「ぼる塾」酒寄さんが「私、いらないな」と感じたところから、THE W決勝出場までの1年について。【思い、思われ、食べ、ぼる塾。vol.122】

先週オンエアされた『女芸人No.1決定戦 THE W 2023』にて、4人体制で地上波初のネタ披露だったことでも話題沸騰中の「ぼる塾」!
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さて今回は、酒寄さんのターン!

産休・育休を経て、徐々に復帰しつつある酒寄さんだけど、そこにはたくさんの苦悩と努力が…。先週オンエアされたTHE Wの結果についても、書いてくれました。

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「2023年の酒寄をあけすけに話す!」

皆さんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。気が付けば12月!すっかり寒くなりましたね。

今回、何を書こうかとても悩みました。私たちぼる塾は12月9日放送の日本テレビ「女芸人No.1決定戦 THE W 2023」の決勝に行くことができました。2020年にあんりちゃん、はるちゃん、田辺さんは決勝に行ったことがあるので、3年ぶり、そして4人では初めての決勝ということになります。私にとってはぼる塾として初のテレビ出演です!うれしい!怖い!やっぱりうれしい!

裏話をすると、この大会は9日で、この原稿の締め切りは10日。頑張れば今回の原稿で決勝大会当日の話を書くことができるのです。しかし!

「私は果たして決勝大会についての思い出をたった1日で文章にまとめることができるのか」

少し自信がない。そして私は締め切り日よりも大幅に早く提出することが好きなのです。なぜなら少しでも早く安心したいからです!どきどきしちゃうの!

ですから、今回は無理せずに決勝戦には触れず、「女芸人No.1決定戦 THE W 2023」までの道のりについて書こうと思います。

私は昨年11月に劇場復帰をしたのですが、最初の舞台はとんでもなくひどいものでした。誰がどう見ても3人のときのほうが面白かった。そう思うような出来でした。4人での漫才は思っていた以上に難しく、自分でネタを書いていてなんですが、

「私いらないなー。どうすればいいんだ」

そう思いました。無理やり入れたボケ。無駄なセリフ。私が増えたことで削れてしまうあんりちゃん、はるちゃん、田辺さんの魅力。さらに久しぶりの舞台ということで足が震える、声が出ない、間がおかしい…この日の自分への駄目だしで今回の話が終わってしまうほど情けないものでした。

しかし、このとき3人が「ぼる塾は今スタートを切ったのだ」と励ましてくれました。ここから始まるのだと。

「絶対に4人ネタで面白くなる」

私は強く決意しました。そこからは「どうやったら面白くなるんだ?私の魅力とは?」と、人生でいちばん自分のことを考えました。

2022年11月に酒寄さんが劇場復帰したときに撮った1枚

働き方についても考えました。私はぼる塾として活動する際、夫とあることを約束しました。

夫「自分がぼる塾だと自信を持って言えるだけのお金を自分の力で稼ぐようになるんだよ。3人の力ではいけない。絶対にぼる塾を趣味でやってはいけない。ぼる塾は楽しいと思う。そして3人はのんちゃんが楽しい部分だけを見ていても許してくれると思う。だけど、楽しいだけでは絶対に3人に追いつけないよ」

まさにその通りだと思いました。ぼる塾は楽しいです。けれども、あんりちゃん、はるちゃん、田辺さんはいつも戦っています。楽しい部分だけを分けてもらった私がそんな3人に追いつくことなんてできません。それに私の性格上楽しいだけではこれからもずっと「果たして私はぼる塾の一員なのだろうか…」と負い目を感じながら過ごしていくことになります。それは本当の意味で楽しいことではありません。

「私は自分がぼる塾だと胸を張って言えるようになります」

私は約束をし、メンバーにも「自分の力で稼げるようになる。でも、今の私ではどうしてもぼる塾を使ってしまうことにはなる」と、伝えました。

田辺さん「酒寄さんは自分が思っているよりも強いよ。強かだよ。でも強かだけどずるくない。あんたはぼる塾を使ってもちゃんと自分の面白さで勝負する人だから私たちも協力する」

私は色んなところで「ぼる塾に対して私は何ができるかを考えた」とかっこよく言っていたりしましたが、それは同時に「どうしたら自分の実力で仕事が得られるか」と言う、ちょっと格好悪い言葉でした。自分の面白さでお金を稼ぐということは芸人にとって当たり前の目標なのですが、これに関して私はぼる塾の3人が才能の塊だと思っているので、それだけの才能に対して、おんぶに抱っこにならないよう強い自我を持つことを恥ずかしいとは思いません。

