一回ストップ!転職のプロに聞いた「正直転職しないほうがいい人の特徴」4つ

人生で、かなり多くの時間を使うことになる「仕事」。
仕事が楽しいかどうかで、人生の満足度は大きく変わるもの。
だから今の会社が不満だから転職したい…と考えているあなた。もしかしたらあなたは「転職を思いとどまったほうがいい人」かもしれません。

転職サイト3社の編集長と、実際に求職者と話す機会が多いキャリアコンサルタントの方に聞いた「正直、転職しないほうがいい人」の特徴をご紹介します。

お話をうかがったのは…『マイナビ転職』編集長 荻田泰夫さん、『doda』編集長 喜多恭子さん、『エン転職』編集長 岡田康豊さん、『エン エージェント』キャリアパートナー 熊谷正志さん、キャリアコンサルタント 長井亮さん

【1】「なんとなく、今が不満」でしっかり考えないまま転職する

もっとも多かったのはこちら。

▼転職をしたことで何を実現したいかが明確でないと危険

「たとえば『残業が多いから転職したい』というところから始まる転職も、それはそれでありです。ただ『残業を減らして、何を実現したいか』が明確でないと、満足いく転職にならない可能性が高いです。残業が減ったぶん給与が下がる可能性もあり、そこのリスクは転職前には見えないことも多いです。」(『doda』編集長 喜多恭子さん)

▼本当の原因をしっかり考えていないと、同じことを繰り返す

「今の仕事や会社に不満があって転職をしたいというのは非常によくあることで、それがきっかけでもなんの問題もありません。ただ、前向きな理由を見つけられないまま転職活動を始めると、結局満足いく転職ができない懸念があります。よほど極端なことでない限り、不満に感じることはどの会社でもあり得るので、ネガティブな点を補ってあまりあるポジティブな理由を見つけて転職に挑むことをおすすめします(もちろん、心身の健康に害を及ぼすような状況であれば話は別です)。
転職理由でものすごく多いものとしては、やはり『今の職場の人間関係が不満』です。ただ、今いるところの愚痴だけで転職活動をしてもうまくいきません。もし仮に『人間関係が不満』で転職を考えるとしたら、そこからさらに自分の考えを深掘りする必要があります。もし『隣の上司と合わない』だけなら、転職せずとも異動で解決するケースもあります。
特に『人間関係』で転職する場合は、どこにいっても何かしら人間関係にまつわる不満は起こりうるので、何があれば自分は人間関係が不満でもやっていけるのかを考えましょう。たとえば年収がもっと高ければ許せるとか仕事内容がこれならOKとか『この条件があれば我慢できる、この条件だと我慢できない』というものがあると思います。本当のところは仕事内容が不満なのか、業界が不満なのか。何に起因しているのか整理する必要があります。」(『マイナビ転職』編集長 荻田泰夫さん)

▼今の会社で改善できないか確認していない

「『今感じている不満は、この会社でどうしても改善できないものなのか』を考え、改善に向けて動く前に転職の意思決定をするケースは危険です。
同じ社内でも部署が変わると転職と同じくらい環境が変わることも多いです。仕事も慣れていて、人間関係もできている環境を捨て、0からすべてを始める環境に飛び込むのは想像以上に大変なこと。特に今は、コロナの影響を受けて未経験者を対象とした求人は減少している傾向にあります。まず社内で改善できないかを検討し、安易な転職は控えることをおすすめします」(『エン エージェント』キャリアパートナー 熊谷正志さん)

▼他者にのみ動機があると必ずまた起きる

「まず、転職する方はだいたい『隣の芝生は青い』状態で『他社に行けばリセットできるかも』と思う方が多いのですが、それはまずないと思ってください。どこに行っても自分の延長戦です。
そして『上司とうまくいかない』『会社の方向性がよくわからなくなった』など、自分に紐づいてない『他者にのみ動機がある転職理由』は、必ず同じようなことを繰り返します。統計を見ても、転職を行う方は『複数回転職する』傾向にあります」(キャリアコンサルタント 長井亮さん)

【2】他人を羨ましがる

「たとえば同級生のSNSを見たり、久しぶりに会って話すと『同じ環境で育ったはずなのに、なんであいつは自分より給料が高いんだ』と勢いで転職したくなることもあると思います。
しかし、人生を本当にその一時の感情で決めていいのか、立ち止まって考えてみてください。
『何をもって転職を成功とみなすか』は人それぞれ。他人と比較がしやすい条件面・待遇面を重視する方もいらっしゃいますが、それは『隣の芝生は青い』状態になりがちです。

実際、条件や待遇面重視で転職してしまうと、実は業務内容が想像よりもハード、人間関係が自分の思い描いたものと異なるなど、自分の仕事をする上で大事にしている価値観とは異なる環境を選択してしまう場合も。失敗したらまた転職すればいいや、と考える方もいらっしゃると思いますが、転職回数が1回増えるぶん、次の転職の難易度が上がることは忘れずにいてください」(『エン エージェント』キャリアパートナー 熊谷正志さん)

【3】減点思考が強い

「現職に不満だらけだったり疲れ切っていたり、何もかも減点でものを考えてしまう状態のときは、個人的には転職をしないほうがいいと思います。
基本的に、人は変化を好まない生き物です。転職は、確実に変化を伴うものです。マイナス思考で物事を判断しているときは、大きな変化をすること自体がものすごくマイナスになりますし、だいたいまた同じ不満を次の職場でも抱きます。
一度『こういうことをしたい』『これを叶えたい』など、プラスなことを考えられるようになるまで待ってください」(『doda』編集長 喜多恭子さん)

【4】採用市場が滞っていて、未経験転職をしたい

「正直、まさに2020年秋冬の今の未経験転職は慎重に考えてください。管理職や経験者採用の求人はありますが、若手層・未経験の求人はとても減っています。ただ、2020年5月を底に若干復活してきてはいます。各社さん若手が欲しいけれどなかなか…と求人が出ていなかったところが出てきつつあるので『そこそこ業績が良いところ』から復活しているため、そういった企業は狙い目といえば狙い目です。ただし倍率は非常に高いです。
こういったときは怪しい求人に引っかかってしまう可能性も少し高まっています。
『Openwork』など、実際にその企業で働いている人の内情がわかる口コミサイトを一度見てみると参考になりますが、状況が変わることも多いので、そういったサイトは1年以内など最近のものを見ること。また、ネガティブな意見が多いので『これはバイアスがかかっている』と話半分で見ることを意識してください。腹いせで書いている場合と純粋に良くない部分を伝えたい場合の2パターンあるので、鵜呑みにせずその口コミを書いた人が辞めた理由を想像する必要があります」(キャリアコンサルタント 長井亮さん)

思い当たるあなたは、まず一度しっかりと考え直してみて。
次回は「とりあえず新卒で入った会社は3年働け説」「3年以内の転職は不利になる説」ってホント?というトピックスについて取り上げます。

構成/後藤香織