春先は一年の中でもとくに身体への負担が多い時期。寒暖差や新生活のストレスなどにより、疲れや冷え、肩こりといった不調を感じやすいんです。これを対処しないでおくと『春バテ』に陥ってしまう可能性大…!
そこで今回は、漢方医学や自然・食事療法の専門医・石原新菜先生のご協力のもと、冬から春の季節の変わり目にしておきたい「春バテ」対策についてご紹介します。
教えてくれたのは…
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石原 新菜先生
医師・イシハラクリニック副院長。2006年3月卒業後、大学病院で2年間の研修医を経て、現在は父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書は13万部を超えるベストセラーとなった「病気にならない蒸し生姜健康法」をはじめ70冊を数える。
Contents
【調査】約6割が季節の変わり目に不調を感じていた!
まずは全国2,350人に季節の変わり目の体調について調査したところ、約6割がなんらかの不調を感じている結果に。身体の不調を感じやすい時期は「秋から冬(64%)」が最も多く、次いで「冬から春(52%)」でした。
◆石原先生のコメント
「秋から冬、冬から春は体調を崩しやすい季節です。それはやはり、日中の寒暖差、気圧の変化、特に冬から春にかけては生活環境などが変わることから、心理的なストレスが多いということが挙げられます。
若い方の方が、仕事が忙しかったりストレスを感じやすい環境にあることや、子育てをしていたり、生活でも疲れが溜まっている可能性があります。また運動不足や、湯船につからない、睡眠時間が短いなどの生活習慣も影響します」
不調の症状TOP3は…「疲労感」「冷え」「肩こり」
季節の変わり目に不調が出る人に症状を聞いたところ、「疲労感・倦怠感(45%)」が最も多く、次いで「冷え(44%)」、「肩こり(34%)」がランクイン。さらに不調の原因は何だと思うか聞くと、「ストレス(51%)」「寒暖差(50%)」が多い結果になりました。
◆石原先生のコメント
「季節の変わり目は寒暖差や気圧によって自律神経が乱れるため、体温調節がうまくいかなくなったり、良い睡眠が取れなかったり、気分が落ち込むなど、疲れやすい状況に。また寒暖差が大きいことによって、自律神経のうち交感神経が寒さに対して働くため、血流が悪くなり、肩こりなどの症状が出やすくなります。
女性はもともと筋肉量が少ないため、冷え性になることが多いです。さらに、ホルモンバランスの変化によって生理前にむくみやPMsの症状もあるので、女性の方が冷えに対して影響を受けやすいです。近年では筋肉量の低下が男女ともに見られ、男性も冷えに悩む方が増えています」
4つ以上当てはまったら要注意!春バテ診断テスト
冬から春の季節の変わり目に、身体の疲れや冷え、肩こりなどの症状が起こりがちな人は、もしかしたら春バテになっているのかも。以下の「春バテ診断テスト」から自分が春バテになりやすいかどうかチェックしてみましょう。
- 環境の変化にストレスを感じやすい
- 入浴をシャワーで済ますことが多い
- 日光を浴びずに過ごす日がある
- 身体を動かす習慣がない
- 麺類やファストフードをよく食べる
- 肩こりや腰痛が続いている
- 食欲がわかない時がある
- 寝つきが悪い
いくつ当てはまりましたか? 3つ以下なら問題なし。4つ以上の場合は「春バテ予備軍」…!
それぞれの項目について、石原先生に解説と予防法を教えていただきます。
1. 環境の変化にストレスを感じやすい
ストレスの要因は心理的なものや物理的なものなどさまざま。ストレスを放置すると、心身の不調を引き起こしやすくなります。ストレスに耐える必要はありません。疲れを感じたら休憩する、寒いと思ったら上着を羽織る、これだけでストレスを回避できます。ストレスで身体に負担をかけない工夫をしましょう。
2. 入浴をシャワーで済ますことが多い
時間がないからとシャワーだけで済ませていませんか? シャワーでは身体が温まらず、疲労を溜め込んでいる可能性大。湯船につかることで身体の冷えを防ぎ、不調を改善する効果が期待できます。40度程度のお湯に10〜15分つかれば十分。汗が出てきたら身体が温まった証拠!
