やる気が出ない、自分はダメだと思ってしまう、意味が見出せない…。仕事のネガティブ思考を変える方法

仕事にまつわるネガティブ思考を変える方法


仕事をする上で「メンタルのコントロール」が非常に重要…ということは頭ではわかっていても、社会が全体的に不安になっている今、それもなかなか難しいことですよね。新型コロナの影響でなんとなく落ち込んでしまったり、5月病を引きずって「6月病」のようになってしまっていたり…。

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そんなときに考えを変え、前向きに仕事を乗り切るコツは、どんなところにあるのでしょうか。
企業の人材育成や組織活性を研究し、支援する、リクルートマネジメントソリューションズの主任研究員・桑原正義さんによると「成果・成長につながりやすいものの見方に切り替えていく」ことが重要とのこと。

たとえば「失敗したらどうしよう」と恐れるよりも「失敗してもそこから学べばいい」という見方に立ってみること。「周囲に迷惑はかけられない」と思い込んでいるよりも、実は「仕事を進めるためには周囲の協力をもらったほうがいい」という見方をしてみること

今回は仕事で陥りがちな「ネガティブ思考の切り替え方」についてご紹介します。自分のできないことにばかり目が向いてしまう、仕事に意味が見つけられない…そんなよくある悩みを解決するコツを早速見ていきましょう。

 

Q.どうしても自分の「できないこと」に目が向いてしまいます。どうしたら「自分のいいところ」を見つけてあげられるでしょうか?


A.周囲の意見をもらいながら、自分のいいところを見つけてあげてください!

 

【1】自分の中で「上手くできていた」時期のことを整理する

今、目の前の自分が「できていない」と、ダメな自分ばかりが目に入りやすいですよね。一方で、これまでの経験の中で「上手くやれていた」「頑張れていた」ときもあったのではないでしょうか。
そのときの経験をじっくり整理してみて、自分の強みや得意なスタイル、自分が頑張れるポイントややる気の源を認識するところから始めてみてください。
「あのときの方法でやってみるといいかも」「こういうことが見えれば頑張れるから、探しに行ってみよう」など、意外とヒントが見つかるものですよ。

【2】周囲に聞いてみること

自分の良さは、実は自分よりも周囲のほうが見えていることがあります。
物理的にも自分のことを見ることはできませんが、周囲からは常にあなたの行動が目に入っています。

ただ、いきなり「私の強みを教えてください」とはなかなか言いづらいと思います。たとえばこんな聞き方だと比較的上司や関わっている人にお願いしやすいのではないでしょうか。

・「自分の振り返りを定期的にやっているのですが、先日読んだ本に周囲の意見を聞くのが大事とあり、お手数ですがフィードバックをいただけませんか」

・「今度自分の特徴を振り返るワークを受けるのですが、周囲にヒアリングという宿題があるので協力してもらえませんか?」

などなど。「積極的に頑張っているな」と思ってもらえるはずです。

聞く項目は、「強み・良いと思うところ」「らしいな、と思うところ」「それぞれについて、具体的にどんなところで感じたか」です。仕事では強みが発揮できていないケースもあるので、自分をよく知る友達や知人、家族の人に聞くのも効果的です。新しい発見や勇気をもらえるヒントがありますよ。

逆に、もし周囲に聞かれた場合は、客観的な当たり障りのない意見よりも、「あくまで私から見た印象だけど」と主観的に思っていることを正直に答えるのがおすすめです。

基本的にフィードバックは「選択肢の提供」です。「こうしたらいい、ああしたらいい」と誰かに言われても、最終的にどうするか選ぶのは本人です。聞く側は「言われたことを全部反映する必要はない、ひとつの選択肢として捉えよう」でよいですし、言う側も「あくまでひとつの選択肢として受け取ってね」というスタンスでいるのがちょうど良いと思います。

どれを選ぶにせよ、選択肢は多いに越したことはありません。そのときは「うーん?」と納得いかなかったことも、1〜2年経って突然化けることもあります。言われたことで納得がいかないものは忘れて捨ててしまうのではなく、なんとなく「そういえばこんなことを言われたな」と保留しておくと、いつか役に立つ日が来るかもしれません。

Q.「どうしても意味を見出せない仕事」「ある程度慣れてきて、やっぱりあまり意味が感じられない仕事」は、どのように意味を見出していけばいいでしょうか?


