【連載vol.6】祝結婚!ヤーレンズ出井隼之介が家庭観と奥様の素顔を語る♡

『M-1グランプリ2023』準優勝で話題!ヤーレンズのツッコミ担当、出井隼之介のエッセイ連載がスタート!
日々過ごす中で思ったことや、おもしろかったことを独自の目線で綴ってくれます。

第6回目は…
先日、結婚を発表された出井さん!(おめでとうございます‼)発表の場となったラジオ番組で詳しいことは明かされなかったけれど、今回は「結婚」に興味津々のCanCam世代に向けて結婚への心持ちやプロポーズ、お相手についても語ってくださいました♡ ポジティブおじさんの結婚バナシ、ほろりちょっと泣けちゃうかも。

「人生と結婚

僕は記憶力がいいので、矢沢永吉さんが空調の温度を上げてほしいとき、スタッフに「温度上げて!too 涼しい!」と言っていたとか、そんなことをたくさん覚えている。

覚えていて、大切にしている言葉もたくさんある。

先日亡くなった、中尾彬さん(ご冥福をお祈り致します)が、いつだったかバラエティ番組でおっしゃっていた

「若い頃から、無理してでもいい物に触れておいたほうがいい」

という言葉。心に留めて、大切にしている。

そのときは「そうすれば、悪いものが近づいて来たときにわかる」という意図での発言だった気がするが、ある程度歳をとってきたこともあり、この言葉には「大丈夫」くらい色んな意味があると実感している。

覚えてることをなんでも話している『オールナイトニッポン0』

まず『トップレベルに触れることで己を知る』という意味がひとつ。

自分のことで言うと、漫才においてある程度実力がついたと勘違いした頃、舞台袖で千鳥さんやNONSTYLEさんの漫才を観て圧倒された経験が、確実に今に生きている。

『THE MANZAI』という賞レースの予選で、僕らは千鳥さんの後の出番だったことがあるのだが、本当にあのときほど身の程を知ったことはない。

舞台に出て行っても、みんなまだ前の出番の千鳥さんのネタで笑っているような状況だった。

ラジオにおいても、僕は伊集院さんの番組のレポーターをやっていたので、このジャンルのいちばん上が一体どうなっているのか知っている。

山頂にちょっとだけいたことがあるということは、それ自体がすごくチョモランマなのである。

あと、多少無理をしていても『いいとされている物を摂取するマインドを根付かせておく』のも大切だと思う。

若い頃、地元近くの美術館にフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』が来ると聞いて、芸術なんてさっぱりわからんけど観に行ったことがある。

リアリスト気取りの馬鹿には「え?それなんかメリットあったんすか?」とか言われそうだが、別にそれが具体的にどうよく作用したとかそういうことじゃなくて、いいとされている物に時間やお金を割ける人生のほうが豊かやんけ。

以前、柴田理恵さんが「お花見する暇がない年より、ゆっくりお花見できる年のほうが幸せに感じる」とおっしゃっていたが、お花見はまさに人生のおまけ部分で、ここに時間を割ける人生のほうが豊かということだ。

メリット、デメリットとかではなく、いいと思うから行く、よかったなぁで充分なのだ。
そもそも、我々が出演しているお笑いライブなんてものがそれの極みである。

お笑いライブの模様

なんだか人生の話になったが、先日結婚した。マジラッキー。

自分で言うのもなんだが、シャンプーは2種類使うし、タオルは色もメーカーも統一しているし、洗剤、ヘアワックスの日用品からコーヒーなどの嗜好品に至るまでギャーギャーうるさい、かなり『結婚できない』寄りの男が、籍を爆入れできたのはラッキー以外の何物でもない。

TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』でご報告させていただいたのだが、詳細については語っていないのでこの場をお借りして少し書かせていただくと、相手はかねてからお付き合いしていた一般女性である。かねてからお付き合いしていた一般女性と結婚するのが夢だったので、夢が叶った。

#ふらっとに結婚を報告しに行ったときの様子

まさかネットニュースになると思っていなかったし、自分が今まで放った数以上の「おめでとう」を受け取ってしまい、なんだかいたたまれない気持ちにすらなっている。改めて、ありがとうございます。

