スマホひとつで何でも調べられる今。便利なはずなのに、大量の情報の中から「正解」を探し出そうとしすぎて疲れたり、SNSやAIの意見に引っ張られて「私って本当はどう感じてるんだろう?」と分からなくなる瞬間、ありませんか?
私・ライターMもそのひとり。ネット上の「こうあるべき」「○○しないとダメ」という断定的な言葉に振り回され、いつのまにか“自分軸”がぼやけてしまって。過去を後悔したり、まだ起きていない未来を心配したり…メンタルが不安定になった時期もありました。
そんなこんなで半年前に試してみたのは、自分の今の気持ちを書いて整理する『ジャーナリング』。最初は「こんなので変わるはずがない」と思っていたものの、1日10分だけ自分と向き合うことで感情が見える化されて、だんだん自分らしさを取り戻せるように。
ここでは、ジャーナリングを始めた理由や、半年続けて感じたメンタルの変化、そして毎日続けやすい書き方のコツまで、私自身の経験をもとにお話しします!
「思考のぐるぐる」から抜け出したかった話
ジャーナリングを始める半年前までも、モヤモヤするときには紙やスマホに簡単に書き起こしたり、家族や友達に聞いてもらったりして言葉にしていました。
ただ、これらはあくまで一時的なガス抜き。ちゃんと自分に向き合えていたかというと、どこか気持ちにフタをしたままやり過ごしていただけのようにも思います。
それから20代後半になり将来を考える時間が増えたことで、ネットで調べては「もっとこうしていれば良かった…」と過去を巻き戻したり、「これからどうしようかな」「このままで大丈夫?」とまだ起きていない不安が膨らんだり。“今”の自分が置き去りになっている感覚があったんです。
そんな思考のぐるぐる状態から抜け出すヒントは、意外にもシンプルでした。
日々の中で「私はどう感じてる?」「本当はどうしたい?」と、頭を整理する時間を設けること。意識的に思考を“今ここ”に集中させるタイミングがあれば、余計な力がふっと抜けて視野が広がり、自然と自分らしい選択をしていけるのではないか、と。
このシンプルな問いかけを習慣にするための具体的な方法が、ジャーナリングでした。
最初は1週間で挫折。「これって意味ある?」と迷走…
そうして始めたジャーナリング。でも正直に言うと、最初から上手くいったわけではありません。
「自分と向き合うぞ!」と意気込んで、30分くらいかけて思い浮かんだ感情や出来事をじっくり書き出していました。モヤモヤを吐き出せて「自分、こう思ってるんだ」なんてスッキリしながらも、5日目くらいにふと「また同じようなこと書いてない?」「何のためにやってるんだろう?」と、出口が見えない迷路のような感覚に。続ける意味がわからなくなってきたんです。
そこで気づいたのが、「ただ書くだけじゃダメなんだ」ということ。書いた先で、気づきにつながるちょっとしたコツや流れが必要でした。
後ほど紹介する5つのステップを試してみると、「繰り返してるだけ」と思っていた気持ちの中にも、自分の“思考パターン”がちゃんとあることに気づけるように。そうして半年間(エネルギー不足でサボることもあるけれど)、ジャーナリングを続けることができています。
ジャーナリングを半年続けて起きた“3つのメンタル変化”
日々過ごしているとメンタルが落ち込む瞬間もありますよね。以前の私はネガティブな感情が湧いてきたとき、「できるだけ気にしないようにしよう」と見て見ぬふりをしがちでした。でも、それでは根本的な解決にはならず、むしろ静かに不安が大きくなっていくだけ…。
ジャーナリングを続けて分かってきたのは、悩みが多いときは、過去と未来に意識が引っ張られているということ。だからこそ「今、この瞬間」に意識を戻すこと(マインドフルネス)で、
・過去の経験からくる固定観念が薄れる
・未来に対する不安フィルターが外れる
これを半年続けた結果、少しずつ次のような変化が現れてきました。
①感情に振り回されにくくなった
書き出すことで、自分の感情をそのまま眺められるようになり、出来事を冷静にとらえる余裕が生まれました。「もう無理…」と反射的に落ち込むのではなく、「じゃあどう対処しよう?」と一歩引いた視点で考えられる瞬間が増えてきました(とはいえ、まだまだ修行中!)。
②迷いすぎる時間が減った
