「CanCamっぽくない、CanCamモデル」Vol.2高橋メアリージュン
CanCam創刊40周年を記念して、歴代のOGモデルが登場するスペシャル連載を配信中! インタビューを通して、今だから話せる撮影裏話や実践中の美の秘訣、人生を前向きに生きるコツなど、女性として輝き続ける彼女たちのリアルなメッセージをお届けします。
今回は、女優として躍進を続けている高橋メアリージュンさんのインタビュー第2弾!
2004年にCanCamモデルとしてデビュー以来、約8年間にわたり読者やモデル仲間、スタッフからも愛されたメアリー。CanCam卒業後は、数々の舞台やドラマ、映画に出演。キャリアと努力を積み重ね、演技の幅を広げたメアリーは現在放送中のドラマでも重要な役どころを好演中。今回は、多方面で活躍している高橋メアリージュンさんに、あの頃のこと…、そして女優として活躍する「今」について聞きました!
CanCam“めちゃ♡モテ”時代に感じた不安や葛藤
メアリーがCanCamモデルとしてキャリアをスタートさせた頃、雑誌CanCamは好感度高めの愛され女子を応援すべく、ファッションもメイクも“めちゃ♡モテ”時代に突入します。それは、女のコとエレガンスファッションが強く結びついた時期であり、誌面には“かわいい系”と呼ばれるファッションやヘアメイクが溢れていました。
当時、読者はもちろん、メディアからも多くの反響があったCanCamは、愛され女子のバイブルに。登場するCanCamモデルも、めちゃ♡モテ女子のお手本のような存在となり、私服コーデや通っている美容室、ポーチの中身やお部屋まで「全部見たい!」という読者の声に応えて、専属モデルのプライベートに迫る企画も数多く特集。
読者の反響が大きかったCanCamで、葛藤したり悩んだことはあったのだろうか。本人に直撃します!
ふんわりスカートやパステルカラーが似合わない自分に不安も
――CanCam専属モデル時代、悩んだりしたことは?
「もちろんありました。鏡を見るたびに“私はCanCamっぽくない”と感じることが苦しかったし、なかなか自信をもつことができなくて。撮影をしても、ふんわりとしたスカートよりパンツスタイルがしっくりくるし、モテファッションやメイクを提案するCanCamに自分はそぐわないんじゃないかと悩みました。
実際、会う人会う人に『メアリーはCanCamっぽくないね!』って言われたりして、その言葉に悪意がまったくないのは理解しつつも、すごく不安になったのを覚えています。でも、どうにか踏ん張って経験を積んで、ちょうど20代を迎える頃に“カッコいい系”や“カジュアル系”の撮影に呼んでいただくことが増えました。
ちょうど自分に似合う服のテイストも明確になってきた頃で、モデルとして努力して準備をしておけば発揮できるときが必ずくることを実感。色々な悩みや迷いが吹っ切れました。沢山悩んで時間はかかったけれど、最終的には『CanCamモデルの中で、目立ててラッキー!』って、自分の役割や個性として受け入れられるようにもなりましたね」
当時10代にして多くの悩みや葛藤と向き合っていたメアリー。早朝の集合でも撮影の待ち時間が長くても、忙しい時ほど明るく仕事をするメアリーの姿は、スタッフやモデル仲間にとって“夏空”のような存在。「疲れた」なんて言葉を彼女の口から聞いた記憶がない…。いつ会っても笑顔で、忙しく過ごす撮影スタッフのことまで気にかけてくれるメアリーは、思い返せば長女気質そのもの。いつでも体型やお肌のコンディションが完璧! 服を素敵に着こなしてくれるメアリーは、当時からプロ意識の高さが光っていた。
――モデル仲間から、自分はどんなモデルに見えていたと思う?
