結婚し、共に生活をしていく上で悩みになってくるのが「家計の管理」。夫婦どちらかが一括で管理しているケースもあれば、共同で家計管理するご家庭や、別々で管理しているご家庭もありますよね。「共同で管理したいけど難しそう」と考えている方もいるかもしれません。
そこで、株式会社AlbaLinkが既婚男女500名を対象に行った、「夫婦のお金の管理」に関するアンケート結果を紹介します。
■お金の管理、48%が「主に妻」
既婚男女500人に「お金の主な管理者」を聞いたところ、最も多かったのは「妻(48.0%)」。半数近いご家庭で妻がお金の管理を担っていることがわかりました。次に多かったのは「夫(20.8%)」。
全体として、夫婦のどちらかが家計管理を担当している家庭が多いようです。家計を「ひとつの財布」と考えた場合、共同で管理したり別々で管理したりするよりも、ひとりで管理するほうがやりやすいと考える人が多いと考えられます。
■妻管理メリット1位は「お金が管理しやすい」
妻がお金を管理するメリット1位は「お金を管理しやすい(111人)」。2位「無駄遣いが減り貯金しやすい(59人)」、3位「適任者が管理できる(49人)」となりました。妻ひとりで管理したほうが、家計全体の把握がしやすいため管理がうまくいくと感じているご家庭が多いようです。管理がうまくいっていれば無駄遣いに関してなどでモメることもなさそうですね。
3位「適任者が管理できる」を選んだ方は「夫がお金の管理が苦手or浪費家」、2位「無駄遣いが減り貯金しやすい」は「夫の無駄遣いが減る」と、夫があまりお金の使い方が上手ではない方が多いようです。1位はさまざまな理由がありました。
<1位 お金を管理しやすい>
- 以前は別財布で、何にいくら使ってどこにいくら貯蓄があるかなどが不明でした。まとめて管理すると家計が見える化できたので、よかったです(30代 女性)
- 基本的に食材や日用品の選別は妻がしているので、お金も任せておけば、月々の収支を管理しやすい(40代 男性)
- 家計管理が一元化できて、家の資産がわかりやすい(50代 男性)
「口座や財布をまとめて一人が管理することで、家計全体を把握できる」という声が多数。また妻が日常的な買い物を担う家庭が多いため、「食費や日用品の予算配分も含めて、夫より妻が管理しやすい」と感じている人も多いようです。共に生活をしていく上で、妻がお金を管理することによるメリットは大きそうです。
では、反対にどんなデメリットがあるのでしょうか。
■妻管理デメリット1位は「夫が家計を把握できない」
「妻がお金を管理するデメリット」に対するアンケート結果を見てみると、1位は「夫が家計を把握できない(81人)」。2位は「夫に自由がない(60人)」、3位「妻の負担が大きい(33人)」と続いています。いずれの回答も「妻が」というよりも、「どちらか一方が」管理するデメリットだといえそうです。なかには、妻の方が無駄遣いをしてしまうというような、意見も挙がっています。ちなみに「デメリットを感じない」と答えた人は21人で、妻が管理して問題なくうまくいっている家庭も多いことがわかりますね。
それぞれの理由を見ていくと、3位「妻の負担が大きい」は、「家計簿をつけたり、毎月の収支バランスを整えたり、管理が大変」。2位「夫に自由がない」は、「ちょこちょこ欲しいものを買えない」「大きな買い物で妻の了承が必要になる」など、少し窮屈でストレスが溜まってしまうというもの。
そして1位の理由はコチラ。
<1位 夫が家計を把握できない>
- 夫がお金の流れをイマイチわかっていないので、節約に対して非積極的(20代 女性)
- 夫に経済状況が伝わりにくい(30代 女性)
- 信頼しているので通帳の確認などはしていません。完全に任せきっているので、自分でお金の把握ができていないことはデメリットだと思います(40代 男性)
夫が家計を把握していないと、「経済状況が厳しいのに、夫がクレジットカードで無駄遣いする」といった問題が起こります。お小遣い制や都度制にすることで管理者側からの節約はできますが、個人で任せた時の節約が難しくなるようす。また、夫は今どのくらい資産があるかがわからないため、不安を抱えてしまうこともあるでしょう。定期的に家計状況を報告・共有する機会があると双方の不安も解消されそうですね。
■夫管理メリット1位「適任者が管理できる」
