【連載vol.4】ヤーレンズ出井隼之介の忙しい日々を支えてくれる言葉とは

『M-1グランプリ2023』準優勝で話題!ヤーレンズのツッコミ担当、出井隼之介のエッセイ連載がスタート!
日々過ごす中で思ったことや、おもしろかったことを独自の目線で綴ってくれます。

第4回目は…
多忙な毎日を送る出井さんを支えている、尊敬する人からの言葉を教えてくれました。漫才のために生き、またそれに支えられているという漫才師としての人生観…かっこいいです。

「すべては漫才のため

この連載の第1回でバックパックを紹介したが、最近また新しく買ったバックパックがあるのでご紹介。

『Cotopaxi(コトパクシ)』というブランドのバックパック。先日、セレクトショップに並んでいる様子に目を奪われ、下北沢の店舗で購入した。

“大量生産によって生まれる残材や残布を使用してつくる”というコンセプトも良いし、色の組み合わせパターンがひとつひとつ違うので、一期一会の出合いが楽しい。

デザインがどれもカラフルなので、シンプルなコーディネートの日に良さそう。

これからも大きいカバンを買っていこうと企んでいる。色々と、荷物が多いからね。

エマ・ワトソンも荷物が多過ぎて友達から『バッグ女』と言われているらしい。よし、僕も負けじと『バッグ男』と言われるように頑張ろう。…頑張ろう?

大変ベタで恐縮だが、新しいアイテムを買うとそれを使用する度に気分が上がる。気持ちや状況が停滞しているときは、新しいものを買ったりして気持ちの流れに介入してあげるのはかなり有効だと思う。

尊敬する人からの言葉に支えられている。

さて、最近はさすがに「忙しい」とつぶやいて醒めたツラして歩いてもいいだろうというくらいの動き方をしている。

現に今(4月27日)も奈良から東京への帰りの新幹線でこれを書いている。

移動が多いとどうしても体がバキバキになってしんどいが、1回目でも書いたように僕は尊敬している先輩、Dr.ハインリッヒ姉さんから

「速い乗り物に乗ると波動が上がる。」

と伝えられている。新幹線は贔屓目抜きにかなり速い部類の乗り物に入るはずなので、波動的観点から見れば悪くないと思える。

名古屋で行われた、賞レースで2位だった芸人のライブの舞台裏で

さて、我々はこの後東京に戻り、深夜3:00からラジオの生放送。明後日には佐賀にいるらしいし、それはそうと新ネタを2本、月末にあるEXITとのツーマンライブに間に合わせなければならない。

こうなってくると、合間を縫って「よし!ここでこれだけ寝ることにしよう!」といった具合に、睡眠をスケジューリングしないといけない。

最近、よく“この状態”を経験したであろう先輩方や、色々な人を見てきたであろうスタッフさん、あるいは応援して下さっている方々から「大丈夫?」と心配される。

そりゃあもちろん体は多少しんどいが、そもそも労働はしんどいものだし、僕はまた別の尊敬する先輩から

「体がしんどいなら多少無理してでも頑張れ。心がしんどいなら休め。」

と言われていて、それを指針にしているので、今のところは全然大丈夫。

いわゆる「OK、余裕…」という状態だ。

忙しい…うれしい限りだ。

私はこれを待っていたのだよ。人生の歯車がようやくがっちりと噛み合って、ぐるぐると回り出しているのを感じる。今までやってきたことが、全部そんなに無駄じゃなかった…なんだかそんな気にすらなってきている。

ロケでマイクロブタに囲まれたときの一枚

芸人になりたくて、芸人になれた。売れたくて頑張って、ようやく仕事が増えてきている。

最高じゃないか。言うことなし。

この上さらに超快適な労働環境や万全の体調を求めるなんて、大名にも程がある。100万石過ぎる。

少し話は変わるが、結構テレビに出させていただくことが増えた結果「毎日何かしらで見るよ!」とも「テレビ出てるんですか?あまりテレビ見てなくて…」とも両方言われるのが、この時代っぽい。人によって見え方が面白いくらい違う。

