ウルトラテクノロジスト集団・チームラボの中の人ってどんな人?クリエイター女子インタビュー

様々なアート作品で、世界中を魅了し続けるチームラボ。プログラマ、エンジニア、数学者、建築家、デザイナー、アニメーター、絵師など、様々なスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団で、国内外で今もっとも注目を浴びている会社です。

スペシャリストばかりの会社って、いったいどんな人たちが働いているのでしょうか。先日お送りした会社訪問『宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ』担当インタビューに続き、アート展示を担当するチームで海外プロジェクトに関わることの多い谷口仁子さんにお話をお聞きしました。

個性のかたまりばかり、さぞまとめるのは大変だろう……という勝手な想像が、時には想像通りだったり、いい意味で裏切られたり。読むだけで仕事がしたくなるに違いないインタビュー、心してどうぞ!

チームラボ

Woman Insight編集部(以下、WI) 現在のお仕事内容について教えてください。

谷口仁子さん(以下、谷口) 入社以来「カタリスト」という肩書きで仕事をしています。チームラボには「上司」とか「リーダー」といった概念がなく、プロジェクトごとにチームを組んで、共同で仕事をするスタイル。そのなかでカタリストは、最初にお客さまや美術館の方とお会いしてコミュニケーションしながら、どんな作品や展示内容にするかを話し合ったり、展示や作品に応じて「この技術が必要だから、この人を入れよう」など、チームを作ってプロジェクトを進めていく役割です。

 

WI 最近の代表的なお仕事といえば?

谷口 いろいろありますが、たとえばシンガポールの巨大な空中に浮かぶ船のプールで有名なマリーナベイ・サンズの隣にある、アートサイエンス・ミュージアムで、常設展『FUTURE WORLD: WHERE ART MEETS SCIENCE』を担当しました。以前から有名な美術館ではあったのですが、人がたくさん来ていてチケットが時間制になり、現地のスタッフからはうれしい悲鳴をいただきました。

チームラボ
シンガポールのアートサイエンス・ミュージアム。なんと90分待ち!

WI とても人気なんですね! どんな内容の展示なのでしょうか。

谷口  チームラボの「アート」と「未来の遊園地」による、1500平米もの巨大な常設展示で、『百年海図巻 アニメーションのジオラマ』『憑依する滝』『クリスタルユニバース』など、全16作品を展示しています。

百年海図鑑
百年海図巻 アニメーションのジオラマ』は、部屋をぐるっと映像で囲い、中はフワフワな素材で横になれるようになっている
『憑依する滝』
憑依する滝』天井が7mと高く、滝の迫力が表現できている

谷口 「高い天井を活かして迫力ある作品を展示をしよう」「子供も大人もわくわくするような作品を」など、展示のコンセプトや空間など、ひとつひとつの作品だけではなく、展示全体のバランスも考えるようにしています。

みんなの描いた様々な生きものたちによって創られる自然の世界の作品『Graffiti Nature』。生きものたちが、他の生きものを食べたり、食べられたりしながら、共に同じ1つの生態系をつくっています。「ワニが大量発生すると、結構な数の動物が食べられてしまうんです(苦笑)」。
みんなの描いた様々な生きものたちによって創られる自然の世界の作品『Graffiti Nature』。生きものたちが、他の生きものを食べたり、食べられたりしながら、共に同じ1つの生態系をつくっています。「ワニが大量発生すると、結構な数の動物が食べられてしまうんです(苦笑)」。

 

WI 谷口さんがアートの道に進んだきっかけは?

谷口 小さい頃からアートがすごく好きで、アートに関連した仕事に就きたいなという考えはありました。小学生のときは、理科の授業でやった電池をつないで豆電球を光らせるような実験をやった後に、それを独自に応用していろいろ作ったりしてる子でした。

 

WI では、最初の就職からそのつもりで?