では次に、夫側が管理した場合について紹介していきます。
夫がお金を管理するメリットは上図の通りで、1位は「適任者が管理できる(46人)」。日本では「家計管理は妻の仕事」「なんとなく妻が家計管理している」という家庭も多い一方、数字に強い夫や几帳面な夫が家計管理を担当することでうまくいっている家庭も多いとわかりますね。以降、2位には「お金を管理しやすい(28人)」、3位「妻がラク(23人)」がランクインしています。
3位の「妻がラク」は主に女性側から寄せられ「家計簿をつける家事が減り、責任を負う必要がないのでラク」というもの。2位の「お金を管理しやすい」は、「夫の収入で生活しているため、口座から移動せずに管理できて、収入〜支出の全体像を把握しやすい」などの理由、そして1位は「妻側がお金の管理が苦手なので、得意なほうに任せた」というケース。詳しく見ていきましょう。
<1位 適任者が管理できる>
- 確定申告などが難しいので、数字に強い夫がしている(20代 女性)
- 結婚当初は私が管理していたものの、向いていないと気付き夫に任せることにしました。夫の方が得意なのでうまく管理してくれています(40代 女性)
- 妻は浪費家、私は倹約家です。倹約家の方が、お金の管理ができるため(50代 男性)
結婚当時、「どっちが管理する?」といった話し合いもなく、妻が家計管理を担い始めたご家庭も多いのではないでしょうか。何となく妻が管理していたものの、うまくいかず夫にバトンタッチした例も。夫に適性がある場合には、夫管理のほうがうまくいくようです。
■夫管理のデメリット1位は「妻が家計を把握できない」
一方、夫がお金を管理するデメリット1位は「妻が家計を把握できない(38人)」。次いで2位「妻に自由がない(27人)」、3位「夫の負担が大きい(11人)」と続きます。ランキング上位の項目と理由は「妻が管理する場合のデメリット」とほとんど変わりませんでした。そのため、夫婦のどちらか一人が家計を管理する場合、「管理しない方が蚊帳の外になり、お金の使い方も制限されること」ことが大きなデメリットになることがわかります。
「妻が家計を把握できない」デメリットについて、詳しく見ていきましょう。
<1位 妻が家計を把握できない>
- 稼いでいる額や収支が私にはわからないので、先のことを考えたときに、知らないがゆえの不安が少しあります(20代 女性)
- あえて挙げるなら、数字に弱い妻がお金の管理に関して丸投げして安心しきっているため、ずっと数字に弱いままなこと(30代 男性)
- 収支が見えない。貯蓄額を聞きにくい(40代 女性)
夫が家計をすべて管理している場合、「妻が夫の収入額すら知らない」というケースも起こりえます。また、夫の収入額や貯蓄額を知らないため、将来のことを不安に感じている女性も多いようです。対して夫からは、まったく家計に関わる気がない妻への不満が寄せられました。一度任せてしまうと、収入なども含めて聞きづらさも出てきそうです。
■共同(分担)管理のメリット1位は「情報共有できる」
これまで妻or夫どちらかが管理する場合を紹介していく中で、どちらも管理者ではない方が「家計を把握できない」ということがデメリット1位にランクインしました。では、二人で家計管理をする場合どんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
寄せられたアンケート結果は上図の通り。共同分担するメリット1位は「情報を共有できる(24人)」でした。共同口座などをつくって夫婦で管理することで、情報を共有でき家計の透明性も高まるのがメリット。情報や負担が平等だからこそ、モメにくい面もありそうです。
少数派ということもあり、上位3位をコメントと共に見てみましょう。
<3位 お金を管理しやすい>
- 「家賃・光熱費等は夫」「食費等は妻」のように、支払う担当を分けることで毎月必要な支出額を準備しやすいところがメリットです(40代 女性)
- 共に管理することで、お金の運用がスムーズな点がメリットです(60代以上 女性)
共同で管理する場合、夫婦で支出する費目を分けて負担するケースも多いです。そのため「共同管理だと、わかりやすくて管理しやすい」と考えている人が多いことがわかりました。共同管理することでお金の話し合いもしやすくなり、効率的でスムーズな資産運用もできます。
