WI 製作スタッフが、ドラマ『半沢直樹』や『ルーズヴェルト・ゲーム』と同じチームと聞きました。視聴者の皆さんも期待していると思いますが、プレッシャーはありますか?
阿部 福澤さん率いるチームなので、もちろんプレッシャーはありますよ。だけど僕としては、その中に参加させてもらう以上は、いいものを作りたい。『半沢直樹』やほかのドラマも見ていますけれど、その中で自分の『下町ロケット』は“どうしたら面白いか?”ということを僕自身も考えなきゃいけないと思っているんで、そういう部分ですごく責任が重いと思う。主役をやることをしっかりと認識して、ただ「参加させてもらいます」だけではなく、視聴者に面白くなるように、自分も監督と話しながら「何が最善か?」ということを、常に考えていかなければ、と思っています。だから気が抜けない。すごくヒットを飛ばしているチームだから、気が抜けないと思っています。
WI 佃製作所の「日本のものづくりを担ってきた町工場の意地」は、デジタル化の現代では、理解が難しい部分だと思いますが、阿部さんはどのように感じていますか?
阿部 これは危機だと思っているんです。プラス思考ばっかりだと良くない。マイナスの良さというのがある。人はマイナスな部分を見たがらないで、プラスのことばかりしか見ない。でもマイナスの中にこそ、宝物がたくさんあるんです。だからこそ“昔の人”や“古い技術”“本当に作り上げてきたもの”とか、そういう経験値を失うことはすごく怖いこと。プラスよりもむしろマイナスを学ぶべきだと思う。財宝とか宝は身近にたくさんあるのに、それを見ないと人生にとって損をする。人は「嫌なことは嫌。めんどくさい」とか思うけど、実はそこが成功への近道だったりするんですよね。