「ぼる塾」あんりの”ずっと後輩でいたい”願望【思い、思われ、食べ、ぼる塾。vol.129】

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今回は、あんりさんのターン!

人は、いつまでも“新人”や“後輩”ではいられないもの。後輩芸人も多くいる神保町よしもと漫才劇場で、ついに“先輩”としての1歩を踏み出したあんりさん、その結果に注目です…!

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「後輩といると私、少食ぶっちゃうわ」by 田辺さん

CanCamをご覧の皆さま。
お疲れさまです!
年が明けて、いかがお過ごしですか?

私は自分が後輩でいるのが好き。
叶うならば、学校ではずっと1年生でいたいし、バイト先では新人さん、仕事も1年目の若手のままでいたいと時々思う。
まわりの環境に慣れるために、早く先輩に追いつくために、余計なことは考えずに突っ走っている自分が好きだ。
「1年目なのにすごい!」ってずっと褒められていたい。
先輩にいいパスをもらって、それを全力で返して、認めて欲しい。
ずっとそうやって自分がいちばん後輩で頑張っていたい。
こんな無茶な願望を最近自覚しました。

思えば子供の頃からお兄ちゃんの友達の輪にいるのが好きだった。
鈍臭い妹が遊びについてくるのをお兄ちゃんは嫌がっていたけど、お父さんを味方につけた私にお兄ちゃんは逆らえない。
お兄ちゃんのかすかな抵抗は遊び場に行くまでの道で自転車を飛ばすこと。

お兄ちゃん「追いつけなかったら置いてくから。はぐれても探さない。勝手に帰れ」

きっとお兄ちゃんは、どうかはぐれてくれと必死に自転車を漕いでいたことだろう。
でも、私も負けじと必死で自転車を漕いだ。
どうしてそこまでするのか。

「あんり今日もはぐれずについてきたんだ!すごいね!」

「お前、自分の学年でいちばん自転車早くなってんじゃね?」

お兄ちゃんの友達が私を褒めてくれる。
それは同級生との遊びじゃ味わえない喜びだった。
同級生といるときは相手よりレベルが高いところにいかなきゃ評価はされないけど、先輩といるときは相手と同じくらいのレベルまでなんとか頑張れば評価され、もてはやしてくれる。
それが無意識にわかっていたのかもしれない。

そういうズルさからくる居心地の良さはいつだって長続きはしない。

小学校でいちばん年上の6年生は、1年経ったら中学校に行き、いちばん年下の1年生になる。

それと同時に1年生だった自分は2年生になり、また1年経つと3年生になり…そんな風にどんどん大きくなってしまう。

いくら年下とはいえ、3年生や4年生になればそれなりのことを求められる。
しかも、今まで褒められてきた分、結果の期待値も高くなりハードルがあがる。
私が今まで褒められてきたことは新しい1年生が受け継ぐ。
その度に私はいつもふてくされてきたのだ。

私がそんなどうしようもないことをしているのは、子供の頃だけじゃない。
芸人になってからも、私は懲りない。

養成所を卒業して渋谷のヨシモト∞ホールでデビューをして、自分で言うのもなんだが、とにかく先輩たちにかわいがってもらった。
あれがチヤホヤと呼ぶものなのかもしれない。
面白い先輩が舞台でも楽屋でもいじってくれて、私は先輩に少しでも認められたくて必死で返して、先輩も私を認めて褒めてくれて、芸人でいることが楽しくて仕方なかった。
楽しすぎて少し怖かった。
私、売れなくても芸人続けてしまうかもしれない。

しかし、やはりそれは長続きはしない。

私のひとつ先輩の代から下の若手芸人のための劇場ができた。
神保町よしもと漫才劇場。
今まで後輩だった私は劇場で2番目に先輩になり、後輩が圧倒的に増えた。

さぁ、あんりはどうするのか。

神保町よしもと漫才劇場ができて今年で4周年。
去年の下半期くらいからようやく積極的に後輩を誘い始める。
つまり、大体約3年間は現実を見て見ぬ振りをしてしまったのです。

後輩との交流がなさすぎてまずいと気付いた私は、劇場の楽屋で勇気を出して大きな声を出しました。

「明日あいてる人!!一緒にサンリオピューロランド行ってくれる人ー!!」

急すぎて戸惑う楽屋。

まあ、そりゃあそうだわな。
あんまり話したことない先輩と急にサンリオピューロランドなんて、ハードルが高過ぎる。

「「「はい、空いてます」」」

楽屋の隅っこで3人の手があがる。
後輩トリオの『定点計画』。
今まで挨拶くらいで一度も話したことがない後輩。

なんて勇気のあるコたちなんだろう。
しかも、トリオ全員って!!

私の勇気に後輩の定点計画も勇気で答えてくれて、初絡みがプライベートサンリオピューロランドという奇妙で素敵な思い出ができた。

当日私は定点計画を今日という1日を過ごすすべての生き物の中でいちばん幸せにしたい、楽しませなければと意気込んでいたが、私が何かをする前に3人は元々いちばん楽しんでやろうという姿勢でやってきて目一杯楽しんでくれた。

定点計画は後輩ではあるが、年齢は同世代とわかり、サンリオピューロランド後も気軽に誘えるようになった。

初めて『定点計画』とサンリオピューロランドに行ったときの1枚

その成功で勇気が出て、コンビ芸人『シンクロニシティ』のよしおかちゃんという女性芸人の後輩とも仲よくなり、休日に猫カフェに行ったり、イタリアンを食べに行ったりするようになった。

去年のクリスマス時期には定点計画とシンクロニシティよしおかちゃんを自宅に招いて鍋をしたり、大晦日も自宅に招いて一緒に年越しをしたりした。

(みんなでクリスマスパーティした様子はこちら

仲のいい先輩がいて、仲のいい同期がいて、ただでさえ充実していた私に更に仲のいい後輩ができた。
この居場所はすごく居心地がいい。
私はこれからもなんだかんだ幸せな気がする。(あんり)

『定点計画』の3人とよしおかちゃんと。仲良しな後輩たちと楽屋で♪

★ぼる塾連載は毎週日曜夜配信予定です!お楽しみに★

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文/あんり(ぼる塾) イラスト/mame 構成/田中絵理子