<2位 無駄遣いが減り貯金しやすい>
- どちらも我が家の家計状況を把握しているので、無謀な買い物などを提案しない。お互い、家計に見合った範囲で商品を選んでいる(30代 女性)
- 使いすぎがないように2人でチェックできる(50代 男性)
共同管理するとお金の使い方を相手に知られるので、「無駄遣いしないでおこう」という意識が働きます。また家計全体の状況を把握して、「今月はちょっと引き締めたほうがいいな」と気をつけますよね。無駄遣いしないで生活できれば、貯蓄もしやすくなりそうです。
<1位 情報を共有できる>
- 共同管理することで、お互いに収支の把握ができる(20代 女性)
- お互いが「今、家にどれくらいの資産があるか」を理解できる(40代 男性)
共同管理だと、夫婦のどちらも家計をきちんと把握できるので、「管理していない方が、家計について把握できない」というデメリットを回避できます。どちらも家計を把握しておくことで、「お金の使い道や貯蓄・投資の方針について相談しやすい」というメリットも生まれます。「相談しやすい」というのは、メリットとしてかなり大きいのではないでしょうか。
■共同(分担)管理のデメリット1位は「管理しにくい・面倒」
お金を共同(分担)管理するデメリットにおいては、1位「管理しにくい・面倒(18人)」、2位「相手の状況がわからない(17人)」、3位「お金を自由に使えない(16人)」、4位「話し合いが面倒(15人)」が僅差で並びました。共同管理のメリットとして「管理しやすい」が3位にあがっていた一方で、デメリットでは「管理しにくい」が1位という結果に。共同管理の方法によって感じ方が違うのかもしれません。それでは、こちらも寄せられたコメントと共に詳しく見てみましょう。
<3位 お金を自由に使えない>
- 何に使ったのかいちいち把握されるのが面倒くさい(20代 女性)
- 私の好きなようには、使えないこと。主人がきっちり目を光らせているので(30代 女性)
- へそくりができない(50代 男性)
夫婦の収入をすべて合算して管理している場合、相手もすべてチェックしているので自由がないと感じる人も。チェックされることで無駄遣いは減るものの、息苦しさを感じることがあるようです。
<2位 相手の状況がわからない>
- 夫の管理分がどうなっているかわからないこと。話を聞いても教えてくれません(30代 女性)
- お互いの収入がわかりづらくなる(50代 女性)
「夫が家賃」「妻が光熱費」のよう担当を分け、各自の口座で支払いを行っている場合、相手が管理している分については情報が入らなくなってしまいます。また共同口座に生活費を入れるスタイルでも、相手の収入総額は教えてもらわないと不明のまま。「収入に見合った負担割合なのか」「家庭全体の収入が減っているのか増えているのか」などわからないことへの、不安を感じている人もいました。とくに相手が秘密主義だと、聞いても詳しく教えてもらえないので、不満を抱えることも多いようです。中途半端に自分の管理分だけわかるというのも、モヤモヤの原因になっているのかもしれませんね。
<1位 管理しにくい・面倒>
- 個人的に使ったお金をいちいちメモして共有する必要があったり、個人のクレジットカード分の出費を差し引く必要がある(20代 女性)
- 家庭用の口座残高を夫のスマホからしか確認できないところ(30代 女性)
- どちらかが面倒になって管理を忘れてしまう(50代 男性)
共同管理だと支出の状況に責任をもち、生活費として使った分は相手にもわかるように記録しなければなりません。また共同口座が夫婦どちらかの名義になってしまうため、残高確認や引き出しで手間を感じている人もいました。「日々のこまごました管理」を面倒に感じている人が多いことが印象的です。
■家庭にあった管理の仕方を
全体的にポイントとなるのが、「管理者への負担」と「家計情報を共有できているか」。たとえ、共同管理をしたとしても細々とした収支の整理は逃れられません。個人の得意、不得意によって夫婦に合った管理方法を取りながら、「負担の偏り」「過度な浪費」が出ないよう定期的に情報共有や相談の場を設けたほうがいいようです。定期的に相談することで家計や資産運用の方針を見直すきっかけになり、お金についての不安や不満を解消する子ができるのではないでしょうか。(岡美咲)