【アラサー婚活事件簿】チューブのわさびに苦言を呈す、自分にも他人にも厳しい男

アラサー婚活事件簿 第2回「チューブのわさびに苦言を呈す、自分にも他人にも厳しい男」


婚活。
アプリ、パーティ、合コンのような会、友達に紹介してもらう、過去の人間関係をたどってみる……など、さまざまな形態の「婚活」が存在します。

基本的に共通の知人がいない、相手のバックグラウンドを知らない状態で、ある意味偶然の出会いの場に自分から突っ込んでいく「アプリ」「パーティ」などでは、いい意味でも悪い意味でも、「日常生活で出会うことのない男」に遭遇します。

これから私が実際に遭遇した、婚活にまつわる事件をご紹介していきます。

 

前回、「離婚しているけど、子どもがいる」という事実を伏せられたまま、写真と実物がまったく違う恰幅が良い人(婉曲)に会ってしまったライター、菅原。

今回はまた別の人とやりとりをし、二度会った中で起きた、とある事件についてです……。

寿司

◆グイグイ攻めてくる、やり手男


ふとマッチングアプリで「いいね」が来ていて、とある自分にとても響く共通点があったことから「いいね」をし、そこからやりとりが始まったBさん(仮)。プロフィールの感じからして、バリバリ仕事をしているような男性で、いいな、と思っていた。

一度やりとりが始まったら非常にマメな人で、おはようからおやすみまで毎日のようにメッセージが来て、何かしら褒めてくれた。「来月どこそこに出張に行くんですよ」という話をしたら、「いいなぁ、同じ時期に行こうかなぁ」なんて言われたりして、「きっとこの人は私に興味を持ってくれているんだろうなぁ」と感じた。恋愛から数年遠ざかっていたけれど、恋愛の始まりってこういう感じなのかもしれない。と、淡いうれしさに包まれていた。

 

ほどなくして、直接会うことになった。私の会社から歩いていける、けれど、最寄り駅は違う、という絶妙な場所を選んでくれた。(会社から近すぎると会社の人に遭遇する可能性もあって、それもそれで気まずいものだ。)
「チェーン店にあまり行きたくないんですよね」的なことを差しはさみながら、(私はそれをわざわざ言うってちょっと面倒な人かもしれないな、と思いながら)おいしそうなお店を選んでくれて、食べログのURLが送られてきた。

 

駅で待ち合わせをしてお店に着くと、そのお店の1階にあるラーメン屋さんは、私がとても好きなお店で、面白い偶然もあるものだなと、そういう運命なのかもしれない、と感じた。

すごくお酒が好きな人で、平日どまんなかにも関わらず日本酒飲み放題コースを頼んでいた。初対面だし、お酒を飲みすぎるのもよくない……と、最初は思っていたけれど、まさにその「初対面」の緊張も手伝って、私は死ぬほど日本酒を飲んだ。

「飲むねぇ!」と向こうは喜んでいたけれど、正直私は飲み過ぎてあまり記憶がない。

ただ、お刺身についてきたわさびに対して「これはチューブのわさびだね」とちょっと苦い顔をしながら言っていて「食通なんだろうけど、細かい人だなぁ、この人にごはんを作ったら食材の原材料とかめちゃめちゃ気にされそうだし、だしもかつおぶしと昆布でちゃんととらなきゃいけなさそうだなぁ」とぼんやり思ったことは、なぜだか覚えている。

 

わさび
(c)Shutterstock.com

あとは、帰り道に「もっと甘えてほしい」なんてことを言われた気もした。
私は最後に付き合った彼氏にもそんなことを言われたけれど、いざ甘えると「それはできない」と突っぱねられたりして「甘える」とは何ぞや問題にずっと直面していた。
甘えるのが苦手なので、おいおいこれからですね、と言い放って帰った気がする。
駅の改札をくぐった記憶はあるが、はっと気づいたら家のベッドにいた。コンタクトも外して化粧も落としていてパジャマは着ていて、最低限の身支度はして寝たらしい。

