不思議と「苦手な人」は、どの環境に行ってもひとりくらいはできてしまうもの。「悪い人じゃないんだけど、あまり積極的に話したくはないな」「言い方がキツくて怖い…」など、さまざまなパターンがあります。極力接する機会を減らしたいものの、「職場の同僚」「共通の知人がやたら多い」など、なかなか距離を置くことが難しいことがあります。
そんなとき、どうするのがいいのでしょうか?
このお悩みを解決する方法について、「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーに活躍する「ラフドクター」、精神科医・産業医の井上智介先生にうかがいました。
関わらなければいけない「苦手な人」との接し方
Q.職場の人で、どうしても苦手な人がいます。言い方がきつくてどうしても合わない先輩、相手の持っているものが羨ましくて悔しくなってしまう要領のいい同僚…。苦手な人は、どう対応するのが正解ですか?
A.苦手な人には、できる限り物理的に距離をとって接しない。接するときは、「自分は敵ではない」とアピールして摩擦を避けること。名前を呼んで自分から挨拶をするのがおすすめです。
苦手な人がいたら、やはり「できるだけ物理的な距離をとり、接しない」ことが最優先事項です。
けれど、今回のケースのように、職場の同僚などであれば、現実的には限界があることが多いですよね。そうなった場合、次に心がけたいのは「対面での接触回数を極力減らす」ことです。時代も後押ししてくれていますし、コミュニケーションはできるだけメールやチャットを活用しましょう。仕事のトラブルでありがちな「言った・言わない」論争を避けることもできますし、この方のように「きつく言ってくる相手」なら、きついメールが来た場合、その文面をパワハラの証拠としても使えます。
とはいえ、どれだけさらりと避け続けても、おそらく「直接話さなければいけないタイミング」はどこかで来てしまうはずです。こういったときに僕がおすすめするのが「私は、あなたの敵ではありません」ということをアピールして「摩擦を避ける」ことです。あまり良くない対応をして対立すると、さらに仕事がしにくくなるので、自分がおもいっきり下手(したて)に出て「あなたはすごい」とアピールするほうが、ラクに事が運びます。
この際、比較的簡単にできる行動としてまずおすすめしたいのは、自分から挨拶をすること。そして、できるだけ「相手の名前を呼ぶこと」です。それだけで、相手から持たれる印象は変わります。たとえばあなたが褒められるときも、ただ「すごいですね」と言われるよりも「◯◯さん、すごいですね」と言われたほうが、グッと承認してもらえた気分になれませんか? 名前を呼ぶことがもたらすポジティブなパワーは絶大です。
苦手な人に対してはもちろんですが、どんな相手にでも喜んでもらえるので、ぜひ、日々の会話の中に「名前を呼ぶこと」を取り入れてみてください。「◯◯さん、おはようございます」「◯◯さん、お疲れ様です」。それだけの簡単なことですが、人間関係がスムーズになり、さまざまなことがやりやすくなるはずですよ。
井上智介先生
精神科医&産業医
「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーにした「ラフドクター」として活躍中。書籍多数。近著に『がんじがらめの心がラクになる「呪いの言葉」の処方箋』『この会社ムリと思いながら辞められないあなたへ』など。