池田エライザ、「女の子を守りたい」という思いが原動力|歴代専属モデルを直撃Vol. 23

CanCam卒業後、俳優に歌手、映画監督の道へ

CanCam創刊40周年を記念して、歴代のOGモデルをクローズアップするスペシャル連載。専属モデル時代から今日までの軌跡を振り返りつつ、今だから話せる撮影裏話やプライベートなお話など、自分らしく輝き続ける彼女たちのリアルなメッセージをお届けします。

第6弾では、抜群の存在感とクリエイティブな感性で人気を博し、現在は俳優・歌手・タレント・映画監督などマルチに活躍する池田エライザさんにインタビュー。

エライザさんは、2009年ファッション雑誌『ニコラ』(新潮社)にてモデルデビュー。同誌を卒業した翌月より『CanCam』の専属モデルになり、2013年から2018年の約5年間在籍。愛され要素たっぷりのかわいらしい表情はもちろん、カジュアルでクールなスタイルを担当し、当時のCanCamの世界感をグッと広げてくれました♡ 第3回目のインタビューでは、CanCam卒業後の多岐にわたるお仕事事情について、そしてエライザさんの抱える思いについて伺いました。

“女の子を守りたい”その気持ちが強いんです

5年間務めたCanCam専属モデルを、2018年に卒業したエライザさん。在籍時からモデル業と俳優業を両立してきた彼女が、卒業に踏み切ったきっかけとは?

「私の基本的なお仕事のスタンスは、自分がお役に立てることがいくつかあって、ご縁が繋がったらそれを実行する感じなので、俳優として頑張っていくぞ!って決めて卒業をしたわけではないんです。少しずつ自分にできることが増えてきて、やめざるを得なかったというのに近いかな。私の軸には、“女の子を守りたい”という気持ちが強くて、それも理由のひとつかもしれません」

——“女の子を守りたい”とは…どういうこと?

 「そうですね…例えば私は、監督業をすることもあるんですけど、監督の中で女性の数って圧倒的に少ないんです。だから私が監督をすることで、少しでも道が増えたり、間口が広がったりしたらいいな、という思いがあります。もちろん、純粋に映画監督を経験したかったという気持ちもありますけど。何をするにせよ、自分が自分が!と、前に出たいわけではなく、素敵なご縁で出会えた人たちとの活動が、女性を守ることに繋がればいいな、と思いながらやっています」

俳優・歌手・タレント・映画監督…たくさんの顔を持つエライザさんですが、それは自分をセールスするためだけではない。“女性を守りたい”という思いを軸に、人と人との巡り合わせを大切にしながら、流動的に表現の形を変えているのだそう。

——“女の子を守りたい”という思いはいつから?

「CanCamに在籍していた10代後半〜20代くらいに思いはじめました。昔は“働く女性=カッコいい”って漠然としたイメージがあったけど、なんで女性が働くだけでカッコいいって思われちゃうんだろう?って疑問を抱いたのが10代の頃。そこから、“働く女性をわざわざ取り上げるのではなく、それが当然な世の中にしないとダメじゃない?”って気付いたのは、お芝居を通してでした。じゃあ私にもできることがあるはずだなって、いろいろと勉強し始めたのがハタチの頃です」

エライザさんのハタチといえば、CanCamの専属モデル、自身初のスタイルブック『@elaiza_ikd』の発売、“自撮りの神”としてのブーム、そして俳優業が忙しくなり始めたとき。とにかく多忙を極めていた印象が。

「確かに…忙しかったですね(笑)。でも私は勉強することが苦じゃないし、知らないことを知るのが好きなので、辛いというよりワクワクしていました。あと、それまではケータイをいじる時間がかなり長かったので、その時間を勉強に回すようになって、いいきっかけでもありました」

ニュートラルな状態でいることが一番の勉強法

——具体的に、どのように勉強していた?

