あれから10年…森 星「モデルデビューはCanCamでした!」|歴代モデルを直撃Vol.13

「覚悟ができていなかった。」デビュー時代を振り返って

CanCam創刊40周年を記念して、歴代のOGモデルをクローズアップするスペシャル連載。専属モデル時代から今日までの軌跡を振り返りつつ、今だから話せる撮影裏話やプライベートなお話など、自分らしく輝き続ける彼女たちのリアルなメッセージをお届けします。

第4弾は、抜群のスタイルとハッピーなビッグスマイルで人気を博し、現在はモデルやクリエイティブディレクターなど幅広い分野で活躍する森 星さんが登場! 

慶應義塾大学在学中にCanCamモデルとして誌面デビュー。初登場で初表紙を飾り、「このかわいすぎるモデルは誰!?」と大きな話題を呼びました。2012年から2013年まで約2年間を専属モデルとして過ごし、人並外れたスタイルと愛され力で大人気に。かわいい表情もキリッとハンサムな美貌も持ち合わせた森さんは、当時ブームの兆しがあった“ハンサムファッション”を担当しCanCamに新たな風を吹き込んでくれました。

専属モデル卒業後は、国内外の雑誌、広告、ファッションショーで活躍するほか、『tefutefu』というプロジェクトを通して日本文化の魅力を国内外に発信するなど、その活動は多岐に。彼女のライフスタイルや魅力が存分に垣間見える、InstagramやYouTubeも大人気! ファッショナブルでヘルシーなライフスタイルと飾らない人柄が、多くの支持と関心を集めている森さんに、鮮烈なCanCamデビューから現在の活動まで、たっぷりとお話を伺いました♡

ドレス¥281,600、靴¥116,600(トッズ・ジャパン<トッズ>)

個性のない自分に悔しさを感じたデビュー期

当時のCanCam編集長が「ものすごい逸材を見つけた! こりゃすごい!」と、興奮&驚愕したほど、デビュー時からセンセーショナルな存在感を放っていた森さん。2012年6月号では、初登場号で初表紙を飾り、一躍注目を浴びました。

ーー初めての撮影のことは覚えていますか?

「もちろん! 右も左もわからない状態だったのに表紙を任せてもらえて、本当にありがたい気持ちでいっぱいでした。最初の撮影はすごく緊張して、実はカタカタ震えていたんです(笑)。でも私は学校の空き時間にも読みたくてこっそり隠し持って行くくらい雑誌が大好きだったし、CanCamの撮影に参加できることはすごくワクワクしていて楽しみでもありました」

デビュー当時のCanCamを手に、「うわ〜! 懐かしい…恥ずかしい〜!」と10年前をプレイバック♡

森さんがモデルとしてデビューしたのは大学2年生の頃。周囲が就職活動を始める時期にモデルへの挑戦や学業との両立…戸惑いや不安な気持ちはなかったのか。

ーー専属モデルになったときの心境は?

「ずっとモデルという職業に憧れていたのでうれしかった反面、正直『この道でやっていくぞ!』みたいな覚悟は決め切れていないところもありました。友達が就職活動をして自分の道を決めていく中で、自分は何が好きなんだろう、何に長けているんだろうっていう大学生なりの悩みもあって。撮影の合間にテスト勉強をしたり、ロケバスでマネージャーさんと中国語の練習をしたり、学業もしっかりやらなきゃ!という気持ちもありました」

モデルとして華やかなデビューを飾るも、仕事のことで悩むこともあったと話す森さん。モデル仲間との出会いや挑戦を重ねることで、自分自身に足りないものが少しずつ見えてきたそう。

「CanCamモデルの先輩には素敵な方がたくさんいらして、さらに新しく加わるメンバーもいて、しかもモデル以外に演技のお仕事をスタートしたり、ブランドを手がけたり、みんなそれぞれの道を開拓していて…。そんな中で、私は自分のカラーが見つけられていないことに悔しさが生まれて、表面的なものでなくいろんな面を表現できるモデルになりたいと思うようになったんです。その時に感じた悔しさとか、撮影を重ねる中で見つけた自分の個性が、モデルとしての転機にもなって今の道につながっているような気がします」

モデルを続けるにつれて、自分らしい表現に行き詰まることもあったと話す森さん。当時のCanCamはかわいい系ファッション全盛期。主軸であった甘くてフェミニンなファッションを前に、“かわいい”について考え込み葛藤したという。

