生理痛がひどい、経血がドロッとしてる…放っておくと怖い生理のハナシ

生理痛がひどい人は要注意!放っておくと怖い生理のハナシ

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毎月起こることだから悩みが尽きないのが生理。つらい生理だけど、相談しづらいが故に痛みを放っておくのは危険!「毎月ひどい生理痛に悩まされている」、「経血の量が多い」という方は、もしかしたら病気のサインかも。

今回は、生理についてのギモンや、生理にまつわる病気について産婦人科医の深沢瞳子先生にお伺いしました。

生理痛がひどい場合に考えられること

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「月経期になると子宮が収縮をして子宮内膜を剥がそうとします。その時に血管が破綻して出血し、その出血とともに子宮内膜が子宮外へ排出される。それが月経血です。生理痛がある場合、子宮内膜がうまく剥がれずに強い収縮が起こっている可能性があります。強い収縮が起こると月経血は子宮から膣の方へ排出されるだけでなく、子宮から卵管を通じておなかの中に逆流することがわかっています。そして、この逆流した月経血が子宮内膜症を発生させると考えられています。生理痛がある人は生理痛がない人に比べて子宮内膜症になるリスクは2.6倍も高くなることが報告されています。ほかにも、生理痛には子宮筋腫、子宮腺筋腫症などの病気が潜んでいることも。さまざまな病気を見逃さないために、生理痛に悩んでいる人は婦人科に受診するのをおすすめします」

経血が多い、ドロッとしているのは普通?

「ドロッとしたレバーのような塊が出たり、ナプキンが1時間でいっぱいになるくらい経血が多量であれば要注意。ホルモンの分泌異常によって子宮内膜が通常よりも厚くなっていたり、子宮内膜ポリープや子宮筋腫、子宮腺筋腫症などの病気が隠れていることもあります。経血が多いと毎月少しずつ貧血が進行していくので、はっきりとした貧血症状を自覚することがなく、発見が遅れてしまう方もいます。貧血症状がなくても経血が多いと思ったら一度婦人科に診てもらいましょう」

子宮内膜症になると不妊症のリスクが上がる

「さきほど、生理痛がある人は生理痛がない人に比べて2.6倍も子宮内膜症になるリスクが上がるとお話しましたが、もし子宮内膜症になると不妊症になるリスクが高くなります。また、無事に妊娠できても、妊娠中に前置胎盤や常位胎盤早期剥離といった合併症を引き起こしたり、将来の卵巣がんのリスクや脳梗塞や狭心症などの心血管系の病気のリスクまで上昇させることがわかっています。生理痛は女性の生涯に渡って様々な病気をもたらす一因になっているということです」

生理痛を改善するにはどうしたらいい?

「まずは一度婦人科で診てもらうのが一番。子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫といった病気が隠れていないか診てもらいましょう。これらの病気によって起こる生理痛を器質性月経困難症と言います。それぞれの病気の状態や患者さんの年齢、バックグランドによってピルや漢方薬をはじめとする薬物療法が選択できます。場合によっては手術が必要になることもあります。また、まだ病気が発症する前の生理痛を機能性月経困難症と言いますが、先ほどもお話ししたように、生理痛を放っておくと子宮内膜症などを発症リスクが高くなってしまいますので、やはり放っておかずに治療したぼうが良いでしょう。治療によってほとんどの方が煩わしい生理痛から解放されます」

ピルがもたらすメリット

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「ピルには避妊効果だけでなく、劇的に生理痛を改善する効果も。生理痛を改善することで子宮内膜症の発症を予防できることもわかっています。その他生理周期が安定したり、経血量を減らしたり、PMS(月経前症候群)やニキビも改善されるなどのメリットが」

生理痛を放っておくのは絶対ダメ!

生理痛をそのままにしていると子宮内膜症の発生率が高くなると言われています。気づかないうちに病気が進行しているケースもあるので、毎月生理痛に悩まされている方は一度婦人科へ診てもらいましょう。


教えてくれたのは……赤羽駅前女性クリニック 深沢瞳子先生

赤羽駅前女性クリニック 深沢瞳子院長。日本産科婦人科学会 産婦人科専門医。一人一人に寄り添った親身なアドバイスに定評があり、週刊誌やファッション誌をはじめ様々なメディアに引っ張りだこ。ピル専用外来も行う。https://akabane-ekimaecl.com/

 

取材・文/齋藤奈々