【連載vol.2】ヤーレンズ出井隼之介。仕事が急激に増えて…、環境が変わって思うアレコレ

『M-1グランプリ2023』準優勝で話題!ヤーレンズのツッコミ担当、出井隼之介のエッセイ連載がスタート!
日々過ごす中で思ったことや、おもしろかったことを独自の目線で綴ってくれます。

意外な一面を垣間見れた、記念すべき第1回目はこちらから。

第2回目は…
取り巻かれたい願望(!?)と、ファッションのこだわりについて。出井さんは、モテを意識した洋服選びは断固としてしないそう。
ちなみに発売中のCanCam5月号の特集は、春のモテコーデ!じゃないので、皆さま安心して最後まで読んでくださいね。

「ファッションは、流行よりもドラマを着たい」

俺だって取り巻かれたい。

ここ最近、ありがたいことに仕事の環境が急激に変わって、ご一緒する人も今までと全然違うのだが、

何に驚くって、他ジャンル…音楽関係や俳優さんの取り巻きの人数だ。

先日もとある仕事で俳優さんと一緒だったのだが、とにかくすごい人数が取り巻いている。エレベーターに1回では乗り切れないくらいの人数…軽めのデモなら起こせそうな人数だ。

一方我々はというと、マネージャーがひとり取り巻いてくれているだけだ。取り巻いてると言えるのか?ちなみにそのマネージャーすらいないときもある。

あぁ、もっと取り巻かれたい…!!

・出世しすぎて逆に服装がカジュアルになっているおじさん
・昔は表に出る仕事だったのかなぁという感じのやたら綺麗なスタイリストさん
・なんかやたら物事を急かす日焼けした白ぶちメガネの声のデカいおじさん

などに取り巻かれたい。

いつかは自分の楽屋で、専属のメイクさんがポータブルスピーカーから流す草食系の日本語ラップなんか聴きながら、顔に美顔器のスチームなんてあてるのが夢だ。

その上で、「昨日夜泣いちゃったんだけど、涙は肌に悪いからずっと前屈みになって涙が頬を伝わないようにしてた」とか言えたら完璧だ。

…まあ、全部完全に嘘なのだが、これから自分を取り巻く環境がどうなっていくのかは、楽しみでならない。もし見かけたときに偉そうにしていたら、石を投げてほしい。

さて、朝から顔にスチームをあてている時間はないのだが、朝イチで『ウォンジョンヨ』のシートマスクをするとメイクのりが全然違う。

これはすごい。入手困難なのも頷ける。

吉田朱里さんプロデュースブランド『b idol(ビーアイドル)』のやつも、買ってみたので試す予定。

何を着て、どこに向かうのか。

近頃絶妙な天候が続くが、一応春だ。
春先に着るコートがある。前回着ている写真を載せてしまったのだが、こちら。

これ、実は母からお下がりでもらったラム革のコート。

なんと35年くらい前のもので、母はこれを着て僕が乗っているベビーカーを押していたらしいから、驚異的な物持ちのよさだ。革になってくれた羊もあの世でメェと言っていることだろう。

なんでも、『HAI SPORTING GEAR(ハイスポーティングギア)』という『イッセイミヤケ』と『ワコール』のコラボブランドで、当時かなり思い切って買ったらしい。サイズ感も時代が何周かして今とてもいい感じ。

レディースのファッションと比べて、メンズのファッションは本当にサイクルが遅い。

恐らく世の中の殿方(椎名林檎の言い方)の殆どが社会に出るとスーツばかり着るようになるからなのだろうが、全体的なサイズ感が太くなったり細くなったりを30年くらいの周期で繰り返しているだけな気がする。

実際、30年ほど前の90年代のファッションはサイズ感がルーズでなんかいい感じに見えるし、00年代のファッションはタイト過ぎてかなりダサく見える。

ということは、今は太いパンツをはいているが、この先また30年くらいかけてまた細くなっていって、そこからまた太くなるんだろうか。つまり還暦の頃にはスキニージーンズか…