正直、この1年の私はみっともない姿を3人にたくさん見せていたと思います。「なりふり構わず!全力投球!よろしくお願いします!頑張ります!頑張ります!頑張らせてください!」って感じで、周りから見たらとんでもなくダサかったです(笑)。走って転んでそれでも前進したいから倒れたまま転がって。そんなふうにとにかくがむしゃらでした。しかし、3人はそんな私をみっともないとは言わず、

3人「酒寄さんがすごく頑張っている!私たちも負けていられない!」

そう言って、一緒に頑張ってくれました。3人の後ろ姿を必死に追いかける私の隣で、3人も必死に自分たちの背中を追いかけてくれたのです。私はずっと勘違いをしていました。ひとりで追いかけているつもりでした。しかし、3人はずっと私の隣で一緒に走ってくれたのです。

「(そうか、あの散々だった日に、みんな一緒にスタートを切ったんだ)」

頑張った分だけ必ず成功するわけではありません。失敗もたくさんありました。頑張ってもうまくいかないときは、以前この連載の86回でも書いた作家さんの言葉を思い出しました。(以下、86回からの抜粋です)

ぼる塾のライブでお世話になっている構成作家さんがいます。あるライブの後で反省会に付き合ってくれたのですが、私が「こんなに反省しなきゃいけないことがあるなんて。今年35歳なのに」と言ったところ、

作家さん「反省するということは伸びしろがあるってことです。35歳でこんなに伸びしろがあるなんて最高じゃないですか。素敵なことですよ」

この言葉を思い出して、「大丈夫!私には伸びしろがあるってことだ!」と、反省はしても過度な落ち込みはしないようにしました。これが本当によかった!ひねくれた心と過度な落ち込みを捨てると、とても生きやすくなります!ネガティブな私がこの1年は普段よりも落ち着いて乗り切れました。

「(あんりちゃん、はるちゃん、田辺さんはすごい!他の芸人さんたちもみんなすごい!すごい人たちと一緒に仕事ができる場をもらえた私は最高だ!)」

THE W決勝の数日前、元気になるため4人で大好きなカレー屋さんへ♪

この1年、本当に色んなことがあって、4人のネタもまだまだ成長途中ではありますが、THE W決勝にたどり着けることができました。今のところ4人ネタに関しての「どうやったら面白くなるんだ?私の魅力とは?」については、

「私がネタに入るとあんりちゃん、はるちゃん、田辺さんがとっても面白くなる!それが今の私の魅力!」

私個人がどう面白いかではなく、寄り添う形の面白さを目指してもいいのかなと思うようになりました。ぼる塾は3+1ではなく4でした!「どうしたら自分の実力で仕事が得られるか」について真剣に向き合ったことが結果的に4人の漫才やコントに対しての悩みと直結していました。今の時点ではそこを意識してネタ作りをしようと思っています。寄りかかるのではなく、寄り添う。

もっと力をつけたらゆくゆくは個人の「酒寄希望」という人間だけで面白いと思ってもらいたいと考えていますが、まだぼる塾は始まったばかり!長い目で見ようと思います。そしてぼる塾を応援してくださるみなさんからの応援の言葉は何よりもパワーになります!本当にありがとうございます!THE W決勝はとにかく楽しみます!

〈追記〉

やはり気持ちが抑えられず、決勝の結果に触れます。THE W決勝…ぼる塾は優勝できませんでした!
応援してくださった方、すみません。
そして、本当にありがとうございました!
皆さんの言葉にとても励まされ、私の勇気になりました。
優勝はできませんでしたが、テレビというたくさんの人の前で4人の漫才ができたことは幸せで夢のような時間でした。何より最高に楽しかったです!私たちは「もっと面白くなってこの場所に戻って来よう!」と今とてもやる気に満ち溢れています。ぼる塾頑張ります!(酒寄)

THE W決勝の控え室にて、ぼる塾4人で。近い内にまた4人の姿を地上波で見られますように♡

★ぼる塾連載は毎週日曜夜配信予定です!お楽しみに★

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ぼる塾 プロフィール
『猫塾』と『しんぼる』が合体したお笑いカルテット。現在、酒寄希望さん(写真左)が育休中のため、きりやはるかさん(中央左)、あんりさん(中央右)、田辺智加さん(右)のトリオで活動中。
 
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『ぼる部屋』毎週木曜 24:15-24:25 KBC 九州朝日放送にて放送中。
『ラヴィット!』毎週月曜~金曜 8:00-9:55 ※月曜レギュラーTBS系にて放送中。
★公式YouTube 『ぼる塾チャンネル』
★個人公式インスタグラム 酒寄さん@jiujixiwang はるちゃん @kiriyaharuka  あんりさん@f_y_e_b  田辺さん@chikaxxsweet
★個人公式X 酒寄さん@no_zombie はるちゃん@shinboru1001 あんりさん@takobu7 田辺さん@chi0314ka

文/酒寄希望(ぼる塾) イラスト/mame 構成/田中絵理子