「個人的には、自分の考えや受け止め方を変えるのが、机の前に座って本を読むよりも身になるし、一番の勉強法だと思っています。潜在的に自分が持っているものを捨てて、ニュートラルな自分でいろいろな人と接することが、私流の勉強法です」

あらゆる作品や人、価値観に出会う中で、ニュートラルな状態でいるのは簡単ではない。自分の軸をブラさないために意識していることはあるのか。

「“生きてるだけで偉いじゃん”って、自分にも周りにも思うことかな。そもそもみんな考えすぎでは?と感じることが少なからずあったり、物事を深刻に捉えるのが好きなのかな…と感じることも。でも実は、“今日も災害がなく、家族がいて、生きてるって超すごいね?”くらいにしておいて、予期せぬことが起きたときは、すべてをホルモンバランスのせいにするくらいが丁度良いんじゃないかなって思うんです。そのくらいハッピーでいて、何かあったら”ホルモンバランスだからしょうがないよね”って思える状態が、ニュートラルなのかなって思います。生きているだけですごいことだし、分からないことがあるってすごく楽しいことじゃないですか?」

ドラマ『DORONJO/ドロンジョ』ではダークヒロイン像に挑戦

“いつでもニュートラルでいる”。憑依型の演技に定評のあるエライザさんが、どんな幅広い役柄にも入り込み視聴者を魅了するコツは、ここにあるのかもしれません。実際、エライザさんが主演を務めた最新作『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』でも、のちにダークヒロイン・ドロンジョとなる泥川七音の過酷な人生を、生々しくも逞しく体現しています。

——ドラマの役作りで苦労したことは?

「(泥川)七音の役には…、スルッとは入れなかったですね。アマチュアボクシングの選手役だったので、身体に痛みを感じることが多かったですね。ボクシングに特化した体に改造していく中で、普段つかないような部位に筋肉がついたり、猫背になったり…、そんな自分に順応するのにも苦労しました。でも、一番キツかったのは精神面。特に4話くらいまでは、貧しく過酷な環境下で育ってきた七音の人生が描かれているんですが、正義というものを信じられなくなるくらい過酷なんです」

——どうやって向き合いましたか?

「彼女(泥川七音)がスゴいのは、そこで100%絶望して、全力であがいて、常に進化していくところ。そうやって彼女が新しいダークヒロイン像を作り上げていくために、今回は私の体を貸した感じです。全身全霊をかけた作品なので、ぜひ観て欲しいです!」

——今後の目標についても教えてください!

「ないです!(笑)『DORONJO/ドロンジョ』を観てください♡」

普段は柔軟で軽やか、そしてニュートラル。それでいて役柄に入り込むときはとことん深くまで演じきる。そのスイッチの切り替えがエライザさんの魅力であり唯一無二のオーラを放つ所以。ついにスタートする主演ドラマ『DORONJO/ドロンジョ』の好演もお見逃しなく!

インタビュー最終回となる次回は、最新主演作『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』への思いや見どころをさらに深掘り! ぜひお楽しみに♡

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池田エライザProfile】1996年4月16日生まれ。2009年ファッション雑誌『ニコラ』(新潮社)にてモデルデビュー。同誌を卒業した翌月より『CanCam』の専属モデルに抜擢され、2013年から2018年まで約5年に渡り在籍。モデル業の傍ら女優業をスタートし、唯一無二の存在感と抜群の演技力で映画やドラマに出演。歌い手としても高い評価を得ており、今年6月にはファーストアルバム『失楽園(DELUXE version)』をリリース。そのほか、映画監督やスチールカメラマンなど制作の仕事も手がけ、果てしないパワーと好奇心は多方面に及ぶ。Instagram 
【出演情報】タツノコプロ創立60周年記念『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』
10/7(金)放送・配信スタート 毎週金曜午後11:00 ※第1話無料放送(全11話)
1977年に初放送された国民的アニメ『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』で、正義の味方であるヤッターマン1号・2号の敵役として知られるドロンジョ。本作では、主人公の泥川七音が、ドロンジョとして悪に手を染めることになるまでの、知られざる過去や生き様を描くダークエンターテインメント作品。キャストは他に、山崎紘菜 矢本悠馬 金子大地 / 高橋和也 古田新太
撮影/谷口 巧(Pygmy Company) スタイリスト/福田春美 ヘア&メイク/RYO 取材・文/大下杏子 衣装協力/BURBERRY