付き合いたての頃は本当に鬼も泣くほど金がなく、電車賃握りしめて彼女の家に行ってごはんを食べさせてもらったり、一緒に暮らすようになってからも家賃を多めに出させてしまったり大変苦労をかけていただけに、今の状況は本当にありがたい。

#ふらっとで、向井さんに結婚の決め手を聞かれ、咄嗟に「この人のために頑張ろうとちゃんと思えた」と答えたのだが、それは出まかせではなく正にそのとおりで、確かにそう感じたのは数年前、仙台のネタバトル番組に出させていただいたときだった。ちょうど同棲を始めた頃だ。

その番組は優勝賞品が米一俵、ビール10ケース、牛タン10人前という番組だった。

みんな口々に「賞金じゃないんかい!」「山賊の戦利品か!」など思い思いに色々といじっていた(もちろんうれしいが、あえてである)のだが、僕は黙って密かに闘志を燃やしていた。

「米!ビール!肉!絶対に欲しい…!!」

なぜならうちのパートナーは肉と米が大好きな大酒飲みだから。

夜な夜な酒場に繰り出しては、見知らぬおじさんに奢られて帰ってくるような人だ。

僕のライブに帯同して沖縄に行ったときも、漫才など見ずに飲み歩き、現地のおじさんたちを手懐けてタダ酒ではしごしていたし、M-1の決勝も居酒屋で観戦していたし、今もキッチンで日本酒を飲んで何か言っている。

だから、めちゃくちゃ賞品が欲しかった。そして、優勝した。

僕は心からうれしくて、大いに喜んだ!今までライブで優勝しても軽くスカしたりなんかしていたのに、だ!

それを見ていたモグライダーのともしげさんに、

「出井が素直に喜んでいて、すごくよかったよ!なんか見ていて自分までうれしくなった!」

と言われた。スタッフさんにも

「あんなに喜んでいただけて、用意した甲斐がありました!」

と言われた。いいことずくめだった。

そのときに思った。自分の場合、素直に感情を出すことで、いろんなことが上手くいく。

そして、そのためには僕にはこの人が必要だ。

パートナーの喜ぶ顔が見たい→素直に頑張る→仕事にも好影響 という最強の魂好循環が始まった。

M-1の決勝に行ったときに涙が出たのも、それの延長線上である。

これは以前ここにも書いたが、父親も「自分のために仕事をしたことなんてない」という人なので、めちゃくちゃ遺伝である。

だから、幼少期家族で泊まったことのある横浜のホテルでプロポーズした。

横浜に現れたマーメイド

僕にとって、僕の育った家庭は目標だから。

でも、いっぱい考えたのに言うこと全部間違えた。ネタは飛ばないのに。まあ、仕方ない。

そんなこんなで既婚者コラム爆誕。今後ともご贔屓に。中尾彬さんと池波志乃さんのように、仲良くやっていけたらいいなぁ…(ヤーレンズ・出井隼之介)

毎回恒例となっている推しコスメを最後に。メイクさんに教えてもらったおすすめ下地『vim BEAUTY』のキープコンフィデンスプライマー

★ヤーレンズ・出井隼之介の連載は隔週土曜夜配信予定です!お楽しみに★

ヤーレンズ・出井隼之介(でい じゅんのすけ)プロフィール
1987年3月2日生まれ、神奈川県出身。楢原真樹(写真左)と結成したお笑いコンビ『ヤーレンズ』のツッコミ担当。『M-1グランプリ2023』で初の決勝進出を果たすも優勝を惜しくも逃すが、一気に話題に。好きなことは、コーヒーを飲むこと(カフェ巡り)、サザンオールスターズを聴くこと、美容&メイクなど多趣味で、インスタグラムではコーヒーについても発信している。

・ニッポン放送『オールナイトニッポン0』毎月最終土曜日担当 27:00-28:50 O.A.
・TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』隔週木曜日レギュラー 8:30〜11:00 O.A.
・ラジオアプリGERA『ラジオの虎』毎週木曜日20時配信

★公式YouTube 『ヤーレンズオフィシャルチャンネル』
★個人公式インスタグラム @dei_junnosuke
★公式X @Yarlens_Dei

文/出井隼之介 (ヤーレンズ) イラスト/羽鳥好美 構成/田中絵理子