関東地方と首都圏の違いって何?
ニュースなどで日常的に耳にする言葉の中にも、改めて聞かれるとちゃんと意味を説明できない言葉ってありますよね。
例えば「関東地方」「首都圏」。この2つの違い、わかりますか? だいたい一緒なんだろう、というところまではわかっていても、じゃあその微妙な違いがどこで生まれるのでしょう?
今回は神奈川大学 准教授の小泉諒さん(日本地理学会所属)にこの違いについて伺いました。
関東地方と首都圏って何が違うの?
「この2つの言葉は、どちらもある範囲を区分するもの。含む範囲がちがうというよりも、地域を区分する考え方が違うというのがポイントです。地域を区分する考え方の中には、
・便宜的に区切って設定された「形式地域」
・実質的にまとまりのある「実質地域」
というものがあります。ただ、「地域」というのは概念であって明確な形をもって実在するものではないので、「関東地方」や「首都圏」の定義には唯一の正解があるというものでもないのですが、今回はそれぞれの代表的と考えられる定義をご紹介します」(小泉さん)
■関東地方
代表的な定義と考えられるのは、学校で誰もが習ったことがあり、日本地理の学習に広く用いられる「七地方区分」です。学校や一般的な地域区分としても使用されている通り、基本的に「関東地方」という区分は「形式地域」の考え方に基づくと言われていて、東京・埼玉・千葉・神奈川・群馬・栃木・茨城の一都六県を指します。
■首都圏
「関東地方」に対し、「首都圏」という区分は、首都の圏内という言葉通り、首都・東京に通勤・通学可能な範囲、といったニュアンスが強く、「同じ機能を持った地域のまとまり」と言えるので、「実質地域」の考え方に基づくと言われています。
「首都圏」の代表的な定義と考えられるものは、1957年に制定され、当時の東京の過密解消を目的とした「首都圏整備法」の定義です。この法律では、東京駅から半径およそ70kmを想定した「東京都の区域および政令で定めるその周辺の地域(埼玉、千葉、神奈川、茨城、栃木、群馬、山梨県)を一体とした広域」が「首都圏」として定義されました。
つまり、首都圏の場合は県を境目としていないので、同じ県の中
こちらの地図(作成:小泉さん)をよく見ると、
ちなみに! 地価のニュースで耳にする「東京圏」とは、この首都圏整備法で指定され「既成市街地」(図の赤色の部分)やその周辺の「近郊整備地帯」(図のオレンジ色の部分)を含む自治体を指します。
まとめると、つい「関東地方」と「首都圏」の違いというと「どの県は含まれてどの県は含まれないの?」というところを基準にしがちですが、
1.含む範囲の違いというより、そもそもの考え方の違い
2.含む県の違いではなく、「都道府県を基準に考えたもの」と「東京駅を中心とした距離で考えたもの」の違い
だということを押さえておけば理解できるかと思います!
たしかに、天気予報や災害時のニュースは「関東地方」、交通情報や路線情報は「首都圏」と使い分けられていますよね。会話の中でもぜひ使い分けに注意してみてくださいね♪(岩川菜奈)
今回お話を伺ったのは……
神奈川大学 准教授 小泉諒(日本地理学会所属)