「HAPPY&ACTIVEなレディになろう♡」を掲げ、30歳前後の女性に人気のファッション誌、『AneCan』の編集長インタビュー、最終回となる第4回です。
★インタビュー第1回→AneCan編集長が語る2014年ファッションの変化「先取ることの難しさ」とは!?
★インタビュー第2回→AneCan編集長が見通す2015年。”万人ウケファッション”の次に来るもの
★インタビュー第3回→独占インタビュー!AneCan編集長が注目するのは”色気が魅力”なあのモデル
今回は春のトレンド予測をしていただきつつ、2015年の『AneCan』がいったいどのようなことを打ち出していくのかをうかがいます。
Woman Insight編集部(以下、WI)さて、2015年春はどのようなファッションが盛り上がっていきそうでしょうか。
福田葉子編集長(以下、福田)来春の気分は、12月で非常に盛り上がった「色っぽさ」がなくなっていって、ヘルシーでクリーンな感じですね。アイテムで言えばシャツやデニムなんですが、カジュアルともちょっと違った、健康的で明るい感じ。アイテム自体にはあまり色っぽさがないものが多いので、『AneCan』では「いかに女らしく着ていくか、会社にどうやって着ていくか」を春に向けて考えていきます。あとは、今までだったら通勤にはなかなか着ていけないと思っていたアイテムを取り上げて「意外に通勤にも使えるよ」という提案もやっていこうかな、と思っていますね。
WI 例えばどんなアイテムですか?
福田 これまでの『AneCan』にはあまり登場しませんでしたし、当然「通勤に着ていくなんてとんでもない!」と完全なプライベート服に思われていた、オールインワンです。来年の春からは通勤にも「なしではない服」という気がしています。もちろんデザインは選びますし、上にジャケットを着るなどスタイリングはしっかり考えます。
WI どうしてそのような考えにたどり着いたのですか?
福田 最初から「これは『AneCan』らしくない」と否定するのではなく、「あり」にする方法も考えていきたいな、と思ったんです。幅が広がると、ファッションも、ひいては人生ももっと楽しくなります。『AneCan』らしさにあまりにとらわれすぎると、どんどん小さく、つまらなくなっていくので、『AneCan』らしくないかもしれないけれど気になっているものについては、どんどんトライしてみましょう、という感じですね。
WI ほかに「これは『AneCan』らしくないかもしれないけどこれは注目している」というアイテムはありますか?
福田 今編集部で議論沸騰中なのが……「ガウチョパンツ」。ふくらはぎ丈くらいの非常に太いパンツです。過去20年ガウチョパンツが流行ったことはないのですが、どこのブランドも来春のラインナップに入れています。スタイルが良く見えるわけではないし、OLさんには非常に難しい流行です。けれど、「まさにガウチョパンツです!」というものは難しいかもしれませんが、実際着てみるとあまり広がらずストレートなものや、丈が短めでキュロットのようなものもあります。そのようなアイテムを見ていると、「ガウチョパンツは無理!」と排除するのではなく「これならいけるんじゃない?」とか「意外にぷに子さんには優しい流行だよ」とか、取り入れ方を考えて橋を渡してあげるのが、本来の雑誌の役目なんじゃないかな、と思いました。
WI それこそ『AneCan』らしさ、があるからこそ、どんな流行も着こなしによって『AneCan』っぽく取り入れる、という考え方もできますものね。
福田 そう、「らしくない」と切り捨ててしまうと、いつも同じになってしまう。むしろ『AneCan』らしさという核があるからこそ、「らしくない」ものも含め、いろいろなものにトライできると思っています。もっと、ファッションの可能性を広げていきたいですね。そして読者の方に「おしゃれって楽しいよね」と、思ってほしいんです。選択肢って多いほうが楽しいですしね。
WI 今後、「こんな記事にさらに力を入れていきたい」というものはありますか?