「私はどうしたい?」「どちらが心地いい?」という自分の軸がハッキリしてきたことで、判断がスムーズに。人間関係のちょっとした選択や、行動する・しないの判断も、以前より直感的に決められるようになりました。
③気持ちを前向きに切り替えやすくなった
頭の中を占領していたモヤモヤが紙の上に移ったおかげで、心のスペースにゆとりができ、「こんなことやってみたい」という前向きな気持ちが自然と湧きやすくなりました。週末の予定など、小さなアイデアも出てきやすくなった気がします。
書く時間は“10分”がちょうどいい
私がジャーナリングを書くのは、だいたい夜のスキマ時間。その日にあった出来事や散らばった思考をふり返るのにちょうどいいタイミングです。
最初にタイマーを使って5分、10分、15分…といろいろ試したところ、10分がベストでした。
・のめり込みすぎず
・思考の整理もできて
・生活の中に無理なく取り入れられる
短すぎず長すぎず「よし、やろう」と思える絶妙なラインです。
ちなみに私は「何時にやる!」「毎日必ずやらなきゃいけない」と決めていません。気分やスケジュールに合わせて、ゆるく自由に続けるほうが性に合っていて、結果的に習慣として定着しました。
◆続けやすくなるミニTips
個人的に続けるコツとして、以下の3つを取り入れています。
・手書きで思考とペースを合わせる
紙に書くと、スマホやPCで打ち込むより時間がかかるので、そのぶん「思考とアウトプットのペースがそろう」感じが好きです。しっかり心に向き合えている感覚があります。
・ノートは机の上に置きっぱなし
すぐ手に取れる場所に置いておくと、モヤモヤが湧いた瞬間にサッと書けるので習慣として根づきやすいです。
・お気に入りのノートでモチベーションUP
今使っているのは、イギリスのお土産でもらったカラフルなノート♡
これくらいカジュアルなデザインのほうが、心なしか「ちゃんと書かなきゃ」ではなくて、「あ、書こうかな」くらいの軽い気持ちで手に取れます。
続けるための環境は整えたところで…ここからは、具体的にどう書いていけばいいのか、個人的な“ジャーナリングの5つのステップ”をご紹介します!
【実践】ジャーナリングの基本的な5つのステップ
主にストレスや不安を感じたとき、大まかに「感情 → 思考 → 発想転換 → 自己承認 → 学び」の流れで、こんなふうに進めています。
Step2:その感情に対し「なぜ?」と【思考】する
Step3:本当はどうしたい? と希望を書き【発想転換】する
Step4:自分を褒めて【自己承認】する
Step5:ここまでの理解や発見など【学び】を言葉に
Step 1:【感情】「自分を困らせていることは?」今この瞬間の気持ちをはき出す
頭の中を占めているモヤモヤを、思いつくままに紙に書きます。
このステップの目的は、自分の奥に“つっかえている”ものを出し、ひとまず脳をクールダウンさせること。「人に話すと気持ちがふっと落ち着く」のと似たような感じですね。
「私はこう感じている」と言語化することで、ありのままの自分を受け入れる準備ができます。
★なぐり書きでOK。きれいな文章にしようとせず、「イライラ」「不安」といった単語でも、文が途切れても大丈夫。感じたことを外に解き放つように、思うままにペンを走らせてみてください。このステップでは「なぜ?」と考えずに。
例)SNSを見てたらネガティブになった。「みんなは先に進んでいるのに、私は何も達成できていない」ってふと感じて不安になった。誰かと比べたいわけじゃないけど、「普通はこうあるべき」みたいな基準に引っ張られて焦る。
Step 2:【思考】「なぜ?」を書き出して問いかける
Step 1で出した感情に対し、「何でこう思うのだろう?」「どんなときに思った?」など、客観的にインタビューをするように深掘りしていきます。
ここは、感情と自分の間にスペースを作り、考える方向へシフトしていく工程。日々繰り返すうちに“モヤモヤの正体”や“ストレスが起こりやすいパターン”が見えてきます。
★つい深く潜りすぎてしまうことも。そんなときは「今日は5行だけ」「3分だけ書く」など、小さなルールを決めるのがおすすめです。どうしても自分の人格を否定するようなマイナスな言葉しか出てこないようなら、無理に続けず2~3日休むのもコツ。
★他人の発言や感情についてはサラッと流して、この時間はあくまで自分のために使ってあげてください。