まあ、そういった時代の大まかな流れはあるが、ファッションは気分を上げるためのものでもあるので、流行にばっちりアジャストしてることで気分が上がる人もいると思うが、僕は着たいもの…「流行っている」以外に着る理由があるものを着たい。
流行より、ドラマを着たい。そのほうが気分が上がる人間だから。

例えば革ジャンをバシッと着こなしている人は時代や流行関係なくカッコいいと思うし、そこに意思を感じる。

僕は白Tは『PRO CLUB(プロクラブ)』だし、スニーカーは『adidas』だし、パンツは『BETONES(ビトーンズ)』だし、全部に理由がある。そうやって全身をドラマで固めていきたい。

さて、どんなジャンルのファッションも基本いいと思うが、その服を着る理由が“モテ”になっている人だけはなんだか間抜けだなぁと思ってしまう。

なんでそんなにモテたいのか、そしてそんなに必死にモテようとしてモテたところで、何がうれしいのかさっぱりわからない。

好きなもん着てモテとけよ。
弱いんだよ。そんなんだからモテないんだよとしか言いようがない。

(CanCamの今月の特集が春のモテコーデ!とかだったらすみません!)

モテなど度外視、スティーブ・ジョブズの黒のタートルネックのように、毎日これを着ると決めている人もいる。あれはあれですごい。

ファッションに限らずすべてのルーティーンワークは実はとても理に適っていて、人間が1日に物事を選択できる回数は決まっていて、その回数をなるべく減らさないようにするためらしい。

ちなみにその選択可能回数がゼロになると、判断よりも本能を優先するようになる…つまり、「一旦寝よ…」とか「ごはん食べよ…」になるらしい。

ドクタードレーが毎日新品のナイキエアフォースワンを履くのも、イチローが毎日カレーを食べるのも、石田純一が全く靴下を履かないのも理由があったのだ。

僕も選択肢を減らす一環として、数年前に靴下の統一を行った。俗に言う靴下統一である。

いろいろな靴下を試した。おしゃれパーソン御用達の『RAILROAD SOCK(レールロードソック)』(断じてソック"ス"ではない!)なんかも試したが、『Healthknit(ヘルスニット)』のシンカーホワイトのソックス、キミに決めた!ってな感じで、以来そればかりをたくさん買っている。

白ソックス一種に絞ってしまえば、もう洗濯物の中から神経衰弱しなくてもいいし、快適なのでおすすめである。

しかし、折角決めたのに白ソックス界に対抗馬が出てきた『Tabio MEN(タビオ メン)』リッチェルリブクルーソックスである。

こちらはなんとあの窪塚洋介さんが宣伝している。窪塚に勧められたら買わざるをえないので一足購入して履いてみているが、とてもいい感じ。あと何回か履いて洗濯してタフさを試す必要がある。もしかしたら下剋上が起きるかもしれない。(ヤーレンズ・出井隼之介)

★ヤーレンズ・出井隼之介の連載は隔週土曜夜配信予定です!お楽しみに★

ヤーレンズ・出井隼之介(でい じゅんのすけ)プロフィール
1987年3月2日生まれ、神奈川県出身。楢原真樹(写真左)と結成したお笑いコンビ『ヤーレンズ』のツッコミ担当。『M-1グランプリ2023』で初の決勝進出を果たすも優勝を惜しくも逃すが、一気に話題に。好きなことは、コーヒーを飲むこと(カフェ巡り)、サザンオールスターズを聴くこと、美容&メイクなど多趣味で、インスタグラムではコーヒーについても発信している。

・ニッポン放送『オールナイトニッポン0』毎月最終土曜日担当 27:00-28:50 O.A.
・TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』隔週木曜日レギュラー 8:30〜11:00 O.A.
・ラジオアプリGERA『ラジオの虎』毎週木曜日20時配信

★公式YouTube 『ヤーレンズオフィシャルチャンネル』
★個人公式インスタグラム @dei_junnosuke
★公式X @Yarlens_Dei

文/出井隼之介 (ヤーレンズ) イラスト/羽鳥好美 構成/田中絵理子