ファンデは塗るのがいいとは限らない。美容のプロが語る、本当に美肌に見えるメイク

「ササッと簡単に出来て、好きな人の心にササる」#ササメイク を提唱している、メイクアップアーティストの佐々木一憲さん。

なかなか表に出せないオフレコ話も含めた美の情報を共有し、サロンメンバー同士でお互いに高め合っていくオンラインサロン「SASAMAKE LOUNGE」や、マンツーマンのメイクレッスン+写真撮影を行う「SASAMAKE STUDIO」、そして「自分らしさを好きになる」サポート型コスメブランド「BeMe」のプロデュースなど、多岐にわたる活躍を続けています。
佐々木さんが意識的に行っているのは「メイクがあまり得意ではない人向けの情報」や「頑張りすぎないメイク」の発信。肩の力を抜いて、自分らしさを活かしながら美しさを底上げし、そして自己肯定感が上がっていく…。

そんな佐々木さんに、ここまで「自分を好きになれる、合うメイクのコツ」をうかがってきましたが、今回は「メイクの頑張りどころ」についてご紹介。「メイクを頑張っているのに、いまいちうまくいかない理由」「むしろ、やらなくていいメイク」についてお届けします。

◆メイクを頑張ってるのにうまくいかない理由

メイクを頑張って研究して、それでもなんだかうまくいかない。
そういう人は、残念に思ってしまうかもしれませんが、だいたい「頑張るべきポイント」がずれています。もうすでに80点取れているパーツを90点に持っていこうといく努力はしているのに、一方で0点の部分は放置している。そんな風に、アンバランスなメイクをしてしまっている人はかなり多いです。それなら0点の部分を60点に持っていったほうが、全体として「きれいな人だな」という印象になります。

たとえば眉がほとんど前髪で隠れている方が、ほとんど見えない眉尻ばかり頑張っている一方で、目につきやすい眉頭はあまり力を入れていなかったり…。実は、「眉尻はざっとでもいいので、眉頭を思っているより内側から書いてあげたほうが立体感が出て美人に見える」ということがよくあります。

◆「ファンデーションは塗らなければいけない」という意識の罠

「頑張るべきポイントがずれている問題」でいうと、「ファンデーションは絶対に顔全部に塗るべきもの」という意識が抜けず、ベースメイクを塗りすぎているパターン。
でも、一度考えてみてください。あなたの肌は本当に、そんなにファンデーションをしっかり塗って隠す必要はありますか? 

肌全体に目立ったトラブルがなくて、クマや小鼻まわりなどポイントだけ気になる部分があるなら、そこだけ塗ればいい。
結構見かけるのは、ニキビもシミも毛穴もそこまで気にならないのに、「頬の赤みを隠すために厚塗りをしてしまう」人。でも、赤みを消すために厚塗りする必要はなくて、どっちみちチークを入れるんだから、軽く抑えるくらいで本当はいいんです。ベースメイクは顔の中心さえきれいに見えていれば、実は全体がきれいに見えます。

僕がメイクをするときのベースメイクは、だいたい「下地を塗って、気になる部分はコンシーラー」で終わり。

佐々木さん愛用アイテム

コンシーラー
左)LUNASOL シームレスコンシーリングコンパクト 01
右)コスメデコルテ トーンパーフェクティング パレット 01

下地
CHANEL ル ブラン ラ バーズ (左)ペッシュ(右)オーキデ

 

コンシーラーを塗る箇所は人によってカスタマイズしますが、だいたいこのあたり。

・クマが気になる場合、涙袋から下の部分
・小鼻の赤みが気になるなら、小鼻
・シミ、ニキビなど肌トラブル

さらに、人によってはクマを隠さないこともあります。なぜかといえば、涙袋はカバーせずに暗さを残しておいたほうが、実は顔がのっぺりせずに立体感が出ていいことがあるからです。一度試しにクマをすべて隠さないで、顔全体を引いて見てください。「案外こっちのほうがいいかも?」となる可能性があります。それでもどうしても気になるならカバーしてもいいですが、「近くで見すぎない」ことは心がけてください。他人から見えているのは「服を含めた、全体の印象」です。

