元彼や不仲になった友達を思い出すと憎い。憎しみから解放される方法はありますか?【精神科医監修】

人生経験を重ねていると、ふと思い返しただけでイヤな気持ちになったり、憎らしくなってしまったり、なかなか許すことができない人が出てくる…。そんなことってありますよね。普段はまったく気にしていないのに、落ち込んだ夜や思い出深い場所を通ると思い出してしまい、ひとりで辛くなってしまう…。

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このお悩みを解決する方法について、「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーに活躍する「ラフドクター」、精神科医・産業医の井上智介先生にうかがいました。

元彼や不仲になった友達への憎しみが止まりません。

Q.別れた彼氏への恨みや、不仲になってしまった友達に憎しみのような感情を抱いてしまいがちです。普段は忘れていますが、相手のSNSを見たり、言われたことを思い出してはふとしたタイミングで憎しみが復活します。過去の憎しみから解放される方法はありますか?

A.ひとつひとつ小さなことに感謝して、何よりあなた人生が幸せになることを選びましょう。

まず、憎しみのようなネガティブな感情でも「あってはいけないもの」と処理する必要はありませんよ。
もちろん、そのような感情を表に出すことはそう多くはないでしょう。けれど、多かれ少なかれ、誰もが思っていることです。憎しみはあることが悪いわけではありません。「消そう、消そう」とする必要もありません。

「他人」という「外部の環境」が自分に影響を与えるときは「◯◯さんのおかげで」などのポジティブなものと、「あいつのせいで」というネガティブなものが存在します。
憎しみの割合が大きくなってしまうときは「〜のせいで」という、ネガティブな気持ちが大きくなりすぎてしまっているので、意識的に「〜のおかげで」という感覚を増やしながら過ごすことで、不思議と自分の中でバランスが取れるようになっていきます。

では、具体的にどうすればいいか。
日々生きる中で、小さなことに感謝する機会を増やしてみてください。たとえばふと立ち寄ったスーパーの店員さんにも「ここで皆さんがたくさんの食材を売ってくれているおかげで、今日の料理が作れる」と感謝するなど、自分が誰かによって生かされている感覚を、日常の中でたくさん感じてください。
もちろん、よく接する家族や同僚に「◯◯さんのおかげでうまくいっている」という感覚をたくさん持てると素敵です。そうすることで、少しずつ心のバランスが取れ、ネガティブな気持ちの割合が減るはずです。

けれど、憎しみが強いとそれではおさまりがつかず、「相手に復讐したい」という気持ちでいっぱいになることもあるでしょう。
そう思ってしまうあなたに、ひとつ覚えていてほしいことをお伝えします。憎しみを持つ相手への何よりの復讐は、直接相手になんらかの復讐をすることではなく、あなたが幸せになることです。そのことをどうか、忘れずに生きていってください。
どうやったら復讐できるかよりも、どうやったら自分が幸せになれるかを探すことで、憎しみはいつの日か、すっと解消されていくはずです。

お話をうかがったのは…

井上智介先生
精神科医&産業医
「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーにした「ラフドクター」として活躍中。書籍多数。近著に『がんじがらめの心がラクになる「呪いの言葉」の処方箋』『この会社ムリと思いながら辞められないあなたへ』など。
構成/後藤香織