「ぼる塾」あんりの、尊敬すべき人たち【思い、思われ、食べ、ぼる塾。vol.5】

人気芸人「ぼる塾」のメンバー4人による新連載。
今回の担当は、一周まわってあんりさん!

改めて「ぼる塾」の紹介をすると、あんりさんとはるちゃんのコンビ「しんぼる」と、田辺さんと酒寄さんのコンビ「猫塾」が合体してできたカルテット。
幼馴染みのはるちゃんとの出会いを教えてくれた前回のほっこりエピソードに続き、今回は先輩である田辺さんと酒寄さんとの出会いについて教えてくれました。

第1回 あんりさんの回

第2回 酒寄さんの回

第3回 田辺さんの回

第4回 はるかさんの回

「酒寄さんってね、意外におしゃべりなのよ。」by田辺さん

CanCamをご覧の皆さん、お久しぶりです。あんりです。
前回は、はるちゃんとの思い出について語らせていただきました。
私の前回書いた記事をメンバーも読んでくれたのですが、はるちゃんは謎に無反応(多分忘れていた話だったんだと思います)、田辺さんは「なんかいいわね」とニュアンスで褒めてくれて、酒寄さんは「素敵だね。二人のことをまた知ることが出来てよかった。ありがとう」と優しい言葉をくれました。

私は、はるちゃんに誘ってもらわなければお笑い芸人という職業につくことはなかったと思います。

そして、田辺さんと酒寄さんに出会わなければお笑い芸人という職業を続けていなかったと思います。

まだぼる塾を結成する前、私とはるちゃんは「しんぼる」というコンビ、酒寄さんと田辺さんは「猫塾」というコンビでお互い別々に活動をしていました。

ぼる塾結成前の4人

猫塾さんは、しんぼるの2年上の女性コンビの先輩。
劇場デビューさせてもらってすぐに作家さんから「売れたいなら猫塾を越えろ。猫塾に勝て」と言われ、「猫塾?何それ?」とまだ知らない先輩と比べられて若干腹を立てていました。
そしてある日、私は猫塾さんの出番のとき、こっそり袖でネタを見学させてもらいに行きました。

変なTシャツを着たガリガリの短い髪の女性と、青い肩出しの服に白いスキニーパンツをはいて、腰にスカーフを巻いたキャッツアイのような格好をした大柄の女性。
舞台には何だか見覚えのある二人が立っていました。

「初めて見るのになんで知っているような気がするんだろう」。
大柄なキャッツアイが「まあね~」と髪をかき上げた瞬間、私は思い出しました。

実は吉本の養成所「NSC」に通うことが決まったとき、私とはるちゃんは無限大ホールでやっている若手芸人のバトルライブ『彩~irodori~』を1回だけ観に行ったことがありました。
猫塾さんはそのライブに出演していた芸人だったのです。
他にもたくさんの若手芸人が出演していましたが、私の記憶に残っていたのは猫塾さんのみ。

「コンビ名までは覚えていなかったけど、猫塾ってこの人たちだったんだ」。

袖で見る猫塾さんのネタは前に観たときよりも、さらに強烈でパワーアップしていました。
酒寄さんの独特でシュールな雰囲気とワードセンスや大喜利力(こんなん言ったら酒寄さん照れて嫌がるだろうな)、田辺さんの存在感、ふざけたことをやりながらもどこか上品さを感じる二人の漫才、観れば観るほど勝とうなんて気持ちはなくなって、気づいたらただの猫塾ファンになっていました。

とにかく猫塾さんにお近づきになりたかった私。

当時は坊主に近い短髪で楽屋にある喫煙所で信じられないくらいの猫背(ひらがなのしを逆にしたイメージ)で赤マル(※編集部注:「マルボロ」という赤いパッケージのタバコ)を吸っていた酒寄さんはどうしても近寄り難く、楽屋でステラおばさんの如く手作りお菓子を配り歩く田辺さんのほうにターゲットを定めました。

そしてご飯をいっぱい食べるという特技で田辺さんのお気に入りの後輩になることに成功しました。
週一くらいのペースで食べ放題に連れて行ってもらうようになり、後輩あんりの食べっぷりに先輩田辺さんは、それはそれはもうご満悦でした(田辺さんの食べっぷりにはいつも勝てなかったのですが、それはそれで先輩の威厳を保つことができたんだと思います)。

