東京 2020 選手村プレスツアーで、これから選手が泊まるベッドルームとダイニングに入ってみた!

2021年6月20日(日)、国内外のメディア向けに開催された東京都中央区晴海・選手村プレスツアー内覧会に参加しました。海外メディアクルーも多く、国内外合わせて推定200人を超える報道陣でした。オリンピック時は7月13日(火)の開村から8月11日(水)の閉村まで、パラリンピック時は8月17日(火)の開村から9月8日(水)まで、選手やスタッフは長ければ1か月近くここに滞在します。今回の取材では、選手がこの期間にどんな生活を送るのか、居住スペースと食事にフォーカスしてレポートします。

快適なのか、意外と狭いのか…? 選手はこんな感じの部屋で約1か月生活します!

過去のオリンピックパリンピックでの選手村滞在経験者にヒヤリングして、アスリートが快適に過ごすにはどういう点に配慮すべきかを突き詰めて積み上げた居住空間です。ベッドは100%リサイクル可能な段ボール製ですが、大きな身体のアスリートにも充分耐えられる設計、時差に悩まされる海外からの選手の安眠のため光が漏れないように片側開きの遮光カーテンが、クローゼットは車いすユーザーの使用を考慮した高さになっています。

エントランスを通ってエレベーターに乗り、居住フロアまでのたどり着く導線は海もきれいに見えてとても心地よいものでした。ところが、内覧公開の部屋にお邪魔してベッドルームに入ったときに「あれっ、思ってたよりも...」という印象を持ちました。空気の通りも良く、採光も充分で明るく、ベッドの長さも充分ありとっても機能的です。だけど、狭く質素に見えてしまうのです。そう、中高生のときの勉強部屋のシンプル版のような。世界のセレブともいれるトップアスリートがここで生活するのかぁ、意外だな~と。もちろん、こういう感想は、その人に知識や経験に因るので、記者の主観でしかありません。しかしながら、「組織委員会が提供するのはベッドだけ。冷蔵庫など必要と思うものは各国の選手団が持ち込みます。」というスタッフの説明を聞いて、なるほどそれでは質素に思えても仕方ないよね。それにここは後にマンションとして一般住居になるんだから、ホテルじゃないし、華美なものはなくて当たり前か、と思い直しました。

14~18階建ての恒久施設21棟3800戸の居住棟にはオリンピック時は18,000、パラリンピック時は8,000のベッドが設置される。

居住棟からメインの施設まで、海沿いに整備され約900m続く晴海緑道公園。

開放感の明るいベッドルーム。シングルルームの例。すべてのベッドルームに窓が備えられて二方向換気が可能。

各戸内の共有スペース。必要な器具は各自が持ち込む。あまりに大がかりなものは組織委員会に申請。

バスルームは4ベッド4に対して1の割合。各戸広さが異なり、大きいとバスルームが2つの戸もある。

各フロアの外廊下は、車いす2台がすれ違える幅員とかなり広め。

やっぱり日本食?それともがっつりお肉?選手は、村内で何を食べられるの?

選手村のほぼ中央に位置するメインダイニングホール。村内にいる限り、選手は主にここで食事をすることになります。世界各国の選手団の多様な食習慣や文化、宗教などに対応した幅広いメニューから選択が可能。日本料理、ピザ/パスタ、アジア、ワールド(シチュー、フライ)、ワールド(グリル)、ベジタリアン、グルテンフリー、ハラール(イスラム法で認められた食品食材)などのコーナーが、フードコートカウンターのように設置されていて、700種類以上のメニューが8日間サイクルで提供されます。スタッフによると、海外の選手団には、ピザ/パスタが通常は好評だとのことでした。残念ながら試食はできなかったので、どんなレベルの料理かは分かりませんでしたが、どんな嗜好、文化の人にも対応できる多様性は感じられました。さらにもうひとつ選手のリラックスを目的にした複合施設内のカジュアルダイニングでは、日本各地の食材を利用した、カジュアルな日本料理を提供。おにぎり、麺類、鉄板焼き、串焼き、お好み焼きなど、伝統的な和食だけではなく、日常的に食されるメニューです。

1、2階合わせて約3000席、24時間営業のメインダイニング。

席数を2/3に減らしてフィジカルディスタンスを確保。1時間に3度の換気がなされている。フロア内の「栄養ヘルプデスク」では管理栄養面からアスリートをサポート。

メインダイニングの提供メニュー例/左下から「牛肉と野菜煮、たらの香草ソテー、バスマティライス、バケット」右下「豚のグリル、グリル野菜」左上「キャベツのスープ」中上「ミックスサラダ」右上「ヨーグルト」。

カジュアルダイニングの提供メニュー例/「鯖のグリル、豚のグリル、お好み焼き(豚)」。

メインダイニングホールには、村内のどのエリアが混雑しているかがリアルタイムで表示される。

フィットネスセンターや、診療検査施設の発熱外来、ドーピングコントロールステーションなど、オリンピックパラリンピックに必要なアスリートのための多くの施設が作られていました。

さて、この夏にここでどれだけの食材が消費されるのでしょうか?