「わいせつな行為」と「みだらな行為」違いは知っている?
ニュースを見ていると、性犯罪事件がくり返し報じられている昨今。
たとえば7月末、女子生徒に「わいせつな」行為をしたとして、兵庫県教育委員会が20代の県立高校臨時講師を懲戒免職としました。また、青森で40歳の中学教諭が県内在住の女子中学生に「みだらな」行為をした疑いで逮捕されました。
これらの事件、「わいせつな」行為と「みだらな」行為と言われて、どちらもなんだかいやらしいことをしたんだな……ということはわかると思いますが、違いって、わかりますか?
「わいせつな行為」には性交が含まれない!
そもそも「わいせつ(猥褻)」というのは、刑法に登場する言葉。
刑法176条によると「13歳以上の男女に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」とのことで、「わいせつな行為」という言葉が登場しています。
ちなみに判例には「わいせつ」の定義について「いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」とあるのですが、ちょっとよくわかりませんね。
簡単に言えば、キスをしたり、身体を触ったり、服を脱がせたり……といったもの。ちなみに性交に関しては刑法177条で強姦罪が規定されています。
つまり、性交は「わいせつな行為」には含まれない! ということです。
実は性交しちゃうと「みだらな行為」なんです
「わいせつ(猥褻)」というのが刑法に登場した言葉であるのに対し、「みだら」というのは各地の青少年条例に登場する言葉。
たとえば東京都青少年健全育成条例の18条の6では「何人も、青少年とみだらな性交または性交類似行為を行ってはならない」とされています。
「性交類似行為」というのが何かというところですが、これはどうやら性器を触らせるなどが該当するそう。
ちょっとここまでくると「わいせつな行為」との区別がぼんやりしてきますが、基本的に報道では、性交がなければ「わいせつな行為」、性交があれば「みだらな行為」といった区別をしているようです!
痴漢にも区別がある!
また、痴漢についての区別もちょっと解説しておきます。下着の中に手を入れられたら「強制わいせつ罪」、下着の上から触られたら「迷惑防止条例違反」が適用されています。痴漢にも区別があったなんて驚き!
どれも被害者は不快であることは変わらないだろうに、と思いつつも、明確な区別があったことに感心してしまいました。
【まとめ】
何気なく見ているニュースに登場する言葉たち、きちんと調べて理解をすることで、ニュース自体の深い理解にもつながるもの。みなさんもぜひ調べてみてくださいね。(鈴木 梢)
※各性犯罪の詳しい区別、定義に関しては異なる場合もあり、あくまで今回の区別は一例であることをご了承ください。