その翌日も「甘えてほしい」「頼ってほしい」と連絡がきていた。
正直、付き合ってもないのにそんなぼんやりと「甘えてほしい」なんて要求をされるのは、非常にだるかった。甘えるということは、甘える側がある程度自分の弱さをさらけ出す必要がある。まだ会って間もない人にそれをできる人はできるんだろうが、私はそれが苦手な側の人間だった。甘えてほしいと言われても、具体的に何をしたらいいのかさっぱりわからない。
きっと、これまでBさんが出会ってきた女性は、甘えるのが得意な女性が多いんだろうなぁと思った。

 

◆地雷を踏みまくる事件


なんやかんやとやりとりをしていて、もう一度会うことになった。

私が忙しい時期だったけど向こうはもっと忙しい時期で、向こう2週間でお互いの都合が合う日は1日しかなかった。けれど私はとても疲れていて、ちょうど数日前に人生最大のお酒の失敗をやらかしたばかりで(いろんな人に知らないうちに暴言を放ちまくっていたらしい)、やんわりとリスケをお願いしたけれど、向こうが「会いたい」とのことで強行になった。

1回めに日本酒を飲みまくっていた私は、本当に数日前にお酒の失敗をしていたこともあって、Bさんの「飲まないの?」に対し「いや、今日はそんなに飲めないんです」と正直に伝えて、お水を1杯飲みきるまで次のお酒を飲まないようにしていた。

 

疲れているからか、それとも2回めで前回より素が出てきているのか、話しているうちにどんどん「なんか違う」がボロボロと出てきた。
Bさんは、自分に厳しくて、他人にも厳しかった。そして私もかなり「プライドが高い女だ」と言われてきたけれど、Bさんはその私をさらに上回るプライドの高さだった。

 

Bさんもきっと疲れていたのだろう、話していると「こんな人はイヤだ、あんな人はイヤだ」というNG条件がどんどん出てきた。こういうネガティブな話が出てくるようになるから、疲れている日はあまり人に会ってはいけない気がする。
たとえばどんなに偉い人相手であっても、人によって態度を変える人がイヤだとか、媚びる人がイヤだとか。きっとまっすぐに自分の正義を大切にしているのだろうし、どれも間違いではないけれど、地雷が多いんだろうな、ということはわかった。
友人があまりいなくて、休みの日はトレーニングをしているか、ひとりで映画に行くことが多い、と話していた。だろうな、と思った。この人と一緒にいたら、息が詰まってしまうような気がした。

 

私自身、それまで「正しいこと」は絶対だと思っていた。正論をぶちかましていろんな人を追いつめていた。けれど、私よりももっと「正しいこと」を重視する人と対峙していたら、私と対峙してきた人は、今までずっとこんな気持ちにさせられていたんだと実感し、申し訳ない気持ちになった。

 

会って2時間くらいした頃、私の気疲れはピークに達してしまい、Bさんはきっとこれを言ったらあまり良く思わないだろうなぁ、とガマンして言わないできた、人間関係にまつわることの地雷を、おそらく立て続けに踏みまくった。

 

そのくらいからか、途中で「じゃあ来月の中旬くらいには落ち着くから、そのくらいにまた飲もう」という話になって、中途半端な空気のまま解散した。
もちろん改札で甘えてほしいなんてことは言われなかった。
けれど、他人に厳しい人に甘えるのって、ものすごく難しいなと思った。

 

その日以降、あれほど毎日おはようからおやすみまでずっと来続けていたLINEは、ぴたりと止んだ。

【次回予告】
自分の趣味に初対面の女を5時間付き合わせる男との婚活事件簿

 

 

 

★アラサー婚活事件簿シリーズ
結婚したいかしたくないのかいまだにわからないまま婚活を続けるアラサーライター、菅原ひかるの実録婚活記。持ち前の星回りの悪さと思い切りの悪さで、彼氏いない歴ウン年の更新を続ける。

 

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