アニメ映画「BLUE GIANT」2.17公開記念!原作ファンの白濱亜嵐さん・佐藤大樹さんが「BLUE GIANT」の魅力を語る!
■登場人物の誰も後ろ向きじゃないところが好き(佐藤)
──おふたりは「BLUE GIANT」のファンだそうですが、作品のどこに惹かれたんですか?
白濱亜嵐 僕は音楽を題材にしたマンガを読むのが好きなんですけど、「BLUE GIANT」はダントツで、マンガから音が出ている感じがするんですよ。サックスにしろピアノにしろドラムにしろ、楽器が鳴っているのが絵で伝わってくる。その表現力にまず驚かされたのと、僕はジャズについてほとんど何も知らない状態で「BLUE GIANT」を読み始めたので、ジャズの面白さを勉強させてもらうという教材的な側面もありました。
佐藤大樹 主人公の大(ダイ)は最初から才能に恵まれていたというよりは、ひたすら練習に練習を重ねてうまくなっていくタイプで、そこに自分がEXILEのオーディションを受けたときの境遇を重ねてしまいました。僕がEXPG STUDIO(LDHが開校したダンススクール)に入ったとき、周りはみんな小さい頃からダンスをやっていた人ばっかりで。「BLUE GIANT」でいったら、大が東京で出会ったピアノ歴14年の雪祈(ユキノリ)がゴロゴロいる感じなんです。そんな人たちと同じ土俵に立つなら、みんなが寝ている間も自分は練習するしかない。当時、僕は高校生でしたが、まさに単行本の4巻ぐらいまでの大とまったく同じ行動をとっていたんです。
白濱 大樹が言うように僕らがいるのは努力しないと勝てない世界だし、「BLUE GIANT」からもそういう世界の厳しさはひしひしと伝わってきますね。例えば大と雪祈のバンドにドラマーとして加入する玉田はまったくのドラム未経験者で、子供向けのドラム教室に通ったりして一生懸命練習するんだけど、実力が伴わないまま初めてのステージに立つことになる。僕自身、自分に自信がないままステージに立つ怖さをスクールで散々味わってきたので、ものすごく共感できます。
佐藤 玉田は最高だよね。4歳からピアノを弾いている雪祈と、高校3年間、1日も休まずサックスを吹き続けてきた大と一緒にやるんですもん。
白濱 人より遅れていてもチャレンジすることは大事というか、チャレンジすることに早いも遅いもないというのに気付かされましたね。
佐藤 「BLUE GIANT」の何が好きかって、誰も後ろ向きじゃないところです。自分だったら絶対に凹むようなことを言われても、まったく凹まないか、凹んだとしてもすぐ跳ね返す。だから読んでいる僕も前向きなマインドになれるというか、自分にはなかった発想を与えてくれる作品でもありますね。
■大役は山田裕貴しかいない(白濱)
──「BLUE GIANT」東京編で特に印象に残っているシーンやエピソードは?
白濱 僕は、ライブハウス・So Blueの支配人の平(タイラ)さんが、雪祈のピアノソロに対して言った「君のピアノは、つまらない」「内臓をひっくり返すくらい自分をさらけ出すのがソロだろ」というセリフがぶっ刺さりまして。
佐藤 あー!
白濱 僕もダンスのソロはそんなに得意じゃなくて、頭であれこれ考えて結局失敗することも多かったし、いっぱいいっぱいになりすぎて音が聞こえなくなる瞬間もあったんです。でも平さんの言う通り、何も考えずに自分をさらけ出して、音とつながらなきゃソロとは言えない。それを学ばせてもらいましたね。
佐藤 僕がグッときたのは、雪祈のことを評価している川喜田さんというギタリストの「勝ち続ける奴は絶対に過去を振り返らないの。絶対に」というセリフです。僕はどうしても過去の失敗とかを引きずってネガティブな気持ちになったりしちゃうんですが、それじゃいけないんだなって。
白濱 そうだね。
佐藤 高校生の大が地元・仙台のジャズバーで初めてライブをしたとき、バーの常連のおじさんから「うるさいんだよ!! 君は!!」「こっちは金払って酒飲みにきてんだよっ」と怒鳴られるじゃないですか。大はその場でステージから降ろされちゃうんだけど、帰り道で寄った公園で顔を洗って「へでもねえや」と。このセリフもめちゃくちゃ好きですね。
白濱 「へでもねえや」はけっこうキーワードというか、これを言うことで逆境を乗り越えるみたいな。
佐藤 そうそう。東京編のラスト、大が日本を離れてヨーロッパに旅立つときも「へでもねえや」と言って飛行機に乗り込む。本当に大は負けない、強いなって思います。
──そんな大の声をアニメ映画版では山田裕貴さんが務めますが、山田さんとおふたりは「HiGH&LOW」シリーズで共演されていますね。
佐藤 亜嵐くんは、裕貴くんとは長いよね。
白濱 うん。もう10年以上の付き合いになるんですけど、大役にぴったりですね。裕貴くんが大の声を演じると聞いてから、単行本を読むと大のセリフが裕貴くんの声で脳内再生されるようになりましたから。裕貴くん自身もすごくストイックな人なので、大の仙台弁のニュアンスとかも合わせてくると思いますし、うん、大役は山田裕貴しかいない。
佐藤 キャスティングでいったら雪祈役の間宮(祥太朗)くんもめちゃくちゃハマり役だと思いますし、個人的には玉田役の(岡山)天音くんが一番楽しみですね。僕は、天音くんが今みたいに引っ張りだこになる前から俳優のオーディションとかでよく一緒になっていて、「この人、うまい……」と気になっていたんです。だから早く観たい!
■「BLUE GIANT」は自己啓発マンガ(白濱)
──今日のおふたりのスタイリングは、大の「白いシャツはジャズマンの証なんで!!」というセリフにちなんでいるのですが、おふたりがここぞというときに着る服へのこだわりはありますか?
佐藤 僕は赤がすごく好きなので、大事な日には必ず赤い下着を穿きます。ブランドは特にこだわりませんが毎年買い替えていて、勝負パンツとして常に2枚はキープしていますね。
白濱 僕は、勝負服とか勝負パンツというのはないですね。ルーティンみたいなものも何にもなくて、ライブでも日によってアップする時間とかも違うんですよ。むしろルーティン的なことを避けて、毎日違う行動をしようと思っていて。例えば自分の中で何かしら勝負前の決まりごとを作ってしまうと、それができなかったりしたときに気にしちゃいそうで。
──「今日、赤いパンツ穿いてくるの忘れちゃったけど、大丈夫かな……」みたいな。
白濱 そうそう。赤いパンツを穿いてこなかったことを引きずって、パフォーマンスに悪い影響が出るかもしれない。
佐藤 確かに、そういう考え方もあるかも。
白濱 どっちがいい悪いじゃなくて、僕はそういうタイプですね。
──最後に、CanCam.jpの読者に「BLUE GIANT」をおすすめするとしたら?
白濱 何かに挑戦したいとき、あるいは何かに挑戦して破れてしまったときとかって、全部自分1人で抱え込んでしまいがちだと思うんですよ。僕もそうなんですけど、そういうときに読むとマジで力がみなぎってくる、自己啓発マンガです。
佐藤 時期的にはこの春から新社会人になる人とか、新しい環境に身を置くようになる人にもおすすめです。
白濱 そうだね。めちゃくちゃパワーをもらえるんだけど、同時に優しく寄り添ってくれるようなマンガだから、ぜひ読んでほしいですね。