谷口 いえ、大学は外語大に進んで、一度メーカーに就職して、事業企画みたいな仕事をしていたんです。でも、会社の夏休みにロンドンの芸大の短期コースを受けに行ったら、これがすごく楽しくて! 独学ではなくちゃんと学びたいなと思って、会社を辞めて留学しました。

 

WI それは、人生の転機ですね! ではロンドンにいらっしゃるときにチームラボを知ったということですか?

谷口 そうなんです。大学の外国人クラスメイトから「チームラボっていう面白そうな会社があるよ」と聞いたのがきっかけ。大学卒業後は世界のどこでもいいからアートに関わる仕事がしたくて、デジタルアートにも興味があったし、学んできた立体物や空間を使ったインスタレーションのメソッドにプラスアルファした仕事ができそうだなと思いました。何より、アートって個人でやることが多いんですが、「チームでやる」っていうコンセプトが魅力的だな、と。

 

WI お仕事の中で大変なこと、辛いことはありますか?

谷口 チームラボの作品は、とにかくつくるのが大変で(笑)。例えば、『クリスタルユニバース』という作品。ドットはひとつひとつが全てLEDなんです。LEDを上から吊るための構造を計算して、LEDも場所を間違えないように番号を全てにつけたり、設計通りに取り付けるだけでも何万個もあるので、かなり神経を使います……。

crystal universe
クリスタルユニバース

谷口 他にも、たとえば海外で展示するとき。チームラボでは展示空間の施工や機材の取り付けは海外の現地の方にお願いすることになるんですが、「難しすぎる」と言われることが多々あります。そもそも海外だと、やってくれる施工会社自体を探すのも大変だったりしますし、実際に会って説明する機会も日本でやるよりかなり限られます。だから「図面を送ってもできない」「どうなっているのか分からない」と最初は言われてしまうこともありますね。

WI 海外の方との遠隔コミュニケーションは難しそうですね。

谷口 でも、つくり終わる頃には「この作品をつくることができてよかった」「このアート作品に関われて良かった」と言ってもらえることが多くて。それは本当に嬉しいですね! 作品の制作過程では大変な事もありますが、オープンしてからお客様の歓声がきこえると、頑張って良かったなと思います。

巨大な空中に浮かぶ船のプールで有名なマリーナベイ・サンズの、蓮の花の建物のアートサイエンス・ミュージアムに、チームラボの「アート」と「未来の遊園地」による、1500平米もの巨大な常設展示
蓮の花のような建物、シンガポールのアートサイエンス・ミュージアムの外観。1500平米もの巨大な常設展示をチームラボが担当している

「個人でも制作活動をしているのですが、最近は時間がなくて小さいものしかつくることができていないので、スケールの大きい作品も作りたいです!」と、にこにこしながらこれからの目標を語ってくださった谷口さん。

ひとりひとりが熱意あるアーティストであることが、チームラボの強いクリエイティブ力につながっているのかもしれません!(たきたて玄米)

 

チームラボ/teamLab
プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。他、「ミラノ万博2015」の日本館、ロンドン「Saatchi Gallery」、パリ「Maison & Objet」、5時間待ち以上となった「DMM.プラネッツ Art by teamLab」など。2月からシリコンバレーでの個展を開催中。また3月からシンガポール、8月から韓国で巨大な常設展開催中。今後、ロンドンや北京、台湾などで開催予定。
チームラボ作品紹介: http://www.team-lab.net/jp/
チームラボInstagram: https://instagram.com/teamlab_news/
チームラボFacebook: https://www.facebook.com/TEAMLAB.inc
チームラボtwitter:https://twitter.com/teamLab_net
チームラボYouTube: https://www.youtube.com/c/teamLabART

【あわせて読みたい】

※プロヴァンスを五感で楽しむ!ロクシタン×チームラボの夢コラボが美しすぎ

※【美人スマホの中身】敏腕ディレクターが愛用する「気持ちのいい」アプリとは?

※キャリアウーマンが教える!モテ女の秘訣は、強気と弱音を使い分けること

※美容業界のレジェンドが語る処世術「働く女性に最も大切なのは『俯瞰力』」

※30代課長クラス男性に聞いた!「仕事ができる女子」5つの条件