職場のお局様のイヤミをなんとかしたい方へ。心理学の専門家によるアンサー
何かとストレスが多い「仕事」のシーン。
仕事内容もそうですが、どうしても合わない人が職場にいると、かなりしんどいですよね。
今回のお悩みは「お局様のイヤミ」について。もしかしたら、教育的観点で指導をしてくれているのかもしれない。こちらに至らない点があるのかもしれない。向こうは無意識なのかもしれないし、ちょっと対処を間違えたらさらに悪化しそう。そんな、対応にちょっと困るお悩みです。
今回は読者の方から寄せられたお悩み「お局様のイヤミを止める 方法」について、「精神看護学」や「ポジティブ心理学」を専門とし、「セルフ・コンパッション」を研究テーマとしている東京医療保健大学の秋山美紀先生にうかがいました。
【今回のテーマ】職場のお局様のイヤミをどうにかしたい
Q.職場のお局様がとにかくイヤミを言う人です。自分がターゲットにされているときもムカムカしますが、同僚の子が言われているのを見るのも悲しい気持ちになります。うまく対処する方法はあるのでしょうか。
A.反抗もせず、しょんぼりもせず、ただただ普通に接してください。
イヤミはたまりませんよね……。
私が若い頃には、お局様のイヤミに対してイヤミを返したこともありますが(若いっておそろしいですね)、これは火に油を注ぐ結果になるので、おすすめしません。
このイヤミを言うお局様は、おそらく日頃、何か満たされないところがあるのだと思います。きっと仕事や人生に満足していたら、イヤミなんて言うヒマはないし、思いつきもしません。お局様なりに「自分の人生、これでいいのかな」と悩んでいるところがあると思います。若いあなたがたを見て「いいなぁ、自分も若かったら、こんなこともあんなこともできるのに」と、羨ましく思っているかもしれません。そう、あなたがたが何も悪いことをしていなくても「若い」というだけで、やっかみの対象となってしまうこともあるのです。ほんのちょっと、そんなお局様の悩みに心を寄せてみるのも、イライラを軽減する助けになるかもしれません。
ただ、逆にお局様が心から「あなたがたを鍛えようと思って行っていること」を、あなたがたがイヤミと受け取っている、というケースも考えられます。そこで、そのイヤミの内容は、教育的なものなのか、それとも本当に意地悪なのかといった吟味も必要となってきます。人は「自分が責められている」と感じると、それから守ろうとします。そうすると、心を開いて人と関わることができなくなります。必要以上に自分が心を閉じていないか、チェックする必要はあります。
ターゲットになっている子がいたら、特に優しくしてあげてくださいね。具体的には「あなたが頑張っていることは私がよくわかっているから、気にしないで一緒にがんばろう」といった声をかけてあげてください。ただ、そのときに注意したいことは「一緒にお局様の悪口で盛り上がる」ことはしないようにすることです。あくまでも、ターゲットになっている子のつらさに寄り添うだけでよいですよ。
お局様に対しては、反抗する態度は見せず、しょんぼりした態度も見せず、ただただ普通に接しましょう。「ああ、また何か言ってるな、さびしいんだなー」と思いながら。
こちらの反応が乏しいと、お局様もイヤミの言い甲斐がなく、少しおとなしくなるかもしれません。そして少しでもお局様がこちらに気を遣うようなことを言ってきたら、そこはおもいっきりキャッチして「先輩にそう言っていただけるとうれしいです!」「いつも厳しい方からそう言っていただけると、よけいうれしいです!」と、おもいっきりポジティブなフィードバックをしてあげましょう。そうすると、お局様も「イヤミを言うより褒めるほうが気持ちいいわ~」と思ってくれるかもしれません。
東京医療保健大学 医療保健学部 准教授 秋山美紀先生
保健学博士、看護師、保健師
精神看護学・ポジティブ心理学を専門とし、「セルフ・コンパッション」を研究テーマとしている。