも、だからこそショックだった。
私がこういうとき悔しがっておしゃれを頑張れる人だったら、今頃ドン小西さんみたいになれていたかもしれない。
だけど、のちのぼる塾のあんりは大好きな友達にそんなことを言わせてしまった洋服を恨んだ。
洋服からしても迷惑な話だ。
それからはずっと洋服が嫌いな人生だった。
洋服を買うのは最低限必要な分だけ。
条件は着られるサイズであること、芸人を始めてからは安いという条件も増えた。
コンビ時代に着ていた漫才衣装も店で一番安かったオレンジ色のニット。(私やっぱりオレンジ色が好きなのかな。)
さあ、お待たせしました。
そんな私が洋服を好きになったきっかけ。
それは、テレビに出るようになってスタイリストの佐々木美香さんがかわいい洋服を着させてくれたから。
自分にも似合う服があることを教えてもらった。
佐々木さんがインスタグラムにぼる塾が衣装を着た写真を投稿してくれて、その写真の私は本当に楽しそうで、あんなに嫌いだった洋服をちゃんと立派に着こなしていた。
佐々木さんのインスタグラムに投稿されている写真を全部見てほしい。
全部の写真のぼる塾がいっぱいの笑顔で、洋服のおかげで抜群に輝いているから。
プライベートでのオシャレも、最初は佐々木さんから衣装を買い取ることから始めた。
似合うものを選んでもらっているのだから、悩む必要がない。
でも上下セットで買うわけじゃないから、自分が持ってるもので合わせなきゃいけない。
この服はこんな風に着るんだ。
私にはこんな色が似合うんだ。
自分がかわいいと思った洋服を着ているというだけで、こんなにも一日が充実するなんて。
たまに似合わない服を買ってしまっても、変な組み合わせをしてしまってもそれはそれで笑えた。
私はもう洋服を恨まなくなった。
似合う服がないと嘆いていた私も今では似合う服がありすぎてお金がかかると嘆いている。
今年も夏に向けてキャミワンピを三着も買ってしまった。
そして、これを書いてる今もちょいちょいネット通販のアパレルページを開いている。
やっぱり私、調子に乗ってますよね？（あんり）
★ぼる塾連載は毎週日曜夜配信予定です！お楽しみに★
▼バックナンバーはこちら！
第13回 あんりさんの回「あんりが分析！田辺さんがモテる理由」
第17回 あんりさんの回「できなかったことより、できたこと」
第21回 あんりさんの回「みんなへ伝えたいありがとうの気持ち」
『猫塾』と『しんぼる』が合体したお笑いカルテット。現在、酒寄希望さん（写真左）が育休中のため、きりやはるかさん（中央左）、あんりさん（中央右）、田辺智加さん（右）のトリオで活動中。
【出演】ぼる塾 （※酒寄さんの出演は東京公演のみを予定）
【日程】5月27日(金)東京(ルミネtheよしもと)18:30開場/19:00開演/20:30終演
＼東京公演オンラインチケット発売中！／
酒寄さんが育休中にnoteで書き綴った、笑えて心温まるぼる塾エッセイが書籍化！『酒寄さんのぼる塾日記』（¥1400／ヨシモトブックス）発売中。
©吉本興業／マガジンハウス
芸能界でも指折りのスイーツ通で知られる田辺さん初の書籍。『あんた、食べてみな！ ぼる塾 田辺のスイーツ天国』（¥1,430／マガジンハウス）発売中。
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