あのフリー素材の人を、フリー素材の撮影をしながらインタビューしてみた【大川竜弥】

 

■フリー素材は「撒き餌」


大川竜弥

 

 やはりフリー素材である以上、なかなかお金に結びつかない活動も多いかと思うのですが、お金を生み出す戦略としてはどのようなものがあるでしょうか。

 あんまりちゃんと考えてないです。皆さん好きですよね、マネタイズっていうんですかね。そういうことは本当に何も具体的なものはないんです。よく訊かれるんですけどね。でも、そもそもマネタイズ考えてたらフリー素材やらないですよね(笑)。

 稼げそうだからやっているわけではないと。

 いつかはお金になるかな?くらいの感覚でやっています。露出が増えていけば、おのずと収入も増えていくであろうっていう。足りない分はバイトで補えばいいですし。

 そういう事情を一切隠さないのもそうですが、お話を伺っていて、まったくがっついていないというか、切羽詰まっていない姿勢に驚いています。

 現実問題、金銭的に切羽詰まるときもあるんですが(笑)、それを表に出してもしょうがないので。ボクシングの日本チャンピオンでもバイトしなきゃ食っていけない時代ですし、バイトも恥ずかしいことと思ってません。後々いいネタになればいいじゃないですか。

 なるほど。

 日雇いのバイトなんかをしにいくと、休憩時間にはだいたいみんなスマホをいじってるんですが、Gunosyなんかのニュースアプリを観てる人も多いんです。

で、ふと見るとたまに自分のフリー素材がアイキャッチに使われてるのが目に入ったりして。そういうときはさすがに、「ああ、俺のいるべき場所はここじゃない。早くあそこに戻らなきゃ」って思ったりはしますよ。

 「早くあそこに戻らなきゃ」の「あそこ」がニュースアプリの人、なかなかいないでしょうね。

 それに、最近テレビCMに出演する機会があったんですが、そのキャスティングの理由を伺ったら、企画書に僕のフリー素材が使われていて、この人でいいじゃんとなったらしいんです。

 そんなことがあるんですね!

 そうなんです。お金にならないだろうなと思いながらやっていたことでも、最近少しずつ仕事に繋がりはじめている。最近「フリー素材は撒き餌」だなって思うんですよ(笑)。

 

 

■使っている人も何も知らない「ぱくたそ」のこと


大川竜弥

 

 続いてぱくたその運営にまつわる話題を。ここからはすしぱくさんにもお話を伺います。どういった成り立ちで始まったサービスなんでしょうか。

 そうですね、ぱくたそ以前にも元々フリー素材サイトっていくつかあったんですが、もっと使いやすいものがほしいなと思って、じゃあ自分で作っちゃえ、という流れで個人ブログの延長として作ったのがぱくたそです。僕はカメラマンの他、デザイナーやエンジニアとしても動くことがあります。

 僕はモデル兼広報ですね。

 他にどんな人が運営スタッフとして携わっているのか、正直あまり想像がつかなくて。例えばそうですね、メイクさんなどは決まった方がいらっしゃるんでしょうか。

 はい、ほぼ運営側のスタッフとして密にコミットしてくださっている方がいます。とても優秀な方で、フリー素材というものがどういうものかというのを熟知した上で求められるメイクをしてくれます。

他には日々サイトの管理や更新を担ってくれている各種エンジニアの方もいますし、あとは法律面ですね。

 法律? というと?

 規約に違反した使い方をしている人や企業に対してどう対処するかというのを考えてくれるリーガルアドバイザーの方です。

 ああ、なるほど! 本当に各分野のスペシャリストの方が集結してらっしゃるんですね。

 うちはフリー素材界のアベンジャーズですよ。

 あと、本当にしっかりとしたライティングが必要なときは、モデルとして参加してくれているライターの方にお願いしたりとか。

そうやってぱくたその規模が大きくなるにつれ、いい具合にスタッフも頼りがいのある人が集まってきてくれているという感じです。今までずっとユーザー数も写真の枚数もスタッフも微増微増で来たので、「無理に成長させない」というのは念頭に置いて運営していますね。