3. 日光を浴びずに過ごす日がある
日光を浴びることで「セロトニン」と呼ばれるハッピーホルモンを分泌するため、一日中日光を浴びずにいるとストレスを感じやすくなります。デスクワークの場合、短時間でもいいので朝日を浴びる習慣をつくって。
4. 身体を動かす習慣がない
階段で息切れしているのなら、運動不足で筋肉量が低下し血行不良を起こしているかも。冷えを改善するためには下半身を中心に筋肉をつけましょう。運動する機会がない方は、1日おきに30回程度のスクワットがおすすめ。
5. 麺類やファストフードをよく食べる
麺類やファストフードは手軽な反面、栄養バランスの偏りが心配です。不足しやすいタンパク質やビタミン・ミネラルを意識して摂ることが大切。納豆や味噌汁、キムチ、漬物、ヨーグルト、甘酒など、栄養満点の発酵食品を積極的に食べると◎。
6. 肩こりや腰痛が続いている
肩こりや腰痛といった症状は、血行不良の証。肩こりはデスクワークやスマホの長時間使用、腰痛は長時間の立ち仕事が原因のひとつなので、適度なストレッチやエクササイズで血流を促しましょう。
7. 食欲がわかない時がある
毎日ストレスが多い日々を過ごしていませんか? ストレスがたまっていると、食欲増進や消化を促す身体の機能が働きません。食欲がわかない時は無理して食べなくてもOK。まずは、心が穏やかに過ごせる環境をつくりましょう。
8. 寝つきが悪い
疲労回復のために良質な睡眠は必須。就寝の1時間〜30分前までに入浴を済ませると、身体の深部体温が下がり眠りにつきやすくなります。日中は身体を動かして適度に疲れておくことも大切。
自己流の健康法してない?正しい「春バテ対策○×クイズ」
石原先生監修の「正しい春バテ対策 ○×クイズ」にトライ! 以下の1~8の質問について○×で回答してみましょう。
- 水分を多めに摂る
- アルコールの摂取はできる限り控える
- 1日3食欠かさず食べる
- 普段から肌着を着る
- 気分転換にチョコレートを食べる
- 外出時は暖かい日でも上着を携帯する
- 42℃以上の熱めの風呂に入る
- 就寝時には靴下を重ね履きする
回答し終わったら、クイズの正解と石原先生による解説を次に見ていきましょう。
1. 水分を多めに摂る
正解:×
余分な水分が体内に溜まってしまい、漢方医学でいう「水毒」と呼ばれる状態に。水を飲んでデトックスするつもりが老廃物をためこむことになり、冷えや代謝の低下を引き起こしてしまいます。のどが渇いた分だけ飲みましょう。
\「白湯にちょい足し」で、さらなる効果!/
白湯を飲む習慣があるなら、生姜の絞り汁や生姜の粉末、シナモンの粉末などをプラスして、ちょい足し白湯で飲むとリラックス効果◎。白湯だけでなく普段の食事や飲み物に薬味やスパイスをちょい足しすると、身体を温めてくれますよ。
2. アルコールの摂取はできる限り控える
正解:×
過度な飲酒は身体に毒ですが、お酒を断つ必要まではありません。日本酒や、焼酎、梅酒、赤ワインなど「陽性食品」に分類されるお酒であれば、身体を温める効果アリ。
3.1日3食欠かさず食べる
正解:×
運動量の少ない現代人は今、食べすぎの状態。食べすぎると胃腸に負担がかかり、血流が悪化し体内に老廃物がたまっていきます。正しい食生活とされる1日3食は育ち盛りまでの話。習慣に囚われず、お腹の空き具合にあわせて食事をとって。
3. 普段から肌着を着る
正解:○
肌着は地肌と衣服の間に空気の層をつくり、保温効果を高めます。寒暖差から身体を守るコツのひとつ!
4. 気分転換にチョコレートを食べる
正解:○
チョコレートのカカオポリフェノールには血管を広げる効果があります。脳への血流を改善し、疲労解消にピッタリ! また仕事中のおやつはストレスから離れるきっかけにもなるので、おやつタイムを意識してつくりましょう。
5. 外出時は暖かい日でも上着を携帯する
正解:○
春先は一年の中でもとくに昼と夜の寒暖差が激しい時期。日中は暖かくても、日が暮れると一気に冷え込みます。身体を冷やさないためにも上着を携帯すると安心。
7.42℃以上の熱めの風呂に入る
正解:×
熱めの湯船は、湯上り後の汗でかえって体温を低下させてしまいます。40℃のぬるめのお湯で10~15分程度の入浴を目安に。
8.就寝時には靴下を重ね履きする
正解:×
靴下を重ね履きしてしまうと、足から放熱できず眠りにつきづらくなります。入浴で身体を温めてから布団に入るか、それでも寒い場合はレッグウォーマーをはいて対策を!
◆石原先生のコメント
「水分をたくさん取ると身体に良いイメージがありますが、運動やお風呂などで身体のなかの水を循環させること、汗や尿でしっかり水分を出すことが大事です。デスクワークで身体を動かさず汗もかかないのに水分をたくさん取ってしまうと、余分な水分が溜まって身体がむくみます。むくむと言う事はそこに水があると言うことなので、たまった水によって身体を冷やすことがあります。そのため、水分を取るときには常温以上、冷え性の方はできるだけ温かい飲み物を取ることをおすすめします。
1日3食欠かさず食べるというのは、腹八分目でよく噛んで食べる分には問題ありません。しかし、お腹が空かないのに3食を食べていれば、胃腸に負担がかかり、血液がドロドロになることによって血流が悪くなってしまいます。特に、会食で暴飲暴食が続いているときは気をつけてください」
座ったまま運動!石原先生伝授「アイソメトリック運動」で血流UP
石原先生おすすめのアイソメトリック運動は、自律神経が集まっている首回り、肩甲骨回りの凝りをほぐし、血流を良くします。座ったままできるので、デスクワークで凝りが気になるときや気分転換したいときに最適!
①胸の前で手をかぎ形に組み、力を入れて両側に7秒引く
②両手を組んだまま後頭部に回し、両側に7秒引く
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③手はそのまま、腹筋に力を入れて7秒キープ!
春バテの原因は日頃のさまざまな行動に隠れてるので、ぜひ本記事を参考にご自身の生活に改善するところがないかチェックしてみてくださいね。体調万全にして、お出かけ日和の春を楽しみましょ!