長引くから厄介!「夏風邪を引いてしまう理由」と、早く治す方法を専門医に聞いてみた

「夏風邪を引いてしまう理由」と、早く治す方法

毎年夏が近づくと風邪を引いてしまい、しかもなかなか治りにくいという悩みをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

そんな厄介な夏風邪について、ナカトミファティーグケアクリニック院長 中富康仁先生にお話を伺いました。

そもそも夏風邪って何?

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夏に引く風邪を “夏風邪”と言います。風邪は正式には「風邪症候群」といい、くしゃみや、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、発熱、下痢などの症状の総称を指します。風邪症候群を引き起こすウイルスはたくさんいます。

通常は免疫の働きで、感染が阻止され、症状はほとんど現れません。免疫力が低い状態で、ウイルスにさらされると、からだの中の細胞にウイルスが感染し、増殖していきます。身体は、熱を出してウイルスを殺そうとしたり、鼻水や咳、下痢で追い出そうとします。ウイルスによって、好きな場所が違うため、症状は様々です。最終的に免疫力が勝てば、症状は終息しますが、免疫力がひくい場合や弱いところがある場合などは、重症化して心筋炎や髄膜炎などを引き起こすこともあります。

夏に猛威を振るう代表的な風邪ウイルスには、アデノウイルスエンテロウイルスコクサッキーウイルスがあります。

アデノウイルスは「プール熱(咽頭結膜熱)」の原因ウイルスです。喉の腫れや痛みが酷く、高熱、目ヤニ・目の充血がみられます。子どもがプールで感染することが多いことから、「プール熱」と呼ばれます。目の症状は、片方からはじまり、もう片方にもあらわれます。1週間程度でおさまりますが、症状がおさまって2日しないと登校はできません。

エンテロウイルスは、主に喉から感染し、腸の中で増殖することがあるウイルスです。口の中では口内炎ができることもあり、腸の中で増殖すると、下痢や腹痛などの症状があらわれます。コクサッキーウイルスとともに、小さな子供の手・足やお尻、膝などに水疱ができる「手足口病」や、急な高熱と喉の痛み、口内炎ができる「ヘルパンギーナ」の原因ウイルスです。これらのウイルスが原因となって、胸痛や結膜炎や、髄膜炎など様々病態を引きおこすこともあります。

夏風邪の原因は?

風邪は、ウイルスの攻撃力・増殖力と、身体の防御力である免疫力との闘いです。免疫力が低下しているとウイルスの侵入や増殖を許してしまい、風邪にかかりやすく、また治りにくくなってしまいます

免疫力が低下する原因の一つとして、疲労の蓄積があげられます。夏は厳しい暑さによる影響で、からだへのダメージが増加します。一方、暑さで食欲がなくなり、栄養バランスが乱れたり、エアコンの温度を低くしすぎてしまい、自律神経が乱れたり、睡眠の質が低下することから、身体の回復力は低下します。そして、身体へのダメージと回復力のバランスが崩れ、疲労が蓄積されることで、風邪など感染症のリスクにつながっていきます。

夏風邪を早く治す方法は?

風邪は、ウイルスと身体の闘いです。免疫力をきちんと働かせるために、消耗を防いで安静にし、栄養や水分、十分な睡眠をとることが基本中の基本になります。無理をして動いていると、ウイルスに打ち勝つための免疫力がうまく働かず、またウイルス感染から身体の回復が追い付かず、なかなか良くなりません。

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一般的に、風邪薬はウイルスをやっつけるお薬ではありません。また、よく誤解されていますが、抗生物質は、主に細菌をやっつけるお薬なので、ウイルス感染では服用する必要がありません。高熱が出る場合や、嘔吐、頭痛、息苦しいなど、重症化を疑う症状がある場合、重症化のサインを見逃さず、早めに対応できるようにするために、医療機関への受診が必要になります。

熱は、ウイルスを殺すために上がりますが、熱が上がりすぎると、身体の水分が減ってしまい、脱水となってしまいますので、十分な水分補給が必要です。下痢は身体からウイルスを追い出すための症状ですが、脱水となり体のカリウムなどの電解質が出ていきやすいため、経口保水液の飲用や、果物を摂取するなどして、水分や電解質の補充をおこないましょう。症状が強い場合は、アセトアミノフェンなどの解熱剤や、止痢薬を服用して消耗を防ぐ必要があります。

咳や淡も身体からウイルスを追い出すための症状です。痰を出やすくするために、去痰剤などを処方する場合が多いです。鼻水や下痢もですが、ウイルスが大量に存在するため、他の人に感染症を広げる原因にもなります。感染を広げないエチケットも必要になります。

夏風邪の効果的な予防法は?

手洗いやうがいは、さらされるウイルスの量を減らしておくことが目的です。それ以上に、日ごろから睡眠を十分にとり、日々のダメージから回復させておくことで、免疫力をキープすることが大切です。ほどよい運動は睡眠を深くして、さらなる好循環を生み出しますが、睡眠もとれておらず、疲労も蓄積しているのに運動をすると、逆に悪循環を生み出します。きちんと自分の身体と相談し、十分な睡眠をとったうえで、心地よい程度の運動をおこない、身体のリズムを整えておくことが大切です。

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同時に、身体の回復力をキープしておくために、日ごろから栄養を十分に摂取しておくことも重要です。体中の細胞すべてに、ミトコンドリアというエネルギー工場があります。この体中のエネルギー工場ではたらいている物質に、コエンザイムQ10(CoQ10)があります。メンタルヘルス疾患をふくめた疲労関連疾患でもコエンザイムQ10は消耗しており、サプリメントの摂取などで血中濃度を上げると、よりよい睡眠や自律神経機能の向上、疲れにくい身体になることがわかってきました。とくに、還元型コエンザイムQ10は疲れで蓄積する酸化ストレスを減らす抗酸化作用(還元化力)をあわせもつ疲労回復の物質です。その他にも、エネルギー工場で働くクエン酸や、抗酸化作用を持つビタミンBビタミンCイミダゾールジペプチドなども、疲労の研究から、疲労回復に重要な物質がわかっています。これらの栄養素を日ごろからバランスよく摂取しておくことも対策として重要です。

夏風邪予防&早く治すキーワードは疲労回復!

確かに蒸し暑い季節になると、食欲がなくなり疲労が蓄積され、免疫力が低下してしまうことが想像できますよね。和洋女子大学教授の鈴木敏和先生によると、疲労回復を促してくれるコエンザイムQ10は、動物性タンパク質の中に多く含まれているそうで、牛・豚なら肩やもも肉、魚ならば青魚に豊富なんだそうです。

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栄養は食事から摂取するのが理想ですが、暑さに負けてしまい、どうしても食欲が落ちてしまうという方は、サプリメントを取り入れると手軽です。

還元型コエンザイムQ10のサプリメントは、通販やドラッグストアで簡単に手に入ります。8月2日からファミリーマートでは、還元型コエンザイムQ10入りのヨーグルト(機能性表示食品)が発売されるそう。

わたしのチカラ® Q10ヨーグルト ¥149(税込)
わたしのチカラ® Q10ヨーグルト ドリンクタイプ ¥149(税込)

※関東地区のファミリーマート、カネカオンラインショップで購入可能
※一部、お取り扱いのない店舗もあることをご了承ください

ヨーグルトなので、サプリよりも朝食やおやつとして取り入れやすいので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

一度引いてしまうと長引いてしまいがちな夏風邪。予防と適切な対処法で、この夏も元気に乗り切りたいですね。

構成/鬼石有紀