高橋メアリージュン「このままじゃ仕事がなくなる…」朝ドラが女優の転機に|CanCam歴代モデルを直撃Vol.3 

「CanCam卒業後のモデル活動、そして転機——」高橋メアリージュン

CanCam創刊40周年を記念して、歴代のOGモデルが登場するスペシャル連載を配信中! インタビューを通して、今だから話せる撮影裏話や実践中の美の秘訣、人生を前向きに生きるコツなど、女性として輝き続ける彼女たちのリアルなメッセージをお届けします。

今週は、話題のドラマで熱演が光る、高橋メアリージュンさんのインタビュー第3弾!

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2004年にCanCamモデルとしてデビュー以来、約8年間にわたり読者やモデル仲間、スタッフからも愛されたメアリー。CanCam卒業後は、数々の舞台やドラマ、映画に出演。キャリアと努力を積み重ね、演技の幅を広げたメアリーは現在放送中のドラマでも重要な役どころを好演中。連載では、多方面で活躍している高橋メアリージュンさんに、あの頃のこと…、そして女優として活躍する「今」について聞きました!

応えなきゃ次はない、自分で切り開く”モデル道”

専属モデルと雑誌の関係は、言うなれば”家族”であり、モデルにとってのCanCamは、色濃い時間を過ごす”ホーム”みたいなもの。ポージングはもちろん、編集者やスタッフと一丸となりモデルとしての長所や課題を見つけ出しては新しい目標を掲げて共に前進する、厳しくもあたたかな場所。そんな”ホーム”から巣立ち、第二のモデル人生をスタートさせたメアリーの当時の思いとは?

一回の撮影が勝負。変わらなきゃ、磨かなきゃ、と思った

――CanCam専属モデルを卒業してみて感じたことは?

「CanCamを卒業した後は、仕事のオファーをいただいてもすべて一回で終わる可能性があるので、それまで以上に緊張感がありました。次の仕事につなげるために一回一回が勝負だし、完璧な状態で撮影に臨むためにファスティングをしたり…意識もより高めないといけないなって。今までは、現場に行けば『メアリー、メアリー』って気兼ねなく話しかけてくれる仲間がいる…そんな感覚だったのですが、はじめましての現場ではコミュニケーションの大切さも改めて実感。私は自分のことを多く話すタイプじゃないので、『人見知り?』なんて聞かれることもあって、すぐに慌てて『違いますっ!』って答えたりしてました(笑)。俳優業でもそうですが、ものづくりをする上でのコミュニケーションの大切さを強く考えるようになったと思います」

Oggi(小学館)やCLASSY.(光文社)、Gina(文友社)など、人気ファッション誌に登場し大人モデルとしての一歩を踏み出したメアリー。それまで応援してきたファンやCanCamスタッフが卒業後の活躍を見守る中、度肝を抜かれるうれしいニュースが。それがNHKの連続ドラマ小説「純と愛」での女優デビューだった。

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――〝朝ドラ〟デビュー、どうだった?

「私の人生の中で、大きな転機となった経験でした。初めての女優業で、ここで私が見せるお芝居がとても大切だと感じていたし、生きるか死ぬかの瀬戸際だとも思っていました。なので、クランクイン前にマネージャーさんに連絡して『演技のレッスン受けさせてください! このままじゃ私、仕事なくなります‼︎ 』と言ったことを今でも鮮明に覚えています。いただいた役柄がフィリピン人のルーツを持つ私の母の生い立ちと同じ設定だったこともあり、母に実際にセリフを読んでもらってそれを完コピしたりもして、工夫しながらとにかく必死に取り組みました。現場に入れば、ヒロインの夏菜さんや風間俊介さん、そして義理の父親役を武田鉄矢さんが演じられていたので、圧倒的な存在感がある俳優さんに囲まれてとにかくがむしゃらな毎日でした」

―― ドラマ撮影を終えて感じたことは?

「まだまだ未熟だったけど、演技の楽しさや面白さに感動していました。武田鉄矢さんをはじめ共演した皆さんが『メアリーは、女優を辞めないで自信を持って続けて欲しい』って言ってくれて、その言葉がすごくすごく嬉しくて。あの時の皆さんのエールがあったからこそ、『難しいかもしれないけれど不可能ではない、女優に挑戦してみよう』って、新しい覚悟ができたのだと思います」

ドラマ共演者の俳優陣も、新人女優として仕事に真摯に向き合うメアリーの姿に、女優としての素質を見出していたのかも――。そこからの活躍は皆さんもご存知の通り。人気ドラマで歯に絹着せぬサバサバ女子を演じたり、大ヒット映画やCMにも引っ張りだこに。

社会人として、表現者として、モチベーションの保ち方

ドラマや映画はもちろん、NHKの子供向け番組にもレギュラー出演をしているメアリー。忙しい毎日を送る中で、体力やモチベーションをキープするのは容易なことではないはず。ましてやコロナ禍での制作現場は、気苦労や周囲への気遣いも多いのでは? そんなメアリーに、モチベーションの維持について聞いてみました。

―― モチベーションを保つ方法は?

「ONとOFFの切り替えをしっかりとつけること。アクセルを踏みっぱなしでいると心も体も疲弊してしまうので、休むときは徹底的に休む! 基本的なことかもしれないけれど、私にはこれがいちばん! 自然に触れることも私には欠かせないので、休みの日は外に出て太陽の光を浴びて深呼吸して、大きな木に抱きついて元気をもらいます。朝日や夕日など、美しいものを見ることもおすすめですね。あと、考え込んでしまうことがあっても夜に考えるのはやめること! 深夜の考え事は、いい方向に向かないので」

――ちなみに、メアリーの元気飯ってある?

「ありますよ! ラーメン‼︎ 落ち込んでいるときは、たまに美味しいラーメンを食べちゃいます(笑)。落ちこむたびに食べるわけにはいきませんが…ラーメンを食べると、『私、なにに悩んでたんだっけ!?』と、明るい気持ちになるから不思議。きっと、幸せ物質が分泌されているんだと思います(笑)」

悩みながらも丁寧に自分らしく前進し、自然のエネルギーで心身を浄化し、ポジティブというひと言では片付けたくない、強くてやわらかで丸みのあるハートを持っているメアリーの魅力。落ち込んだときに、たま〜に食べるというラーメンのエピソードも、自身にストイックでありながら柔軟性も兼ね備えている彼女らしさが垣間見えます。

★CanCam創刊40周年記念インタビュー「高橋メアリージュンさん編」は、次週で最終回。懐かしのCanCam編集部でのひとコマや、メアリーから読者の皆さんへのメッセージなど、盛りだくさんでお送りします! お楽しみに。

高橋メアリージュンProfile/滋賀県出身。1987年11月8日生まれ。2004年から『CanCam』(小学館)のモデルとして活動をスタート。卒業後は、舞台や映画、ドラマなど幅広いジャンルで活躍。現在放送中の月10ドラマ『アバランチ』(カンテレ・フジテレビ系)では、抜群の身体能力を誇る元自衛官・明石リナ役を熱演中。少しずつ明らかになっていく〝アバランチ〟の正体など、最終回に向けて目が離せません!
撮影/もろだこずえ スタイリスト/松野下直大 ヘアメイク/堀 絋輔(プラスナイン) 取材/星野未和