試行錯誤で挑んだ「エビちゃんOL」時代
CanCam創刊40周年を記念して、歴代のOGモデルをクローズアップするスペシャル連載。専属モデル時代から今日までの軌跡を振り返りつつ、今だから話せる撮影裏話やプライベートなお話など、自分らしく輝き続ける彼女たちのリアルなメッセージをお届けします。
第5弾は、“エビちゃんブーム”という社会現象を巻き起こし、数々の伝説を作った愛されモデル、エビちゃんこと蛯原友里さんが登場。
2003年にCanCam専属モデルとして活動を始めた、エビちゃんこと蛯原友里さん。ファッション誌のポージングに慣れていなかったという彼女は、持ち前の明るく前向きな性格と仕事への誠実さで、瞬く間にトップモデルに。初表紙を飾った2003年12月号から2008年12月号の卒業まで、表紙を務めた回数はなんと40回‼︎ 第二回目となる今回は、表紙撮影の裏話なども伺いました!
↓第一回目の記事はコチラ
★蛯原友里「脚コンプレックスから生まれたポージングが、自分らしさに繋がって…」|歴代モデルを直撃Vol.17
卒業号は“涙バージョン”の表紙案も!
ーー思い出に残っている表紙はありますか?
「どれも思い入れがありますが、ひとつは2004年12月号かな。初めて表紙を飾らせてもらってからちょうど1年後のものです。肩にあごを乗せたようなポーズは、それまで試行錯誤して生まれたポーズで、表紙を見たファンの方から『エビちゃんらしい』と言ってもらえたのがうれしくて今でもよく覚えています。2007年3月号の表紙も、実は寝そべりながら撮っていて、その構図がカワイかったから、よく覚えている…と思っていたけど、実際の表紙はアップだったんですね! 今見て、びっくりしました(笑)! あとは、卒業号ですね。CanCamを離れる寂しい気持ちを表した涙バージョンも撮っていて、編集さんも私も最後まで悩みました。でも、やっぱり笑顔でいこう!となったんです。卒業号では読者の方に撮影を見ていただいたり、サプライズをしてもらったり…忘れられない思い出がたくさんあります」
ーー2007年8月号では水着の表紙も話題に
「実は撮影当日に、現場で『今日は水着撮影だよ』って聞かされてすごく焦りました(笑)。そもそも、香盤表には書いてあったはずですが、当時の私は忙しすぎて、集合時間と場所だけしか見ていなくて…『え?水着⁉︎』って動揺しちゃって。そのあと編集の方に聞いたら、さらにエピソードがあって、8月号は“赤いビキニ”で撮影しようと決まってはいたものの、なかなかイメージに合うものが見つからずスタイリストさんがとても苦労したそう。用意するのにものすごく大変だったと聞いて、私も気合いが入りました。赤い水着の表紙、今見てもインパクトありますよね」
モデルとしては決して早いスタートではなかった22歳に、CanCamモデルの仲間入りを果たした蛯原さん。スマホがない当時、地図を片手に現場に行くことも多かったという。当時から、決して弱音を吐かない前向きな姿は、スタッフやモデル仲間達からも絶大な信頼を得ていました。表紙の水着撮影をそばで見ていた編集者も、プロ意識の高さから「エビちゃんなら大丈夫!」という雰囲気があったといいます。
ーーCanCamの現場で、ヒヤッとした思い出は?
「1回だけ遅刻をしたことがあって。前日の仕事が遅くまでかかり深夜に帰宅して、あと、2、3時間でまた家を出ないといけない状況で…お風呂も入らずにそのまま寝てしまったんです。目が覚めて時計を見たら、もう集合時間! それで慌てて、前日のメイクのまま、同じ服で行きました(笑)。遅刻をしたのはその一回だけですね。どんなに忙しくても遅刻はしないことが当たり前だと思っていましたし、今も当時もアラームは5分おきにかけています。
もうひとつは、仕事でニューヨークに行ったときのことなのですが、撮影前日の夕飯でちょっとお酒を飲んだんです。そのせいか、部屋に戻って寝る前にシャワーを浴びた際、シャワーのハンドルで鼻の横を引っ掻いてしまって血だらけに…。翌朝、『ごめんなさい、顔に傷を作ってしまいました(涙)』と、スタッフみんなに謝りました。メイクなどで消してもらって撮影をしたのですが、あのときは本当に迷惑をかけてしまいました」
緊張している後輩は、つい声をかけたくなる
ーー高橋メアリージュンさんのインタビューで、蛯原さんに“ジェニファー”と呼んでかわいがってもらったというエピソードがありました。覚えていますか?
「覚えてます! モデルになったばかりのメアリーは緊張していて、着替え方もポージングも分からずとても不安そうで。私も最初の頃は言葉で表せないくらい緊張をしていたので、その頃の自分を見ているような気持ちもあったのかもしれません。それで話しかけるときに、あえて『ジェニファー』って呼んで、彼女が『メアリーです!』って答えてくれると場が和んで、メアリー自身の緊張もほぐれるんじゃないかなあ?って思って、わざと呼んでたんですよね。彼女は素直で元気でかわいくて、本当に妹のような存在でした」
ーー当時のスタッフの言葉で印象に残っているのは?
「毎月、読者アンケートで選ばれる“好きなコーディネートランキング”というのが、編集部に貼ってあったんです。あるとき、私の写真が1位に貼られていたのですが、なぜか上半身しか写っていない写真で、あれ?これだとコーディネートが分からないしおかしいな、って思って聞いたんです。そうしたら当時の編集長が『なんで1位になったかわからない? 笑顔がいいんだよ!』って言ってくださって、それ以来、笑顔でいることをずっと大切にしています」
ーーCanCam卒業のタイミングはどう決めましたか?
「ちょうどAneCanの仕事も並行していて、そろそろ卒業かなと思っていました。でも、初表紙が2003年の12月号だったので、12月号を区切りにしたくて、卒業は2008年の12月号にさせていただきました」
「CanCam」の専属モデルとして走り続けた6年。日本中に“カワイイ”を届けてくれたエビちゃんは、2008年12月をもって「CanCam」を卒業し、「AneCan」に移籍。30代という新たなスタートに向かって、より大人っぽいファッションで新たな挑戦をすることになります。
★次回は、「AneCan」移籍後のお話や、新しい環境で初めて感じた葛藤などを伺います!