吉本の社員さんに食べ放題の『シズラー』に連れて行ってもらったときの3人

猫塾ファンの私としてはどうしても猫塾のネタについてのことも聞きたかったのですが、田辺さんはネタについてはノータッチであることは聞かなくてもわかりました(思えば田辺さんは、あのころからお気に入りのスイーツを熱く語ってくれていました)。

昔、猫塾さんもしんぼるも出演していた、渋谷の小さな劇場でやっていた大喜利トーナメントライブ『ギリギリプリンス』。
小さな劇場には収まらないくらい多くの芸人が出演して、全員が優勝を目指す中、私の目標はただひとつでした。

「隙をみて酒寄さんに話しかける!ネタのことを聞く!今日の私の戦いは舞台じゃない。楽屋だ!」

そして、楽屋の隅っこに佇む酒寄さんを見つけて、勇気を振り絞って話しかけました。

私「おはようございます!!!しんぼるのあんりといいます!!よろしくお願いします!!」

酒寄さん「…おは…ござ…す。…塾の酒…りです」

私「声ちっちゃ!!!!!!!(心の声)」

声をかけたのはいいものの、そこから一体何を話すべきかわからず、でも引くに引けない私はただ黙って酒寄さんの隣に立っていました。

私「あの、酒寄さんって映画は好きですか?」

10分くらいしてやっと再び声を掛けることができました。
どうして映画の話題をふったのかというと、劇場の壁に貼られたどこかの大学の映画サークルの自主制作映画『タイムトラベル』のポスターが、何を話すべきか考えている間ずっと目に入っていたからだ。

酒寄さん「うん。あんりちゃんはどんな映画が好き?」

やばい。
これ答えてセンスがないとか絶対思われたくない。
ギリギリプリンスの大喜利より100倍むずい。

私「…ダンサー・イン・ザ・ダークですかね」

暗い映画が好きなのがカッコイイと思えるお年頃だった。
言った後にそれがダサいと気付いてしまうお年頃でもあった。

酒寄さんがそれになんて言ってくれたかは思い出せない。
表情も見るのが怖くて見ることができなかった。

覚えているのはその後になぜか「あんまり親しくない人にあげるプレゼントでおすすめある?」と聞かれて、「レトルトカレーですかね」と答えたらすごく感心されたこと。

結局、後輩あんりは憧れの猫塾さんのネタについて聞くことは一度もできなかった。

酒寄さんと単独ライブのネタ作り中

だが今はそんな憧れの酒寄さんと一緒にネタを作っている。
本当に夢のようだと思う。

酒寄さんとのネタ作り始めてから、大嫌いだったネタ作りが好きになった。

酒寄さんはセンスの塊すぎて私なんかじゃ話が合わないと思っていたが、意外とつまらない冗談も言いまくって私を怒らせるし、今ではメンバーの中で唯一頻繁に個人ラインで無駄話する仲だ(他のメンバーとは基本グループライン)。

P.S. 田辺さんは、先輩から食べ放題仲間になりました。(あんり)

 

★ぼる塾連載は毎週日曜夜配信予定です!お楽しみに★

 

 

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ぼる塾 プロフィール

『猫塾』と『しんぼる』が合体したお笑いカルテット。現在、酒寄希望さん(写真左)が育休中のため、きりやはるかさん(中央左)、あんりさん(中央右)、田辺智加さん(右)のトリオで活動中。

©吉本興業/マガジンハウス
芸能界でも指折りのスイーツ通で知られる、田辺さん初の書籍が10月18日に発売!『あんた、食べてみな! ぼる塾 田辺のスイーツ天国』(¥1,430/マガジンハウス)
『ぼる部屋』毎週木曜 24:15-24:25 KBC 九州朝日放送にて放送中。
『ぼる塾の煩悩ごはん』毎週火曜 26:16-26:36 テレビ朝日系にて放送中。
『ラヴィット!』毎週月曜~金曜 8:00-9:55 ※月曜レギュラーTBS系にて放送中。
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文/あんり(ぼる塾) イラスト/mame 構成/田中絵理子