(左)金髪ウィッグでの表紙。撮影時は星さんが「楽しい〜♡」と踊りながら現場のムードを盛り上げてくれた。(中)初登場、初表紙の2012年6月号。

「CanCamといえば、かわいいファッションやモデルの宝庫であるけれど、私は“かわいい”世界観が表現しにくかったんです。どちらかというとみんなより男顔で身長も高かった。私自身は“かわいい”に憧れていたし、CanCamらしい表現をしたかったんですけど、読者をときめかせる何かが出せない! というモヤモヤがありました。でもそれと同時に、背が高いからメンズっぽいファッションはしっくりくることに気づいて、私服でもメンズ服を取り入れてみたり。そうしたら私の甘辛ファッションを見てくれた編集部のスタッフが美月ちゃん(山本)と一緒にメンズ風ファッションの企画を任せてくれて、とてもうれしかったですね。『きっと身長が高かったり男顔の読者さんもいるし、CanCamにもこういうページがあっていいよね』って。“かわいい”という明確な軸はありながら、柔軟に私らしさが生かされる企画を立ててくださって、CanCamの中で自分らしい表現が少しはできたような気がします。今思い出しても感謝でいっぱい!」

当時の編集スタッフもCanCam=”かわいい”世界観だけに執着せず、長身やハンサムな顔立ちの森さんだからこそ輝く企画を提案。CanCamにとっても新しい挑戦がはじまることに。

CanCamのみんなが一緒に「星」を作ってくれた

CanCamに森さんが加入した当初「背が高くてスタイリッシュなのが星ちゃんの味だから、その個性をおさえることはしたくない」と、編集スタッフにも葛藤があったそう。クール系の専属モデルが誕生したことで、雑誌CanCamにも新しい風が吹きファッションの楽しさがより多くの読者に届けられることに。

「迷ったり悩んだりしている新人モデルのために、CanCamのスタッフがたくさん力を貸してくれました。編集部の中にもいろんな編集さんやライターさんがいて、しっかりとした幹の部分(読者にハッピーを届けたい!という想いは同じ)から、それぞれの企画が枝や葉のように伸びて大きな木が成り立っている、当時のCanCamはそのアンサンブルがすごく楽しくて。インプットとアウトプットが同時にできる環境だったし、ありがたい居場所だったな~って今も改めて思います。編集部のみんなは、違うことは違うって言ってくれるファミリーみたいな存在で、一緒に”星”を作ってくれました。専属モデルも素敵な人ばかりで、私は現場でたくさんおにぎりを食べていたんですけど(笑)、プロとして自分のお尻をもっと叩かなきゃって刺激をもらって。CanCamでの経験を通して、徐々にモデルとしての覚悟もできたような気がします」

“かわいいが表現しづらい”という悩みが、自分の個性を見つけるきっかけになった森さん。自分のカラーを見つける具体的な方法とは?

「私の場合、Instagramの存在が大きかったと思います。CanCamの専属モデルをしていた時期にちょうどInstagramを始めて、それまでは近況報告できる場は雑誌の中だけでした。『最近ハマってることは?』とか、ひと言をつぶやくQ&Aコーナーはありましたけど、自分のことを自ら発信する機会はあまりなくて。でもSNSを通してパーソナルな部分だったり、普段の雑誌とは違う一面を見せられるようになって、それがすごく楽しかった。モデルとしての顔を見せられるCanCamがあるからこそ、Instagramではちょっとモードな私服を着てみたり、その両軸を持てていたのは自分的にすごくプラスでした。かわいいもカッコいいも、モードもストリートも全部大好きだから、あらゆるジャンルにピットインできるカメレオンみたいなモデルになりたい。そんな目標ができました」

愛おしそうに当時のことを思い返しながら、ひと言ひと言を丁寧に確かめるように話してくれた森さん。今やモデルとして唯一無二の世界観を瞬時に表現できるカメレオンモデルとなった彼女だが、10年間のモデル人生にはさまざまな葛藤や不安も。前向きな努力を重ねて、今の“森 星”になるまでには、さらにどんな道のりを歩んできたのでしょうか? エピソードはまだまだ続きます!

仕事の話や美の秘訣など、次回もさらなる素顔に迫ります♡ お楽しみに。

森 星Profile/東京都出身、1992年4月22日生まれ。2012年CanCamの専属モデルとしてデビュー。卒業後は国内外の雑誌や広告、ファッションショーで活躍するほか、自身プロデュースのプロジェクト『tefutefu』を通して日本文化の魅力を世界に発信。プライベートや現在の活動が垣間見えるInstagramyoutubeも大人気。愛らしいキャラクターと抜群のスタイル、唯一無二の世界観は日本のみならず世界からも注目を浴びている。
撮影/久野美怜(SIGNO) スタイリスト/入江陽子(SIGNO) ヘア&メイク/佐川理佳 取材・文/大下杏子