実は全然違った!「貯金」と「預金」の違い、知ってる?
なんとなく使っている言葉でも、実は違いがわからないものってたくさんありますよね。
たとえば「整体」「整骨院」「接骨院」は何が違うのか。
「社長」と「CEO」はどちらが偉いのか……などなど。
そんな、日頃のささやかな疑問を解決する「違いは何!?」シリーズ、本日はお金にまつわるある単語を取り上げていきます。
あなたは「貯金」と「預金」の違い、知っていますか?
どちらも「お金を預けるもの」として認識していると思いますが、実はこのふたつ、もともとは違う言葉なのです。
ファイナンシャルプランナーとして活躍する鈴木嘉さんにその違いを教えていただきました。
Q.「預金」と「貯金」の違いって、何ですか?
現在はほぼ同じ意味で使われていますが、厳密にはこのような違いがあります。
預金:銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・信託銀行・各種ネット銀行にお金を預けることです。
貯金:ゆうちょ銀行・JAバンク(農協)・漁協や、各地にある水産加工協同組合にお金を預けることです。
このふたつは同じ性質の金融商品ですが、金融機関としての成り立ちに違いがあり、昔の名残りで呼び方に違いがあります。
【「預金」が生まれた経緯】
日本に初めて銀行ができたのは、1873年(明治6年)。2024年度から1万円札の顔にもなる渋沢栄一が「国立第一銀行」(※現在のみずほ銀行)を設立しました。
このとき、英語の「deposit」を訳して「預金」という言葉を作ったと言われています。
当時の銀行は今と違い、商人や企業が主なお客様。個人が気軽に利用できるところではありませんでした。
【「貯金」が生まれた経緯】
一方で、郵便貯金制度は1875年(明治8年)に、前島密によって、郵便局に行けば誰でも利用できるものとして創設されました。
このとき、イギリスの郵便局で使われていた「savings」を訳して「貯金」という言葉が生まれたと言われています。
このように、「預金」は商人や企業向けのもの、「貯金」は個人向けのものという性質があり、もともとは違うものでした。しかも、銀行は金融庁、郵便局は郵政省の監督だったため、長らく別の言葉として親しまれてきました。(※現在、ゆうちょ銀行は金融庁の監督に引き継がれています)
しかし、第二次大戦後、GHQによる金融改革で、個人でも銀行が利用できるようになり、両者の実質的な違いはなくなりました。
つまり、銀行にお金を預けるときは厳密には「預金」が正しいのですが、「銀行に貯金する」という言葉も、なんの違和感もなく使っている人も多いはず。現在では日常生活で使うぶんには厳しく使い分ける必要は特にないものの、言葉の成り立ちの違いを知っておいて損はなし。是非、覚えておいてくださいね。(後藤香織)
取材協力/アイ建設
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