「仲良しのモデルはたくさんいたけど、今思い返すとプライベートの付き合いはとても悪かったな…って思います。当時は実家の借金もまだまだ返済しているときで、私も少しでも力になりたくて出費を削る毎日でした。モデル仲間から遊びに行こうと誘ってもらったり、誕生日パーティに招待されても参加することが難しくて。
ゆっくり話したりお祝いできないことは残念でしたが、当時の私はたくさん働いてお金をつくりたい、という前向きな目標があったので辛いと思ったことはなかったです。撮影で残ったお弁当をいただいて夕飯にしたりもしてました。ときどきCanCamの企画でモデルの私服コーデというのがあって、アンケートに『最近買ったものは何ですか?』って書いてあるんですけど、新しい服やバッグがないので、その時の欲しいものをアンケート用紙に書いた記憶もありますね」
CanCamモデルやスタッフから愛されていたメアリーは、プライベートのお誘いも数多くあったはず。それでも、家族の力になりたいと目標に向かって邁進したメアリーのブレない信念は、女優としての輝きにもつながっている。どんなときでも家族を愛し、周りの人を大切にするメアリーのストレートな生き方は、10年前も今も変わらない。
―― 落ち込んだ時に前を向く、メアリー流の方法は?
「今も昔も支えになっているのは、『今がどんなに辛くても、それはいつかあなたのエピソードになるのよ』という母の言葉。落ち込みそうになったときは、その言葉を必ず思い出しています。フィリピン人の母は、幼い頃から『マガンダ♥ マガンダ♥(タガログ語で“かわいい”の意味)』とたくさん言葉をかけて私を育ててくれました。
両親から、頭ごなしに叱られたり、大きな声で怒られた記憶はないんです。いいところや頑張ったことをとにかく褒めて褒めて、毎日たっぷりと愛を注いでくれました。今でも何かに迷ったときは、目を閉じで尊敬する両親のことを考えるんです。そして自分に問いかけてみる『お父さんやお母さんだったら、こんなときどうする?』って。そこで出た答えは何よりも信じられるし、自信をもって新しい一歩を踏み出せるから」
当時も今も、メアリーは人と人とのつながりを大事にして、感謝の言葉をしっかりと伝えてくれる人。だからメアリーに対しても、愛や感謝を伝えたくなる。東京でモデルの仕事を始めた頃、メアリーは憧れの人である「お父さん」から、メールでこんな言葉を贈られていた。「人に受けた恩は石に刻めよ。人に与えた恩は川に流せよ」。それは、メアリーの生き方そのもの。
あの頃の自分に伝えたい「あなたはすばらしい」と
―― 今の自分から、CanCamモデル時代の自分に伝えたいことは?
「『もっと自信を持って! あなたはすばらしいから』って伝えたいです。あの頃は、とにかく自信がなかったから。がんばっている自分を決して否定しないで、落ち込んだ時は明るい未来を信じようって」
自信が持てなかったと話すメアリーだが、スタッフにとってメアリーの存在は偉大。めちゃ♡モテをスローガンに、甘くてフェミニンなファッションが主軸のCanCamでしたが、当時の副編集長は、CanCamにはメアリーが必要なんだ!と専属モデルに猛プッシュ。かわいい系全盛期を迎えても、「メアリーは絶対に手放すべきじゃない」と熱弁し、カッコ★カワ系(カッコよくてかわいいテイスト)の企画で活躍するメアリーの姿に喜んでいたほど。
―― 8年間務めた専属モデルを卒業!その時の心境は?
「CanCamのラストシューティングを終えてメイクルームを出たら、当時のCanCamスタッフが大勢集まってくれていました。サプライズだったので、みんなの笑顔を見たら涙が溢れて、8年間の経験や出会いに感謝の気持ちでいっぱいに。同時に、これだけの人に支えられ応援してもらえたから、次のステージも頑張ろう!と、一歩前に進む勇気が湧いてきました」
惜しまれながら専属モデルを卒業し、フリーのモデルとして活動を始めるメアリー。新しい世界で、自分を変えるきっかけになった出来事とは…?
★次回は、CanCamモデル卒業後「女優・高橋メアリージュン誕生」の軌跡をインタビュー。メアリーの転機について深掘りしたいと思います! お楽しみに。
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