直木賞作品『サラバ!』(西 加奈子/著)の担当編集者である、石川和男さんのインタビュー。3回目の今回が最終回となります。今回は、石川さんが編集長を務める『きらら』という文芸誌の紹介です。そもそも、タダで読める文芸誌があるって知ってました? 石川さんのおすすめ本紹介もあり、本好きは必見です!
石川さんの最近の代表作、夢の競演
★1回目はコチラ→ 第一印象は最悪!? 直木賞作家・西 加奈子と『サラバ!』担当編集、出会い秘話
★2回目はコチラ→ 作家・西 加奈子と編集者の10年愛・・・直木賞受賞作『サラバ!』誕生の感動エピソード
Woman Insight編集部(以下、WI) 『きらら』読みましたが、佐藤正午さんに内田陽子さん、柚木麻子さん、大島弓子さん……これ、本好きにはたまらないラインナップですね。
石川和男さん(以下、石) 『きらら』は、文芸としては最後発の小学館が、「こういうものをやっています」ということを認識してもらうためのPR誌でもあるんです。だから、実は、店頭では無料でお配りしているんです。
WI え、無料なんですか!?
石 値段はついてて定期購読もできるんですけど、書店のレジ横に置いてあって、自由に持っていってもいただけるんです。
WI そうなんですね! ほかにも、書店さんによる著者インタビューとか、コラムとかあって、おもしろいですよね。
石 「書きおろしは難しいけど連載なら書ける」という作家さんもいらっしゃるので、そういう方の受け皿としてももちろん大事な媒体なんですが、「書店さんに認識してもらいたい」という思いのもとで始めた部分が大きいので、そのへんはいわゆる文芸誌とは違いますね。
WI 西加奈子さんも直木賞受賞の際、「書店に行ってください」とおっしゃってましたよね。
石 西さん、受賞会見で唯一言うって決めてたのは「書店に行ってください」ってことだったって言ってましたね。自分でも、ちょっと前までは安易に「ふだん本を読まない人が読むからベストセラーになる」なんて思ってたんです。実際そういうことも起きるかもしれないけど、それは特殊な状況で、習慣的に読んでくれている人に読んでもらえる本をつくらないと。じゃあそれは誰かといったら、やっぱり書店員さんが多数含まれているはずなんです。『サラバ!』も、書店員さんに愛されたから、今があるとも思います。