福田 やはり、手を変え品を変え打ち出してきた「お金」に関することですね。結婚、仕事、おしゃれ、美容。何をするにしてもどうしてもお金の問題は絡んできます。何かを買うにも悩むし、買っても失敗することもある。ファッション誌ではありますが、「お金特集」は大きなコンテンツです。2014年7月号ではまさに「お金に強い女は、強い!」という特集をしたのですが、この特集に関しては今でも取材が来るほど反響がありました。
WI 現代女性のお金にまつわることを見ていて気になることはありますか?
福田 「高いものを買って失敗」より「安物買いで失敗」が多いことは面白いなと思いますね。あとは、今の20代の子たちは、みんな賢いしきちんと考えているんだな、と。貯金はもちろんしているし、少額ながらもNISAで投資はするし、使うところは賢く使う。自分が20代のころはこんなにお金ときっちり向き合っていなかったので、今の子はしっかりしているな、と思います。
WI 20代の方たちがこんなにもお金について真剣に考えているのは、どうしてだと思いますか?
福田 不況だし、年金が出るかどうかもわからない不安な時代ということもあります。そして本当だったら見本にしたいであろう、私たち40代くらいの“上の世代”が考えていることが参考にならないから、自分たちで考えるしかないのかな、と。私の世代は「年金は出ないかもしれないけど、なんとかなるだろう」とけっこう能天気なんですが、今の20代はそんなに楽観的じゃないんです。
WI 2014年の『AneCan』で、お金にまつわる企画で読者から反響が高かったものはありますか?
福田 ファッションページでの「この流行は安くていい!」という企画ですね。「安物買いで失敗」という読者が多いことから、お金をかけたほうがいいものとかけなくていいものをきちんと分けて、見るべきポイントを伝えました。
WI 私もとても参考にしました……! 読んでいて「安くていいんだ」と安心できてとてもよかったです。
福田 例えば「フェイクレザー」は、技術が発展していてとても質がいいものが多く「本物のレザーにこだわる必要もないな」と思えるほどの良品が出ています。しかも安いしお手入れもしやすいので、「フェイクレザーで何が悪いの?」という感じです(笑)。使えるお金は限られているので、きちんと「これはお金をかけなくて大丈夫だけど、こういうポイントは買う前にチェックしよう」ということを根拠とともに言ってあげることが大事なのかな、と思っています。読者もそういう情報を知りたがっていますしね。
WI 読んでいて不安がなくなっていくような、すごく素敵な企画でした。
福田 余計な心配や余計なお金をいかにかけなくて済むか、ということは大事ですからね。いろんな人がいろんな不安を煽ることもあり、読者はしなくていい心配をしがちな世代ですが、20代から切り詰めて老後のために5千万貯めなきゃいけないなんてナンセンス! 現実的にどのくらい貯めてどのくらい使って、どこにお金をかけて、どこは安くていいか。そのバランスを知りたがっている方が多いな、と思います。
WI 今後、こういう読者層にリーチしていきたい、という層はありますか?
福田 AneCan創刊当時からは読んでいないであろう、20代後半の新しい読者です。創刊時からずっと一緒の読者はもちろん大事ですが、新しい層にもリーチして「初めて読んだけど『AneCan』ってすごくいい雑誌!」と思ってもらいたいですね。
4回にわたるロングインタビュー、ありがとうございました!
AneCanをいつも読んでいると、なぜ読者が求めている記事をこんなにも的確につかんでいるのだろう、と思います。しっかり働き、きちんと考え、賢く生きる。不況の世の中を生き抜く女性たちのファッション&ライフスタイル バイブルとして、2015年、いったいどのような面白いお役立ち企画を世に送り出してくれるのか、非常に楽しみです。是非店頭で見つけたら、お手に取ってみてくださいね。(後藤香織)
★インタビュー第1回→AneCan編集長が語る2014年ファッションの変化「先取ることの難しさ」とは!?
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【編集長インタビューシリーズ】
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【2013年『AneCan』編集長インタビュー】
第1回→ AneCan編集長が2013年を総括!「重大ニュースは押切もえの○○○」
第2回→ AneCan編集長が2013年を総括!「消費に積極的な子たちを世間は見ていない」
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