Precious編集長が明かす「早い人はもう脱トラッドして女らしいベーシックへ」

堅実ムードの20~30代とは少し違う、自分のための消費を活発に行う『Precious』読者

インタビュー(1)はコチラ→ Precious編集長が断言!「富裕層の“消費マインド”は完全に戻った」
インタビュー(2)はコチラ→ 仕事の合間にパッと3000万円の時計を買うPrecious読者層って?

知的で、財力も社会的地位もある“アクティブ富裕層”な読者たちに、雑誌としてはどんなことを仕掛けていくのか。引き続き、鈴木深編集長に教えてもらいました。

Precious編集長が明かす「早い人はもう脱トラッドして女らしいベーシックへ」

鈴木編集長(以下、鈴木) 定番スタイルの古臭さと新鮮さとの境目って、本当にちょっとしたバランスで変わってしまう。2月号で「スカート&靴の着こなしで、“女力”の差を検証」という企画をやったんですけど、元々のコーデは黒にグレーのスカートをバランスよく着ていて、上質な乗馬ブーツを合わせてる。これって上品でおしゃれな鉄板コーデだから、何年も続けがち。で、来年の冬もこうやって着る。ともすると再来年も同じように着てしまう。そういうふうに「これでいいわ」って安住していくと、どんどん老けていくんです。だから『Precious』は着こなしに「ちょっとした野心」をプラスすることを提案しています。

Precious編集長が明かす「早い人はもう脱トラッドして女らしいベーシックへ」

 

Woman Insight編集部(以下、WI) ハイブランドの上質なシンプルアイテムをひと通り手に入れても、そこにさらに進化を求めているのが『Precious』読者なんですね。「ちょっとした野心」とは具体的にどういうことですか?

鈴木 あくまでもシンプルで、上質なベーシックなんですが、“すべてが当たり前”では終わらせない、というスタイルです。例えば去年は、全身ハイブランドで揃えているのに、コーディネートの妙であえてトラッド風に落とし込むっていう企画をやりました。ひとつひとつのアイテム自体は普通なのに、足元に男っぽいウイングチップを合わせて、全身で見たらなんとなくトラッドな雰囲気になっていたり、トラッドなカーディガンにパールをじゃらづけして、靴もピンヒールを合わせて、ラグジュアリーに落とし込んだり。

Precious編集長が明かす「早い人はもう脱トラッドして女らしいベーシックへ」

 

Precious編集長が明かす「早い人はもう脱トラッドして女らしいベーシックへ」

WI ハイブランドのウエアだと、ついつい「そのブランドらしい」コーディネートになりがちですよね。

鈴木 ブランドの提案をそのまま出すのならカタログを見れば済むことだし、『Precious』ではやらないですね。若い世代の雑誌のように、いろんな嗜好の10万人とか20万人の読者を広くカバーしにいくのではなく、あえてターゲットを狭く狭く絞っています。掲載する商品も「なんとなくイイもの」を2個出すよりは、「絶対コレ!」っていう1つしか載せない。ターゲット層が狭いところなので、絶対に自信を持って提案できるものを厳選しないと刺さらないし、そうしているから読者が信頼してくれているんだと思います。

 

WI 2014年は『Precious』ではどういう提案をしていく予定ですか?

鈴木 僕らがよく言っているのは「ひとさじの女らしさ」です。例えば今、パリコレのフロントロールに座っているアナ・ウインターみたいな方は、ワイルドでラフなスタイルをほとんどしてないんです。基本はラグジュアリーで、スカートにパンプスっていうきちんとした格好で「女っぽさ」が超・重要になっています。トラッドとか男靴っていうのは、今まさに旬でみんな履いてるけど、もうちょい先行ってる人々は、すでに「女らしさ」に戻ってる。個人的にはワイルドな女らしさっていうのは、大人の女性としてはどうなのと思うので、いい傾向ですよね。『Precious』も5月号でスカートの大特集をやりますよ。

 

WI どの世代もスカート大旋風ですが、『Precious』ではどんなスカートの形を推していく予定ですか?

鈴木 ちょい長めになっているクラシカルタイトははずせないですね。トレンドはミディカーフ丈とか言ってるけど、あれはハッキリ言って難しい。どんなハイヒールを履いたって、スタイルをよく見せるのは難しい。あと、少し後ろがふわっとしたり、裾がなびいたりしている程よくモードなスカート。その2極化かなと思っています。それにパンプスを合わせるスタイルですね。雑誌的には、あくまでもがっつりトレンドを追のではなく、「ひとさじ」加減を大切にしていきたいです。

 

WI ほかに2014年のトピックスはありますか?

鈴木 今年は『Precious』の10周年なので、ハイブランドとコラボして、あり得ないくらいラグジュアリーなアイテムをオリジナルでつくって読者プレゼントする予定です。4月号から12月号まで毎号のようにバンバンやりますよ! すごいブランドのラインナップですし、200万円~300万円相当のものです。楽しみにしていてください。

 

街を歩いていても目に見えづらい、『Precious』読者のようなアクティブ富裕層。「お金持ちは今、お金使っているらしいよ」というふわっとした伝聞でしか知りませんでしたが、そのマインドや、それに応えるべく真剣に向き合う編集部の提案の鋭さを、インタビューを通して理解することができました。『Precious』10周年の読者プレゼント、こそっと応募してしまおうかしらん!?(安念美和子)

 

Precious2014年2月号表紙

(『Precious』2014年2月号)

 

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