A.人に意見を聞いて、自分基準ではないものの見方にふれてみてください。

これは、何を隠そう私自身もよくあります。経験からいっても、以下のふたつのアクションをおすすめします。

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【1】率直に聞いてみること

かつて、どうしても営業で数字を追いかけることに意味を感じず、やる気が出なかったときがありました。

そのとき、先輩に「ただ達成してもお客様に役立つ仕事じゃないと意味がないと思うんですが」とおそるおそる言ってみたところ、先輩は「達成というのは、数字を追いかけるばかりじゃなくて、さまざまな意味や経験につながること」を教えてくれました。

中でも自分に響いたのは「受注をもらえるということは、お客様からの信頼と期待の証。役立ちたくても、受注をしなければできないだろう。受注した後に、その期待に応える仕事をすればいいんじゃないか」と言われ、はっとしました。
それからは「数字はどれだけお客様に役立てたかの指標」ととらえ直せたので、目標達成が前よりも苦にならなくなったのを覚えています。

目の前の仕事の意義は、自分が思っているよりも実はたくさんの捉え方ができます。自分の判断だけで決めつけず、さまざまな先輩や上司に聞いてみると、自分にしっくりくる捉え方が見つかるかもしれません。

【2】とりあえず、乗っかってみること

上司世代の人に多くある経験として、最初は意味がないと思っていたことも、イヤイヤでもやっているうちに「実はこういう意味があったのか」「こんな力がついてよかった」と感じた、というものがあります。

たとえばプロのアスリートでも、自分が決めたメニューでは、上達は限られています。でも、コーチから渡されたメニューで「これはきつい」と思ったものを頑張ってやってみると、思ってもみなかった上達ができたケースがあります。

仕事もそれと同じです。

本人には見えていなくても、渡す側には「これをやることが本人の成長につながる」という理由や経験則があるものです。それを聞いて意義を感じられるのがいちばんですが、中には「それはあなたたちの世代の話であって、今は違う」と納得できないものもあるでしょう。

それでもあえて、「やる前から否定せず、一度はのっかってみる」ことはやってみても良いと思います。そこから「意外とできる」「やってみると発見があった」という経験は、今後自分の世界に閉じず、自分の中の新しい可能性を開いていく力につながり、それは人生を通じた、とても大きな財産になると思います。

 

Q.なんとなくやる気が出ません。どうしたらいいでしょうか。


A.とにかく「自分のやる気スイッチ」を知りましょう。

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【1】自分の気分が上がることをご褒美にする

「この仕事は面倒だから先送りしたい」「今疲れてるから休みたい」と「なんとなくやる気が出ない」ときは、正直「仕事にモチベーションを持って動機づけをする」って、なかなかできないと思います。

「無理やりやろう」と思わなくても大丈夫です。

「ちょっと気分やテンションが上がること」をして「じゃあちょっとだけやろうかな」という気持ちに持っていくのがいいと思います。

お笑い芸人さんのYouTubeを見て笑うのでもいいし、食べ物が好きなら「頑張ったらあれを食べよう」とご褒美を設定するのもいい。とにかく自分が好きなもの、エネルギーが湧くものを思い出して、それにやる気をもらってみてください。

【2】自分が何をするときにテンションが上がるかを記録してみる

とはいえ「特に仕事のテンションが上げられるほどすごく好きなものがパッと思いつかない」場合は、とにかく「何をしたときに自分のテンションが上がったか、やる気が出るのか」を、スマホのメモ帳にでもなんでも、記録してみるといいと思います。

そうすると実は「人と話すと元気が出る」「好きな音楽を聴きながらだと、少しずつ仕事ができる」「そんなに頭を使わない作業系の仕事を5分だけだらっとでも手をつけてみると、妙な達成感があってその後するっと仕事ができる」など、人によってさまざまなパターンが出てきます。

それでも思いつかないという場合は、友達でも同僚でも、誰かに「やる気が出ないときどうしてる?」と質問してみるのもいいと思います。そうすると、意外と自分では思いつきもしないようなことでやる気を出している場合があります。ひとつずつ試してみると、案外その中に自分のやる気スイッチを押してくれるものがあるかもしれませんよ。

▼お話をうかがったのは…
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 主任研究員 桑原正義さん
1992年4月、人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業、商品開発、営業企画、コンサルタント職を経て2015年より現職。
新人・若手が育つ職場づくりを専門テーマとした10年以上にわたるコンサルティング経験の中で、今の時代で実効性のある育成ノウハウを構築。現在は研究・開発の立場でさらに研究を深めつつ、ノウハウの体系化・汎用化に取り組んでいる。
取材協力/リクルートマネジメントソリューションズ
構成/後藤香織

 

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