第152回直木賞を受賞した西 加奈子さんの『サラバ!』ですが、その陰にこの編集者あり! ということで、デビューからのおつきあいであるという担当編集者・石川和男さんにインタビュー。実は石川さん、あの300万部を超えるベストセラー『世界の中心で、愛をさけぶ』(片山恭一/著)も手がけた、小学館でも伝説の編集者であります。
そんな石川さんと西さんの最初の出会いは、実はかなりきわどいものだったそうで……!?
「恥ずかしいから写真は勘弁してください」とのことで、代わりに『サラバ!』をドン
Woman Insight編集部(以下、WI) 2004年、世間的には片山恭一さんの『世界の中心で、愛をさけぶ』が大ヒットしていましたが、石川さんはちょうど同じころに、新人である西 加奈子さんの処女作『あおい』を手がけてらしたんですね。
石川和男さん(以下、石) 当時、小学館の文芸は最後発だったので、メジャーな作家さんだとなかなか(書いてもらえる)順番が回ってこなかったんです。だから編集部も、それなら新人さんや中堅さんでも、自分がやりたいと思う人にどんどんアプローチしていこうよという、わりと自由でのびのびした雰囲気でした。無名だった『世界の~』が注目されたことで、新しいチャレンジに対する機運が高まっていた時期でもあったように思います。そんなときに、知り合いの方に紹介されて、西さんの持ち込みの原稿をいただいて。
WI 最初の持ち込み原稿から、「これはすごい!」と思われたんですか?
石 僕も彼女もちゃんと覚えてないんですけど、ワープロで打った原稿が、西さんらしくリボンで綴じられていたような覚えがあります。そのときは『あおい』と『サムのこと』(『あおい』に収録)という、わりと違う方向性の作品が入っていて。西さんがご自分でも言っているんですけど、これは今でも西さんのふたつの系譜というか、テイストをよく表してるんですよね。野球でいうと、いきなり2種類の球種を持っているような……。それがおもしろいなと思って会いに行きました。
WI 初対面のときのことを覚えていますか?