夏は便秘になりやすい!?「夏便秘」になる理由とその解決法

「夏便秘」にご注意!

夏といえば、脱水症状による熱中症を意識する季節ですが、汗をたくさんかくことによる水分不足から便秘にもなりやすい季節なんだとか。今回はそんな「夏便秘」についてご紹介していきたいと思います。

監修:工藤内科 工藤あき先生 
消化器内科医 美腸・美肌評論家
一般内科医として地域医療に貢献する一方、消化器内科医として、腸内細菌・腸内フローラに精通、 腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。 NHK『ひるまえほっと』、 フジテレビ『ホンマでっか!? TV』など、テレビ・書籍・雑誌監修などメディア出演多数。

「夏便秘」とは?

夏便秘とは、汗をたくさんかくことにより、体内の水分量が少なくなって、便が硬くなりスムーズに移動できなくなって起こります。春から夏にかけては、暑さに対する体の準備ができていないため、体調不良や「かくれ脱水」(※)になりやすい時期とも言われており、便秘リスクが高まります。
※脱水症になりかけているのに、気がつかず有効な対策がとれていない状態

「夏便秘」には意外なリスクが

便秘が原因の病気とは?

便秘は、腸全体の動きが悪くなり、腸の中に便がたまった状態です。すると、消化液が消化管の中に溜まりやすくなり、吐き気をもよおすことがあります。これは、大腸の中で溜まった大量のガスで胃の部分が押されて起こること。さらには、臭いの強いゲップが出てくることも。

また、大腸疾患や痔の発症・進行リスクが高くなるほか、肌荒れやニキビ、吹き出物の原因にも。

夏便秘から食中毒!?

便秘になることで腸内細菌の善玉菌が少なくなり、悪玉菌が増えることで免疫力が低下してしまいます。
夏は高温多湿な場所で細菌やウイルスの繁殖が活発化するので、食中毒のリスクも高まります。食中毒の原因となる細菌やウイルスが腸管に侵入することを防ぐためにも便秘を解消し、腸内環境を整えておくことが大切です。

「夏便秘」の予防&解消法は?

腸内の善玉菌を増やす!

暑さによる食欲低下や、冷たい食べ物をたくさん食べてしまうことで起こりやすくなる夏の胃腸のトラブル。夏の便秘や食中毒は腸内の善玉菌を増やしておくことで予防ができるんです。善玉菌は腸内環境を整え便秘を予防するだけでなく、食中毒菌が腸管に侵入するのを防ぎ、からだの外へ排出する働きがあります。腸を整えると肌質が向上したりとメリットがたくさん。
善玉菌を増やして腸を整える、朝食におすすめの食材もご紹介したいと思います。

善玉菌を増やす朝のおすすめ食材3選

①青汁

市販の青汁には、ケール、大麦若葉、抹茶などが含まれています。ケールや大麦若葉は、食物繊維が豊富な食材です。食物繊維は胃や腸で水分を吸収し大きくふくらんで便の量を増やしてくれる効果があります。 加えて、腸を刺激して蠕動運動(ぜんどう運動)を活発にしてくれる効果もあるので、 お通じ・便秘の改善に役立ちます。抹茶は腸内フローラを変化させ、一部の悪玉菌を減らしつつ、善玉菌を増やす可能性 があるという研究結果が出ています。

②納豆

イメージが湧かないかもしれませんが、納豆にも乳酸菌が含まれています。乳酸菌やビフィズス菌は善玉菌を直接摂取できるので、善玉菌を増やすのには適した食材です。しかし、摂取し続けても腸内に定着することはできないので、継続的に食べていくと良いでしょう。

③バナナ

バナナは、食物繊維やオリゴ糖を含んでいます。 どちらも善玉菌のエサとなって、増やしてくれる効果があります。乳酸菌が入ったヨーグルトなどをかけて食べると栄養素的にも腸内環境的にもプラスになり、手軽な朝食メニューにはおすすめです。


そういえば、夏になると便秘しやすいかも…と思った方、胃腸の調子を崩しやすい方は、ぜひ予防&解消法を実践してみてくださいね。

構成/鬼石有紀