ひょんなことから世界自然遺産の島、父島にやってきた「超アウトドア派です!」というわけではない、普通の女子による父島レポート第4回。今回は、夕陽&夜編です。
【ここまでの記事はコチラ】
第1回→【連載】世界遺産・小笠原に普通の女子が行ってみた(1)〜大荒れの海を渡り、いざ南の島へ〜
第2回→【連載】世界遺産・小笠原に普通の女子が行ってみた(2)〜海でくじらとリアル竜宮城を見た〜
第3回→【連載】世界遺産・小笠原に普通の女子が行ってみた(3)~超ビッグなハートから見た絶景~
父島の夕陽といえば有名なのは、通称「ウェザーステーション」こと、三日月山展望台。父島中心部である大村からわりとすぐ行けることもあり、観光客にも人気のスポットとなっています。
ですが、今回ガイドさんに連れてきていただいて訪れたのは、父島の中心部である「大村」から車で約15分ほどの「傘山」というスポット。現在はガイドパスがないと入れない場所になっていますが、以前は普通の島民に親しまれていた夕陽スポットです。
少々崖のようなところを登るので、もし訪れる際は必ず動きやすい服装で行きましょう!(※私はひざ丈スカートで行ってしまい結構後悔しました)
こんな感じのところをのぼっていきます。
おっかなびっくり崖をのぼると、そこに開けるのは360度パノラマの夕陽の世界!
360度、どこを見ても水平線。ああ、ここは本当に東京から1000km離れた絶海の孤島なのだ、と、今更のように実感させられます。
17:15に傘山のてっぺんに到着してから約20分、ただぼんやりと水平線に沈む夕陽を見続ける。こんなに贅沢な時間の使い方は、なかなかありません。
ただひたすらに、美しい海に夕陽が沈む風景を眺めていました。
そして、缶ビールくらい持ってくればよかったな、と思いました。おそらく、最高に美味しいお酒が飲めたと思います。
そうです、そうなんです。小笠原、ものすごく美味しいお酒が飲める場所なんです。
まず個人的にものすごくビックリしたのが、自販機で売られているお酒の豊富さ!
こちらもジュースかとおもいきやカクテル・チューハイ祭り。この2台がすぐ近くに並んでいました。
スーパーが18時台で閉まってしまうことがあるのですが、「この自販機東京にも欲しいです!」という充実っぷりです。……ちなみに、「東京にも」と言いましたが、小笠原は「東京都小笠原村」という、れっきとした東京都。実は島内を走る車は品川ナンバーばかりなんです。
もちろん飲食店も充実しています。島料理や島のお酒がいたるところでいただけます。島で作られている「島ラム」やパッションフルーツリキュールを使ったお酒がさまざまなお店で出されているのですが、これがまた美味。お土産屋さんにも売っているので買って帰ってきました。
島で採れた甘いトマトに、島で作られているお塩「島塩」をつけて食べるだけで極上のおつまみ。
さわらをづけにして握ったもので、わさびではなく洋がらしが使われているのですが、これがまたあっさり感と塩っ気のバランスが最高で、絶妙に美味しい! どんどんいけちゃいます。「丸丈」というお店でいただいたのですが、個人的には父島グルメMVPでした。お弁当でも販売しているそうなので、島の滞在中に食べられなくても、帰りの船でいただくことも可能とのこと。美味しすぎたので東京に戻ってきてから食べられるところがないか検索するレベルでした。
しかし、父島の飲み屋さんは、私のようなおひとり様女子でもリラックスして食&お酒を楽しめるようなホスピタリティ満載。
滞在2日目の夜にお邪魔した「南国酒場こも」のスタッフさんには特に気さくに話しかけていただき、とっても楽しい夜を過ごせました……。
話が盛り上がったついでに、南国酒場こもで働くスタッフあやの さん(写真右)に、小笠原の魅力を聞いてみました。
あやのさんはもともと島育ちなのかしらと思いきや、実は東京の出身。小笠原に滞在しているのは約1年前からとのこと。
「小笠原は出戻りが多いんです」とあやのさんは言います。
「私もそのひとりです。おととしの夏に小笠原に初めて来ました。ミーハーなので(笑)、世界遺産に行ってみようかなって。“父島が世界遺産に登録されて、これから観光客が増えるから、今の生態系はきっと少しずつ崩れていく。世界遺産登録当時の生態系が見られるのは今しかない”って聞いて、行くなら今だって小笠原に来たんです。そのときは短期滞在ですぐ東京に戻ったんですけど、翌年“やっぱり小笠原に戻りたい!”と思って、このお店で働かせてもらうことになって、今に至ります」
小笠原の魅力をうかがってみました。
「やっぱり、海と人。人がすごくあったかいんです。家のカギや車のカギをあけっぱなしにしても大丈夫なくらい(笑)。私が最初に小笠原に来たときも、おがさわら丸の中で一人旅チームで飲むことになったり(笑)。いる人も来る人もあったかいですよね。
夏の空も大好きだなあ。夏に1回来てほしいな。夏になると毎日海に行くんです。そして、“こっちの海でもあっちの海でも同じ魚見たな、これなんて魚なんだろう?”って思ったら、魚の図鑑を読んで調べてみたり。本当に飽きないです」
島に来て約1年。東京本土に戻りたい、と思うことはないかうかがってみました。
「たまに、マック食べたい! とか、24時間やってるコンビニが欲しいとかドラッグストア欲しいとか生クリーム食べたいとか本屋さん行きたい! とか思うこともあります。でも、欲しいものはだいたいAmazonで注文すれば島にいても手に入る。注文して“いつのおが丸の便で来るかな? 今回は乗ってるかな? あー乗ってなかった、じゃあ次の便だな”っていうのも、楽しいんです(笑)」
ちなみに、山編でガイドをしてくださった方は島に来て約4年。4年ともなればれっきとした島民です。中には、リゾートバイト感覚で数か月間プチ島民として楽しまれる方も多いそうです。
ここまで各種グルメを紹介してきましたが、父島滞在最後の夜、泊まったペンションの屋上で、波の音を聞いて満天の星空を眺めながら飲む缶ビールも、「これ以上に美味しいビールを飲んだことない」と思えるほど美味でした。とりとめのないことを延々考えてみたり、無数にまたたく星の数を数えてみたり……。どんな一瞬でも、尋常ではない豊かな自然の中で、贅沢に過ごすことができる。それが父島の魅力のような気がしました。
さて、次回はとうとう最終回。父島出港編です。(後藤香織)
次回はコチラ→ 【連載】世界遺産・小笠原に普通の女子が行ってみた(5)~行ってきます、東京へ~
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