メイクは服とのバランスです。たとえばドレッシーな服を着る日や、緊張するプレゼンでスーツを着てしっかりした印象に見せたい日は「メイク感」が出たほうがいいので、ファンデーションを塗ったほうがバランスが取れます。
でも、服はTシャツ×デニムで、抜けがあるカジュアルスタイルなのに、顔だけがっつりしっかり塗っているのは、よく考えるとアンバランスです。その状態に慣れてしまっていると何も感じなくなってしまいがちなので、意識的に気をつける必要があります。

「なんとなく、ファンデーションは絶対に塗るものだ」と思い込んでしまっている人は、一度「本当に、このファンデーションは必要?」と考えてみてください。

◆肌をきれいに見せたいなら、頑張るべきはファンデよりスキンケア

とはいえ、しっかりファンデーションを塗ることに慣れすぎてしまっていると「塗らないとなんとなく不安」と思ってしまう気持ちが出てくるはずです。

ベースメイクというと、つい「いかにファンデーションを塗ってきれいに見せるか」の方向性で考えてしまいがちですが、実は「スキンケア」にもっと時間をかけてあげたほうが、よっぽど肌がきれいに見えます。

いくらいいファンデを買って頑張っても、スキンケアがきちんとできていないと、その実力を活かしきれていないことがあります。
特に、頬のあたりがカサついたりザラついている…という状態のとき。そういうときは、お肌の表面に細かいでこぼこがあります。そうすると、ファンデーションがお肌に引っかかったような状態なので、見た目もあまりきれいではない上に、崩れやすいです。
肌トラブルが気になるときは、メイクの前に乳液やクリームなどを使いながらしっかりマッサージしてあげてください。ファンデーションはそのままの肌に厚く塗るより、スキンケアで土台を整えた肌に薄く塗ったほうが、お肌はきれいに見えるはずです。

マッサージの際の愛用アイテム
コスメデコルテ モイスチュア リポソーム クリーム

ファンデーションは万能ではありません。肌荒れはファンデだけでごまかそうとしないことをおすすめします。
最近はツヤ肌が主流なので、よく「ツヤ肌におすすめのコスメは何ですか?」と聞かれますが、結局のところ、それは「スキンケア」です。僕自身が誰かにメイクをするとき、いちばん時間をかけるのは何よりもスキンケアです。スキンケアで肌にしっかり水分を与えてあげれば、自動的にツヤ肌になります。

ツヤ肌にしたいときのおすすめアイテム
コスメデコルテ モイスチュア リポソーム *こちらは2021限定デザインです

ただ、現実的に考えて、忙しい朝に毎日何十分もかけてスキンケアをするのは難しいですよね。特別な日の朝はいつもより丁寧なスキンケアをするにしても、いつもの平日の朝なら、何か別のことをしているときに、シートマスクを顔に乗せる「ながらスキンケア」を取り入れてみるのはどうでしょうか。その後にメイクをすると、塗りすぎないベースメイクが実現できるはずです。

◆スキンケアでツヤを、メイクで立体感を作る

僕のメイクは「眉」と「シェーディング」が特徴的だと思います。一般的に「肌は白く明るいほどいい」と言われることが多いので「肌が暗く見えるシェーディングはなかなか手が出せない」という方が多いですが、「影」を作ってあげることで、ぐっと顔が立体的に見えます。

佐々木さんのメイクは「影」が印象的。

いろいろな考え方があると思いますが、僕は「ツヤ感はハイライトではなくスキンケアで作り、立体感をシェーディングで出す」ことをおすすめしています。ベースとして顔の立体感を作っておくと、いつもよりポイントメイクが薄くても「盛れる」んです。

 

  1. ファンデーションは顔全部に塗らなければいけないという意識からの脱出
  2. アイシャドウでもファンデでも、むやみに明るい色を使わない
  3. ハイライトで明るさを作るのではなく、シェーディングで影を足す

この3つを心がけると、ぐっと美人に見えるメイクができると思います。

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ここまで3回にわたってお話をうかがってきましたが、次回は最終回。
まとめとして「メイクで変わる方法」をご紹介します。

▼お話をうかがったのは…
メイクアップアーティスト 佐々木一憲さん

ササッと簡単に出来て、好きな人の心にササる #ササメイク を提唱。
オンラインサロン『SASAMAKE LOUNGE』、メイクレッスン+写真撮影『SASAMAKE STUDIO』など、メイクが苦手な方でもわかりやすい美容情報を発信している。
Instagram: @kaz_hm Twitter:@kaz_hm

構成/後藤香織