ピルってなに?避妊効果は?ピルのメリットデメリット聞いてみた

【ピルの基本】意外と知らない!ピルにまつわるアレコレ

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ピルを飲むことでひどい生理痛を軽減できるって聞くけど、実際のところどうなの? 気になってはいるけど、実はよく知らなない…という方も多いはず。意外と知られていないピルがもたらす効果や、基本情報について産婦人科医の深沢瞳子先生にお伺いしました。

ピルって何?

「一般的に広く知られているピルとはエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンの配合剤のことを指しています。ピルを服用すると、少量の女性ホルモンの作用によって、体が妊娠状態であると誤解をし、一時的に排卵を休憩することができます。排卵が休憩できるので避妊薬としても使われていますが、現在では排卵を休憩すると、経血量が減り、生理痛が楽になったり、排卵によるホルモンの波(ゆらぎ)がなくなるので月経前症候群の症状が改善したり、ニキビがよくなったり、と色々な効果が報告されています。実は、ピルにはたくさん種類があり、含まれている女性ホルモンの量や構造の違いによって、効果効能や副作用も変化します。病状や目的に合わせて、自分に最適なピルを婦人科で相談してみてください」

何歳まで飲める?

「合併症や喫煙などがなければ、だいたい閉経を迎える50歳頃まで服用できます」

ピルの価格帯は?

「保険診療であれば1ヶ月2,000円程度」

ピルを服用するメリット

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①高い避妊効果がある

「ピルを飲み忘れずに正しく服用すれば避妊率は99%以上と言われています。コンドームを着用のみで避妊した場合の失敗率は17%程度なので、ピルの服用での避妊率は圧倒的に高いものといえますし、男性任せではなく女性が主体となって避妊ができるのも大きなメリット。ただし、ピルでは性感染症予防はできないので、ピルを服用していてもコンドームはしてください」

②生理のコントロールができるようになる

「生理がいつくるかが分かるようになります。旅行やデートなどの大切なイベントの予定も立てやすくなるので、いつ来るか分からない生理に翻弄されることもなくストレスフリーで過ごせます。また、月経を自由に移動させることもできます」

③生理痛が軽減される

「生理痛が軽減され、全く痛みを感じなくなる人も。生理痛を放っておくと子宮内膜症という病気の発症につながることがわかっています。生理痛がない人に比べて生理痛がある人は子宮内膜症を発症するリスクが2.6倍も高くなるというデータもあります。子宮内膜症は将来の不妊症や卵巣癌、妊娠時のトラブルに関与することもわかっていて、子宮内膜症の発症を防ぐことは将来のライフプランにおいて重要です。ピルで生理痛の治療をすると子宮内膜症の発症を予防する効果が期待できます」

④経血量が減る

経血量が減り、月経期間も短くなるので、多い日用のナプキンやタンポンを用意したり、寝ている間に漏れてしまわないか心配する必要もありません。生理期間中に白い服を避ける必要もありませんよ」

⑤月経前困難症(PMS)が軽減される

「生理前にイライラしたり、食欲が増えたり、泣きたくなったり……PMSには身体的、精神的に症状が多岐に渡るため悩んでいる女性が多いのも特徴。ピルの服用でPMSがなくなり楽になった、という声も非常に多いです」

⑥ニキビができにくくなる

「ピルの服用によりホルモンバランスが安定するので、ニキビができにくくなります。服用してから3〜4ヶ月経つと肌が綺麗になっていきますよ」

ピルのデメリット・副作用は?

①マイナートラブル

「服薬開始直後はむくみや吐き気、頭痛などを感じる人がいます。このような症状をマイナートラブルと言いますが、ほとんどの人は感じることはありません。もしマイナートラブルが起こったとしても飲み始めて2〜3ヶ月経つとだんだんとなくなっていきます。また飲み忘れなどがあると不正出血を起こすことがあります」

②血栓症

「ピルの副作用として最も気をつけなければいけないのが、血栓症。ただ血栓症が起こる確率は1万人に5〜6人とかなり低いことも報告されているので、心配しすぎも良くありません。かかりつけの婦人科で定期検診を受けながら、何か気になる症状があった時はすぐに相談してください。血栓ができてすぐに重篤な状態になるわけではないので、きちんと婦人科でフォローしていれば問題はありません。ただし、肥満の方や、タバコを吸っている方は血栓症のリスクを高めるので、服用には注意が必要です」

ピルについて正しい知識を持つことが大切

ピルには様々な種類があり、目的やライフスタイルに合わせて服用することで、生理の悩みからの解放につながるということがわかりました。医師との相談の上、賢くピルを利用して快適な月経期間を送りたいですね。


教えてくれたのは……赤羽駅前女性クリニック 深沢瞳子先生

赤羽駅前女性クリニック 深沢瞳子院長。日本産科婦人科学会 産婦人科専門医。一人一人に寄り添った親身なアドバイスに定評があり、週刊誌やファッション誌をはじめ様々なメディアに引っ張りだこ。ピル専用外来も行う。https://akabane-ekimaecl.com/

 

取材・文/齋藤奈々