「もしくは」と「または」って同じ意味じゃないの!?
2つまたはそれ以上のものから一方を選ぶときに使われる言葉に「もしくは」や「または」がありますよね。この2つの言葉、違いや使い分け方を知っている人は少ないのではないでしょうか。今回は「もしくは」や「または」の意味の違いや使い分け方を例文付きで解説します。
「もしくは」と「または」の違いは?
「もしくは」と「または」の違いを知るために、辞書で意味を調べてみました! まずは「もしくは」から見てみましょう。
「もしくは」の意味
もしく‐は【若しくは】
[接]どちらか一方を選択するのに用いる語。あるいは。さもなければ。または。
[副]ひょっとして。もしかしたら。
もしくはには接続詞と副詞、2つの意味があるんですね。またはと似ているのは接続詞の方。解説内にまたはが入っていることから、あまり意味の差はないのかもしれません。
「または」の意味
また‐は【又は】
[接]似通った二つ以上の事柄のうち、どれか一つを選ぶときに用いる語。あるいは。もしくは。
こちらも2つ以上の物の中からどちらか1つを選ぶときに使われるそう。こちらにも“もしくは”と書いてあることから、やはりほとんど同じように使って大丈夫なことがわかります。
「もしくは」と「または」の違い
では「もしくは」と「または」はいつでも同じように使えるのでしょうか? 「または」の辞書の補足用法から、違いがあることがわかりました。
[用法]または・[用法]もしくは——「本人または(もしくは)代理の者に限る」などと相通じて用いられるが、「もしくは」は文章語的であらたまった言い方である。(中略)法令用語としては、選択される語句に段階が二つあるとき、「または」は大きな段階に用いられ、小さい段階には「もしくは」が用いられる。
もしくはの方が文語的で少し硬い言い方になるようです。そして「もしくは」と「または」を同じ文章内で両方使う場合は、大きいカテゴリーに「または」が使われ、小さいカテゴリーに「もしくは」が使われます。
ちょっとややこしくなってきたので、例文を交えて解説しますね!
例文で解説!「もしくは」と「または」の使い分け方
例文を読むと、どのような場合に使われるのかイメージしやすいですよね。
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「行くか、もしくはやめるか」
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「雪またはみぞれでしょう」
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「ペンまたはボールペンで記入のこと」
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「家庭裁判所は、証人を尋問し、又は鑑定、通訳若しくは翻訳を命ずることができる」(少年法)
上の3つの例文は、どちらでも使えます。ですが、フォーマルな文章の場合は「もしくは」を使ったほうが良いでしょう。
最後の文章は少年法から。まず大きなカテゴリーとして「または」が使われ、その後小さなカテゴリーとして「もしくは」が使われています。
「もしくは」「または」の類語は?
最後に、「もしくは」や「または」の類語をご紹介。
あるいは
ある‐い‐は【×或いは】
[接]同類の物事の中のどれか一つであることを表す。または。もしくは。
「あるいは」はこの記事で紹介した2つの言葉とほぼ同じように使えます。
ないし
ない‐し【×乃至】
[接]1 あるいは。または。
2 数量などの上下・前後の限界を示して、その中間を省略するときに用いる語。
「ないし」も同じように使えますが、(2)のような意味もあるのですね。
それとも
それ‐とも
[接]あるいは。または。もしくは。
「それとも」もほぼ同じ意味ですが、多少くだけた表現でも使えそうですね。普段の会話でも「○○にする?それとも○○?」などと使う人はいるでしょう。
【まとめ】
2つまたはそれ以上のことを比べて、どちらか一方を選択する際に使える言葉がこんなにあるなんて、日本語って本当に面白いですよね! 仕事などでは「もしくは」や「あるいは」を使ったほうがフォーマルな印象を与えられますよ!