例)
・なぜ焦りを感じたんだろう? → 他人のペースをそのまま自分の指標に置き換えてしまうクセがまだ残っているから。
・そもそも私は何に不安を覚えている? → 「進んでいないように見える自分」を恐れている。でも、それは他者の物差しで見たときの話であって、私自身の価値とは関係がないはず。
・いつこういう感情が強まる? → 情報に触れすぎて、自分の状態を確認する余白がないとき。
Step 3【発想転換】「本当はどうしたい?」希望を言語化
「すべき」「しなきゃ」という義務感や世間的な見え方ではなく、「本当はどうなりたい?」「やりたいことは?」という自分だけの希望を書き起こします。
ここでは、ネガティブな気持ちの裏側にある“本当の願い”に目を向けていきます。
★思いつかない…という人は、1年後、3年後とか大きな話にかぎらず、「1か月先」「来週」といった近い未来に焦点を当てると、現実的な本音が出てきやすいです。
例)
本当は、外側の基準に振り回されるのではなく、自分が昔から静かに積み上げてきたものを丁寧に扱いたい。自分のペースを尊重して「今日はこれで十分」といえる感覚を育てたい。そのうえで行動量と知識を増やして、昨日の自分に誇れる今日を過ごしたい。来週はSNSをログアウトして、情報の量を絞ろう。ラテアートがおいしそうなカフェでゆっくり勉強する時間を作ってみよう。1か月、英語のシャドーイングを続けてみよう。
Step 4【自己承認】「自分を褒められるポイントは?」プラス思考の時間
ここで一旦これまでの話題から逸れてもいいので、「できたこと」「最近ちょっと頑張ったこと」「人から褒められたこと」を書き出して、自分を認めていきます。
ストレスが大きいときほど、私たちは自分の努力や良いところを見落としがち。だからこそ、あえて“できたこと”を言葉にしていくと、考え方が自然とポジティブなほうへ傾いていくはず。
★大きな成果でなくてOK。むしろ、日々の中でのちょっとした頑張りや感謝されたことを思い返したほうが、毎日のモチベアップにつながります。
例)
・揺れた気持ちをごまかさず、こうして言葉にして向き合えたこと。
・誰かの正解をそのまま採用せず、「私はどう感じている?」と問い直そうとした姿勢。
・最近、アラームを止めて5分以内に起き上がれている。すごい。
・「前より明るくなったね」「話しやすい」と褒められた。少しずつ心の余白が戻ってきているのかもしれない。
Step 5【まとめ】「どんな発見があった?」最後にひとことメモ
Step1〜4を書いた中で見えてきた理解や小さな発見をアウトプットするステップ。
ジャーナリングが“ただ気持ちをはき出して終わり”にならず、自分の取り扱い方が少しずつ見えてきて、未来の自分がラクになるヒントになります。
★深く考えこまず、ふわっと書き留めるくらいの軽さで十分。
例)
・「これも経験だな」と思える瞬間が増えてきた。
・人にはそれぞれのペースやタイミングがあって、成果って突然出るものじゃない。少しずつ積み上げた先に見えてくるものなんだと思う。
・周りをよく見てみると、SNSみたいに完璧な人なんてほぼいない。焦りすぎなくても大丈夫。
・「あの時こうしていれば」と思うのは、過去からレベルアップしているから。経験値が増えた今の視点。
・悩んだり立ち止まったときは、「人生頑張ってるな」くらいのゆるさを持ちたい。
◆書いた後の「読み返し」でさらに効果UP
ここから、1週間・1か月後に読み返して「変化」をたびたびメモしています。成長を見える化できるとマインドも上がります。
ただし、疲れているときにStep 1,2(感情・思考)を読むとエネルギーが吸収されてしまう可能性大。そんなときはStep 3〜5(発想転換・自己承認・まとめ)の見返しがおすすめです。
私自身「自分、こんな考え持っていたんだ」「あの頃からこういう行動が生み出されたんだ」と客観視できたことで、少しずつ自分の軸が定まってきているのを実感できています。
…とはいえ、まだまだ迷うこともいっぱい。人によって合う・合わないもあると思いますし、これはあくまで私個人のやり方です。
ただ、もし「なんだか自分がわからなくなってきた」「思考がまとまらない…」と感じている人がいたら、よかったら試してみてくださいね!






