日本美術が大ブーム!和樂編集長が振り返る2013年「和」のニュース総まとめ

2013年は、世界が日本に熱い視線を向けた年でした。日本中がわいた2020年の東京オリンピック決定、富士山の世界遺産登録、そして日本美術ブーム。和の心を楽しむライフスタイルマガジン『和樂』の橋本記一編集長に、『和樂』本誌記事と重ね合わせて2013年の日本文化総振り返りをしてもらいました。

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【1】伊勢神宮・出雲大社の遷宮が重なった奇跡の年!

まずひとつめは、伊勢神宮と出雲大社という、日本を代表するふたつの神社の遷宮が重なった年だということ。伊勢神宮は20年に1度、出雲大社も60~70年に1度なので、このふたつが重なるというのは奇跡なんです。ワイドショーをはじめ、各種メディアで話題となったこともあり、観光客も増えました。『和樂』では2013年1・2月合併号で他に先駆けて神社特集を行い、ヒット企画となりました。現在発売中の2014年1・2月合併号でも神社に関する別冊を付け、「そもそも神社にお参りすることはどのような文化的な意味があるか」を深く追求しました。

 

【2】子どもはピカチュウ、大人の女性はジャクチュウが大人気!

『和樂』2013年4月号で特集した江戸時代の日本画家、伊藤若冲のブームがありました。伊藤若冲のコレクターで知られる日本美術愛好家のジョー・D・プライスさんが「なんとしても東北を支援したい」ということで、若冲を中心とする江戸時代の絵画展を仙台、岩手、福島で開きました。そして、それぞれの美術館で記録的な集客があったのです。若冲の人気の理由ですが、まず絵が圧倒的にうまい。いろいろな絵の手法があり、キャラクターづくりがうまい。江戸時代のものなのに、現代っぽいデザイン性の高さがある。それから写実の力があり、細密な極彩色の絵も非常に上手。小学館の子ども向け雑誌ではピカチュウが人気ですが、婦人誌では若冲(ジャクチュウ)の記事を掲載すると軒並みヒットとなっているようです。

 

【3】歌舞伎座がリニューアルオープン!

2013年は、銀座の歌舞伎座が新装オープンし、「歌舞伎」そのものが注目されるきっかけとなりました。こけら落とし公演にもたくさんの方が来場していました。『和樂』では、フランス芸術文化勲章コマンドゥール章をはじめ、各種文化賞を受賞している人間国宝、坂東玉三郎さんに歌舞伎座を案内していただいた記事を2013年6月号に掲載したところ、大反響をいただきました。大人の女性に歌舞伎ブームが広がっていきました。

 

【4】富士山が世界文化遺産に登録!

2013年は、富士山が世界文化遺産に登録され、さらに「和食」が世界無形文化遺産に選ばれることが決定的となった年です。日本で一番高い山が日本で一番美しい山というのは、ともかくすごいこと! もちろん『和樂』でも富士山の美しさに関して掲載しましたが、それ以外にも日本には美しいものがもっとあるのでは、と探し続けてみましたところ、246個発見しました。手工芸品、風習、きもの、お漬け物などの食べ物、あるいは「お辞儀」さえも美しい日本の文化です。これらの世界に誇れる日本の美しいものを探し出し、特集した号はヒットとなりました。

 

【5】“日本は文化こそが最後の砦である”と実感!

先日お会いした世界的建築家の安藤忠雄さんが「日本は文化こそが最後の砦」とおっしゃっていました。日本は経済大国・技術立国と言われてきましたが、経済はアジア各国がどんどん追いついて、技術も今や日本より進んでいる国もあるのではないかと思います。その中で日本の文化は他にそう簡単に乗り越えられない、世界に誇る文化だということを、この1年間様々な記事をつくりながら思いました。そんな美しい文化をきちんと守っていかなければいけない。そして、2020年のオリンピックに向けてますます世界が日本文化に興味を持つこの時代に、『和樂』は日本文化の他にはない素晴らしさを、さらに強く伝えていく仕事をしていこうと思っています。

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お話をうかがっている中で、橋本編集長は「2013年は日本美術ブームの年、ではなく、日本美術ブームが始まった年」「現代は“第二次のジャポニスム”の時代となっている」など、2014年に向けて気になるワードが出てきました。では、2014年、そしてその先の未来に向けて、日本文化はどのようになっていくのでしょうか? 次回で引き続き橋本編集長に予測してもらいます。(後藤香織)

和樂2014年1月号表紙
(『和樂』2014年1・2月合併号)

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