その親切…お節介?「気配り上手な愛される人」と「お節介な人」は、ココが違う!

あなたの周囲に「やってくれてること自体はありがたいんだけど、なんかちょっと鼻につくというか、押しつけがましいんだよな……」という人はいませんか?
自分ではいいことをしているつもりなのに、相手にはあまり良く思われないって、お互いにとってちょっと不幸ですよね。

そんな悲しいすれ違いはどうして起きてしまうのか、日本マナーOJTインストラクター協会代表や、マナースクール「グレース」の主宰を務め、あらゆる「マナー」や「気配り」について知り尽くしたプロ、笹西真理さんにお話をうかがいました。

 

◆気を遣われること自体が、気を遣わせる


もちろん人によっては、わかりやすく気を遣われるほうがいい、という人もいます。でも、多くの場合親切のつもりでの「気の遣いすぎ」は、ときに無意識のうちに人をイラッとさせてしまうことがあります。

例えば毎回毎回「お茶飲みますか? このお菓子食べますか? これやりましょうか?」と聞かれると、聞かれるほうも気を遣ってしまいますよね。「気を遣われる」ということ自体が、相手にとって気を遣わせていることに気づきましょう。

私はそれを「気遣い」と「気配り」と呼び分けています。「気遣い」は「私は気を遣っていますよ」ということを見える化して、わかりやすく相手に伝える。一方で気配りは漢字の通り「気配」です。見えないけれど相手に対して配慮がある、「~してあげたよ」という、押しつけがましくない行動、という違いです。

 

◆じゃあ、「気配り上手」ってどんな人?


たとえば私の実際の例を出しますね。私は自分が会社の代表をしている上司側の人間です。もちろん後輩たちはみんな可愛いことを前提にお話をしますが、その中に毎回「コーヒー飲みますか?」「これ食べますか?」と聞いていろいろとやってくれる子がいます。それはそれで嬉しいですけれど、実はそれよりも何も言わずにぽんとコーヒーを出してくれるほうが嬉しいし、「私もコーヒー淹れたのでよかったら一緒に」と言ってもらえると、こちらも気を遣わずに済みますし、気楽で嬉しい。

意識的にせよ無意識にせよ、「あなたのためにこれをやりましたよ」というダイレクトメッセージが多い人は、やっていること自体はいいことでも、受け手は嬉しい反面正直ちょっと疲れてしまいます。それよりは自然と、「自分のついでにやっちゃいました」くらいの人のほうが、気配り上手だと思います。

 

◆さらにタチが悪い「お節介」って何?


ちょっと押しつけがましい「気遣い」は、やってくれていること自体はまだいいことだとしても、まったく嬉しくさえもない「お節介」は本当にしんどいものです。

この「お節介」は、要するに相手目線に立っているようで立っていない「自分の気持ちの押し付け」であることが多いんです。「自分がこうしてもらったら嬉しいから、○○さんも嬉しいに違いない」と思って、相手のことや置かれた状況を考えずに行動してしまうことは、お節介になる。「あなたのためを思って言ってあげている」といった発言がお節介になりやすいのは、こういう理由です。結局、相手の目線で物事を考えられていないんです。

お節介をしているほうは完全に「いいこと」だと思っているのがまた厄介です。
この「お節介」は、なかなか気づいてもらえないことも多いので、「お節介は嫌だな」と思った時にはストレートに「今回はありがたく頂きますね。次回は予定もあるので、お気持ちだけいただきます」と伝えておきましょう。

 

◆気配り上手になるために必要なこと


いずれの場合でも愛される「気配り上手」に重要なのは、「相手の目線に立ってものを考える」ということ。今何をして欲しいかということは相手に聞けばわかることではありますが、聞かなくても相手の目線に立って、それを実行してあげる、ということが気配り上手の近道です。

「私は気配りが上手ではない」という方も、これからの日々でどれだけやるかで誰でも気配り上手になっていけます。まずは家族や仲のいい友人など、近い関係の人に1日1回でもいいので練習してみましょう。あたたかい言葉をかけるでもいいですし、「この人はこの行動をどういう思いでしてくれたんだろう?」と相手の立場に立ってみるところから始めるのもいいでしょう。そういうところから慣れていって、自然に気配りができるようになったら、そこから気になる異性や職場の上司などにやってみるといいと思います。

もちろん、こういったことを練習しなくても元々できる天才もいます。でも、努力をしている人には勝てません、努力は裏切りません。

どんなことでも、「今度取り入れてみよう」ではなく、「今やる」という最初の一歩の速さが重要です。「いつかたくさん頑張ろう」と思っているだけよりは、どんなに小さなことでもひとつずつ行動していくことが自分の身になっていきます。
だから、もし「気配りができる人になってみたい」と少しでも思ってもらえたのであれば、できれば今日から身近な人に練習を始めてみてください。

 

 

ここまで7回にわたってさまざまなマナーや会話術をご紹介してきましたが、どれにも共通するのは「練習をすること」。最初からできてしまう人はいるものです。けれど、正しいことを学んで練習し、努力をすれば、できるようになるものです。

そして、第3回でも笹西さんは言っていますが、「できなかったからといって、自分を責めないこと」。忙しかったり、自分に余裕がなかったり、マナーのプロである笹西さんでさえ、できない日もできないことももちろんある、と言います。そんなときにはできないことを責めるのではなく、「でも、これはできている」と、できている部分を認めましょう。
そうやって自分にも人にも優しくできて、あたたかいおもいやりのあふれる社会になることが何よりです、と、語ります。

気になることがあったら、是非今日から始めてみてくださいね。

 

笹西真理
(社)日本マナーOJTインストラクター協会(JAMOI)、株式会社トゥルース代表。国際線CA、大手コンサルティング関連会社を経て現在に至る。関東・関西・九州を中心にマナー講師を束ね、年間約3000本の人財育成研修を行う。ちょっとした気くばりや相手に合わせる「ユアペース」を掲げ、「思いやりの心を行動で表す」手法を教育を通して広く伝えている。

(社)日本マナーOJTインストラクター協会 www.jamoi.jp
マナースクール Grace www.grace-school.jp

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構成/後藤香織
撮影/BOORO(BIEI) ヘア&メイク/佐藤亜里沙 モデル/中村麻美(CanCam it girl)

 

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