逆に令和ロマンは、「仕事を選んでいる」と公言していることもあり、テレビではあまり見ないのかもしれないけれど、実際はいろんな劇場で漫才をしまくりM-1王者としての使命を全うしている。あいつらこそ超多忙だったりする。自分の見えているものがすべてではない。

これは特に我々のようなデジタルネイティブではない…SNSが後からできた世代には言えるのだが、各種SNSを利用することで、勝手に今までより視野が広がってこの世の多くを見渡せている気になっている。しかし実際はそんなことはなく、ほとんどの人はフィルターバブルに近い状態で、むしろ狭い視野でも満足してしまう情報量が流れ込んできているだけなので、引き続き自分の目に映っている世界がこの世のすべてじゃないということを再認識する必要がある。

静岡の清水エスパルスのイベントにて

さて、仕事の話に戻るが、いわゆる“この状態”を抜けて仕事の量が落ち着いたときに、普通は「あれ…?なんか…仕事減ってない…?」と、どっと不安が押し寄せるんだろうな…というのがすごくわかる。

今でこそYouTubeなどがあるので、己から何かを発信することも容易になったが、基本的に芸能の仕事は完全受注。オファーがあってはじめて成り立つ。

さらにそこから良い仕事や相性の良い人々と巡り合うかどうかは基本的に運なので、芸能の方々がスピリチュアルに傾倒していくのも無理はない。

自分たちの場合、そこにもそんなに不安はない。なぜなら我々には漫才があるから。

漫才という明らかで露骨で極太の柱があり、それを中心にすべてが構成されているので、多少その周りが崩れたりガタついても何も思わない。仕事が無くなったら無くなったで、漫才のネタ。

そんな感じで、すべてのことが漫才に還元されると信じているから、これからも余裕でやっていける。多分漫才がある限り、他の仕事でメンタルが無茶苦茶になることはないと思う。

こういうものがあるかないか。生きていく上でかなり重要なことである気がする。
漫才のために働き、漫才に支えられている。

人はなぜ働くのか?僕の尊敬する人…これは父の言葉なのだが、
「自分のために働いたことなんて一度もない。すべて家族のため。」

なんてすごい言葉なんだろう。中心に家族を置いている。家族がモチベーション。偉大過ぎる。そしてその家族の一員であった自分、ラッキー過ぎる。

これは嫌いな表現だが、いわゆる『親ガチャ』なんてもので言うと、自分はスーパーSSRの大当たりで、ポジティブおじさんなんて言っているのも大元を辿れば本当に両親のお陰で、それは決して当たり前のことではない。

なので、こうやって何かを書くことで少しでも誰かにこの幸運を還元できれば。そんな気で書いている。

追伸:愛用していたヘビーローテーションの眉マスカラをメイク動画で紹介させていただいたら、CMに出させていただいた。皆さまぜひチェックしていただきたい。(ヤーレンズ・出井隼之介)

★ヤーレンズ・出井隼之介の連載は隔週土曜夜配信予定です!お楽しみに★

ヤーレンズ・出井隼之介(でい じゅんのすけ)プロフィール
1987年3月2日生まれ、神奈川県出身。楢原真樹(写真左)と結成したお笑いコンビ『ヤーレンズ』のツッコミ担当。『M-1グランプリ2023』で初の決勝進出を果たすも優勝を惜しくも逃すが、一気に話題に。好きなことは、コーヒーを飲むこと(カフェ巡り)、サザンオールスターズを聴くこと、美容&メイクなど多趣味で、インスタグラムではコーヒーについても発信している。

・ニッポン放送『オールナイトニッポン0』毎月最終土曜日担当 27:00-28:50 O.A.
・TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』隔週木曜日レギュラー 8:30〜11:00 O.A.
・ラジオアプリGERA『ラジオの虎』毎週木曜日20時配信

★公式YouTube 『ヤーレンズオフィシャルチャンネル』
★個人公式インスタグラム @dei_junnosuke
★公式X @Yarlens_Dei

文/出井隼之介 (ヤーレンズ) イラスト/羽鳥好美 構成/田中絵理子