【ぼる塾連載vol.165】今年の夏も振り返れば災難続き…!?あんりと「夏」の妙な関係

 

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今回は、あんりさんのターン。
皆さんには好きな季節、嫌いな季節、体に合う季節、合わない季節ってありますか?あんりさんにとって夏は、合わないけど、でも嫌いにもなれない季節なのかもしれません。

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「私が行く祭りは麻布の祭りだよ。麻布は庭」by 田辺さん

大嫌いって程じゃなかったかも。
決して好きではないけどね。
でも、もうすぐ「さよなら」なんだって思ったら、なんだか…ね。
寂しいとか恋しいとか、そんな大げさな気持ちじゃないけど、それに似た気持ち。

CanCamをご覧の皆さま、あなたの夏はいつまでですか?
私の夏は暑さが消えるまで。
何月であろうと、暑ければ夏なのです。
涼しい日が時々現れて、それでもまだ暑い日もあって、私の夏も終わりを迎えようとしています。

私と夏は昔から相性が悪い。
何が悪いって、とにかく体調が悪い。
大きめに体調を崩すのは、いつも夏だ。
世間が海開きやお祭りなんかで夏を感じている中、私はベッドで寝込んでいるときに「ああ今年も夏が来たんだな」と思う。
「夏の風物詩」が病では、好きになれというのが無理な話。
だから、夏はずっと嫌い。

今年の夏もいい夏ではなかった。
脾臓という臓器にウイルスが入り、1週間熱が下がらなかった。
最初はただの風邪だと思い、近所の内科の病院に行った。
いつもなら病院の薬をもらえばすぐ治るのに、熱は下がらず、なんならどんどん熱は上がるばかりで、また内科に再診に行って、大学病院を紹介してもらい検査をした。
インフルエンザでもコロナでもないウイルスで脾臓が腫れている状態なことがわかった。
そのウイルスに効く特効薬はなくて、自力で倒さなければならない。
熱が出るのは身体が必死にウイルスと戦っている証拠。
病院の先生にそう言われた後は、下がらない熱への不安や不満が少し楽になった。
「病は気から」というだけあって、それから順調に熱が下がる時間が増えてきて、1週間ほどで無事にウイルスに勝利した。

治って仕事復帰した途端、地方の仕事で足をブヨに刺された。
人生で初めての経験だったから、最初は蚊に刺されただけだと思った。
そしたら刺された箇所が熱を持って大きく腫れ出した。
この間まで脾臓が腫れていたのに、今度は足。
かゆみよりは、痛みと熱さ。
患部からの熱と夏の暑さも相まって、仕事中に軽い熱中症のような状態になってしまった。
移動の車の中で、氷で冷やしながら休ませてもらってなんとか回復した。
しかし、刺された跡は未だに治らず。

災難が続く前の、夏の思い出。
夏のはじめに田辺さんたちと行った函館旅行

今年の夏も、そりゃあもう散々でした。
それからは暑さを感じる度に夏への恨み言は止まりません。
夏なんて早く終われ。
夏なんてもうなくなってしまえ。
そんな私に抵抗するように気温は日に日に暑くなる。
あー嫌いだ、大嫌いだ、もうすでに来年の夏のことまで憎い。

だけど、涼しさを感じ始めると自分の夏への怒りも冷めてくる。

夏の終わりを告げる瞬間がいくつも訪れる。

蝉の声が聞こえない。
ハンディファンの充電が減らない。
電車で浴衣を着た女のコ達が降りた駅の祭りをググらない。
フレッシュネスバーガーを見つけたら、とりあえずライムソーダを確保しない。
ガリガリ君やスイカバーを食べるときに焦らない。
冷やし中華の文字を街で必死に探さない。

あれ、私意外と夏を楽しんでた?
いやいやいや、まさか、そんなわけないか。

ある日の午後。
田辺さんと私は同じ電車に乗ってそれぞれ別の仕事に向かう。
電車内にはもう半袖じゃない人も乗っている。
田辺さんは暑がりをカッコいいと思っているのか、私が長袖を着始めるのは2月からだと言っている。
何年か前には11月からだと言っていて、田辺さんが言う半袖から長袖に変わる時期は年々のびている。
本当のことは田辺さんの名誉のために言わないでおくけど、実を言うとそんなのどうでもいいし、皆さまも大して興味がないんじゃないかと思う。
田辺さんがそう言っているんだから、それでいい。

田辺さん「今日仕事終わりに、ラストとうもろこしでも観に行こうかしら」

私「どこの映画館に?」

田辺さん「いいえ。スーパーに。夏が終わっちゃうからね、食べとかないと」

夏が旬のとうもろこし。
夏の終わりに食べる最後のとうもろこし。
ラストとうもろこし。
田辺さんの感性が個性的なことは置いといて、私もなんで迷わず映画だと思ってしまったんだろう。
恥ずかしいから、誰か『ラストとうもろこし』って映画作ってくれないかな。

私「田辺さん、夏好きですもんね」

田辺さん「ええ」

私「でも、その割に夏は毎日暑がって文句言ってて、あんまり好きじゃなさそうですよ?しんどそう」

田辺さん「好きなんだけど、向いてはないのよ」

夏の風物詩、ハンディファンと田辺さん

田辺さんってなんだかオラフみたいだな。
それは口には出さなかった。

私「じゃあ夏が終わるのは嫌ですか?」

田辺さん「別に。秋がくるし。栗に芋。秋は秋で暴れるよ」

それは何月まで半袖という情報より、よっぽど信憑性のある言葉だった。

こんな何気ない会話も立派な夏の思い出だな。
だったら、こんな会話は私たちの日常に数えきれないくらいあふれている。

私の夏への気持ちが今年変わりました。
それが冒頭にある変なポエムです。(あんり)

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文/あんり(ぼる塾) イラスト/mame 構成/田中絵理子