「超・アウトドア派です!」というわけではない普通の女子がひょんなことから、島全体が世界自然遺産に指定されている島、父島にやってまいりました。今回は「山」をレポート。
父島3日めは、「ハートロック」と呼ばれる千尋岩をトレッキング!
【これまでの記事はコチラ】
第1回→ 【連載】世界遺産・小笠原に普通の女子が行ってみた(1)〜大荒れの海を渡り、いざ南の島へ〜
第2回→ 【連載】世界遺産・小笠原に普通の女子が行ってみた(2)〜海でくじらとリアル竜宮城を見た〜
このハートロック、新婚さんやカップルに特におすすめのスポット。なんせ、この父島にあるハートは、間違いなく地球規模にでっかいハート。しかもそのビッグハートは、50km離れた母島の方を向いているんですよ……父からのハートが母を向いているなんて! 出来過ぎた話じゃないですか! ツアーで同行した方の中にもやっぱり新婚さんがいらっしゃいました。お幸せに! しかし私は独り身で臨みます!
さて、片道4km、往復8kmのハートロックトレッキング。当日行ったらサラッと「8kmの道のり」と言われましたが、運動不足でも本当に大丈夫なんでしょうか、8km。ちなみに8kmがどのくらいかというと、だいたい池袋駅から渋谷駅くらいです。遠いです。
しかし、道中はガイドさんが小笠原諸島固有の動植物の説明を丁寧にしてくださるのもあり、昼休憩も含め6時間半のコースを楽々歩けました。
とにかく山は天然記念物と固有種の宝箱でした。
まずは、小笠原の固有種をおびやかすような動植物を持ち込まないために、靴の裏や衣服の付着物を取り除いたり、酢をふりかけて消毒します。準備が終わったらいざ登山!
流れる川に泳ぐアメンボは、「オガサワラアメンボ」という天然記念物! アメンボさえも天然記念物とは……父島おそるべし。
画面中央、木の幹にとまっているトカゲは「グリーンアノール」という種類。「かわいい!」と思ってしまいますが、実はこのトカゲ、ペットとして父島に持ち込まれたものが野生化し、小笠原の固有種に壊滅的な被害を与えているそう……。
かわいいんですけどね。(写真はグリーンアノールの赤ちゃん。ほんとうにちっちゃい!)
メジロ発見。山にはメジロとウグイスがとにかくたくさんいました。鳥好きにはたまらない!
小笠原の固有種であるタコノキ。大量に生えていたのですが、どれも根っこがものすごく長い……。この根っこがタコのようであることから、「タコノキ」と名付けられているそうです。わかりやすいです。しかし、この根っこの力強さ……かなりの生命力を感じます。
一瞬「ヘビ!?」と驚いてしまいましたが、これは「マルハチ」という木。
マルの中に漢字の「八」があるような柄なので、「マルハチ」というそうです。「タコノキ」といい「マルハチ」といい、わかりやすい名前が多くていいですね!
また、父島は太平洋戦争時に要塞となった場所でもあります。当時の戦跡も、数多く見受けられました。
これは、発電機の部品と言われています。山の中で電気が作られていたそうです。
ジープが通ったと言われる通路。ここが通路なのはわかるのですが、いったいここまでどうやって来たんだろう……と疑問に思うばかりでした。(車が通れるとは思えないほど狭い道の箇所がありました。当時と地形が変わっているのか、何か裏道があったのか……妄想は広がる……)
陸軍の通信所跡地もありました。分厚いコンクリートで作られています。
中はこんな感じになっており、今でも登山中にスコールがきたときには雨除けの場所として使われています。
乗り捨てられた車もありました。きっと、ここで壊れてしまって、置いていくしかなかったのでしょう。
「確かにこの地では戦争があったんだ」とかみしめながら、道を進んでいきます。
若干急なので、ロープをつたっておりるところも。ツライのですが、そこを超えると……。
ですが、もう1回ロープゾーンが待ち受けていました。急です! かなり急です! さっきより急です!
しかし2回めのロープゾーンを超えると、本当にあと少し! あとはあのてっぺんまでのぼればゴールです。
そして、3時間のトレッキングののちに広がる景色は……。
どこを見回しても、まさに、絶景。
どこまでも見える海。ぼんやりと見える母島。改めて、 地球規模に大きなこのハートが母島と向かい合っていることを実感します。
真っ青な空。3月なのに夏のような雲。世界は驚くほど鮮やかです。
そのまま、ハートロックの上でしばし昼休憩。しかし、日差しがものすごく強いです。「父島は太陽がすごく強いので、日焼け止めは1時間おきに塗りなおさないと効きませんよ!」とガイドさんは笑顔。ああ、もっと早く知りたかった……きっともう効かない……。
日焼けを避けたい方は日焼け止めをこまめに塗りましょう!
帰りもさまざまな固有生物の解説を受けながら下山していると……。
ヤギ発見!!!
これは「ノヤギ」と呼ばれるヤギで、外から持ち込まれたヤギ。小笠原の固有種が食べられてしまい絶滅寸前になっているところから、少しずつ数を減らしている途中のようです。
こちらもグリーンアノール同様かわいいのですが、天然記念物・固有種パラダイスな父島では種をおびやかす存在……。「ツツジ山」と呼ばれる山があるのですが、そこに生えているツツジをヤギが軒並み食べてしまい、「ツツジ山」の由来となった、もとは大量に生えていた固有種の「ムニンツツジ」はなんとあと1本で絶滅してしまうそう! あと1本……。
ちなみにノヤギは雨が嫌いらしいので、ノヤギが必死に崖をおりて森の中に駆け込んでいるのを発見したら、それはもうすぐ雨が降るしるしだそうです。
ここでは紹介しきれませんでしたが、とにかくガイドさんが指を差すありとあらゆる動植物が天然記念物や固有種。小笠原諸島が世界自然遺産に選ばれた理由が、身を持ってわかったような気がしました。
さて、次回は同じくパノラマの絶景でも、「夕陽」編。そしてそこから父島の夜についてご紹介します。(後藤香織)
次回はコチラ→ 【連載】世界遺産・小笠原に普通の女子が行ってみた(4) ~贅沢な夕陽と、食とお酒の愉しみ~
【あわせて読みたい】