雑誌の方針を決め、時代を作り出していく存在……それが、雑誌の編集長です。
そんな時代の担い手であるさまざまな雑誌の編集長にお話をうかがう「編集長インタビュー」シリーズ、今回は和の心を楽しむライフスタイルマガジン『和樂』の橋本記一編集長にお話をうかがいました。
日本文化は日本国内のみならず、海外にも広がりを見せているようです。
★インタビュー1回目はこちら→『和樂』編集長が的中させた2014年の大ブーム「○○文化」とは!?
Woman Insight編集部(以下、WI) 2015年の日本文化を考えるにあたり、重要なトピックとはなんですか?
橋本記一編集長(以下、橋本) 「琳派」と「高野山」ですね。
WI それぞれについて教えてください。まずは「琳派」はどのように重要なのでしょうか。
橋本 まず「琳派」とは、江戸時代初期に、本阿弥光悦と俵屋宗達によって創始された、大胆な構図や華やかな金地の画面など、美術にさほど詳しくない方が観ても、思わず「すごい!」と感じるパワーに満ちた美術の様式です。俵屋宗達『風神雷神図屏風』などが有名ですね。2015年はその「琳派」創成から400年、さらに琳派の代表的作家である尾形光琳の没後300年という節目を迎える年ということで、展覧会が目白押しです。
WI 高野山はどのように注目されるのでしょうか。
橋本 高野山は、空海が修行者の道場として開いた、仏教の一大聖地ですが、こちらは2015年に開山1200年を迎えます。4月から5月にかけて大規模な大法会も行われます。国内でもすでにたくさんのツアーが組まれていますし、日本のみならず世界中から観光客がやってきます!
WI なるほど、そのような理由なのですね。現在最新号の2015年1・2月号でも、“なぜ「琳派」はこんなに人気なのか!?”という特集が組まれていますが、高野山も2015年中には特集されるのでしょうか、楽しみです。さて、2015年、『和樂』はどのようなコンセプトを打ち出した雑誌づくりをしていく予定ですか?
橋本 「美術展(美術館)こそ、サイコーのエンターテインメントだ!」ということです。
WI そのこころを教えてください。
橋本 美術展は、わずか¥2,000もしない費用でじっくり1~2時間楽しめるし、「キレイなものが見られる」「知的好奇心を満たせる」「穏やかな気持ちになれる」もの。こんなに素晴らしいものは、busyな現代社会において、ほかにありません!
WI 『和樂』の今後の展望を教えてください。
橋本 2014年は、『和樂』にとって電子化元年でした。2020年の東京オリンピックで日本に再び注目が集まるまでに、『和樂』を核に、日本美術の総合ポータルサイトを作りたい、と考えています。そして、中国、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシアなど、アジアの中の知的階層に、もっと日本美術ブームを巻き起こしていきたい、という野望があります。
WI 海外にも! 「高野山」のときもおっしゃっていましたが、海外の方からの日本文化への注目度合いもますます高まっているのですね。
橋本 実際、『和樂』のFacebookページは、タイやインドネシアの方が非常に多く見ていただいています。これからの時代は「JKT48」もいいですが、「ADR84」です!
WI ADR84……?「Art Digital Revolution by84(はっしー=橋本編集長)」……?
橋本 さあ、なんでしょう! 『和樂』からの暗号クイズです。当てた方には何かいいことがあるかもしれません……。
ADR84……ADR84……いったいなんなのでしょう……と延々考えています。どなたか「きっとこれだ!」というものがわかりましたらお知らせください。まとめて橋本編集長にうかがってみます。
そんなお茶目な面もある編集長を筆頭に、ハイクオリティな写真と文章であらゆる日本文化をお伝えしている『和樂』(年間10号発行)。メイン読者層の年齢は50代前後ではありますが、最近は美術好き・日本文化好きの30代・40代の読者が急増中とか。さらにもっと若い世代が読んでも「そうなんだ!」「知らなかった!」と、自分が生まれ育った「日本」に対して、いつも新たな発見ができる雑誌です。どんな年代の方も、是非一度お手に取ってみてくださいね。(後藤香織)
★インタビュー1回目はこちら→『和樂』編集長が的中させた2014年の大ブーム「○○文化」とは!?
【編集長インタビューシリーズ】
※CanCam編集長が振り返った2014年の流行アイテムは……「○○靴」「○○ストッキング」「○○アクセ」etc.
※AneCan編集長が見通す2015年。”万人受けファッション”の次に来るもの
※ヒット企画からOggi編集長が紐解く、働く女性の”いまどき”のリアル
※ヒット企画連発、Domani編集長が予測する2015年春夏ファッションの行方
※Precious編集長インタビュー「2014年は○○の流行がラグジュアリー世代に新しい価値観を……」
※「メンズの2014年は”○○○”一辺倒」MEN’S Prescious編集長インタビュー
※『和樂』編集長が的中させた2014年の大ブーム「○○文化」とは
※SAKURA編集長が解説する、今どきママが大切にする「3つの軸」。
※NO.1美容誌『美的』編集長が語る、読者が求める”大人の色っぽさ”とは
【去年(2013年)の『和樂』編集長インタビューはコチラ】
★日本美術が大ブーム!和樂編集長が振り返る2013年「和」のニュース総まとめ
★現代は第二次ジャポニスム!和樂編集長「2020年まで日本文化ブーム続く」と語る
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