世の中には、読めそうで意外と読めない日本語が数多くあります。とくに社会人になりたての時期は、そんな日本語に次々と出会うもの。
「生憎」、「何卒」、「進捗」、「熨斗」など、「よく見かけるけどこれってなんて読むのかな?」と疑問を抱えていませんか?
そんな読めそうで読めない日本語をクイズ形式で覚えてしまおう!という、CanCam.jp人気の「日本語クイズ」。
本日のお題は、こちらです。
「割愛」という日本語、あなたは正しく読めますか?
素直な人は「わりあい」と読んでしまいそうですが……残念ながら「わりあい」ではありません。
この日本語が使われるのは、次のようなシーンです。
●会議中に…
「この部分の説明は、皆さんには不要なので割愛します」
●取引先からメールで画像データが送られてきて…
「先日のイベントの様子です。同じような写真は割愛しました」
などなど。
なんとなく読み方が想像できたでしょうか? では正解を見てみましょう。
「割愛」の読み方は、「かつあい」でした!
小学館『デジタル大辞泉』によると、「割愛」とは次のような意味です。
(1)惜しいと思うものを、思いきって捨てたり、手放したりすること。
(2)公務員が、他の自治体や民間企業などへ籍を移すこと。また、大学の職員が、他大学へ籍を移すこと。
(3)愛着の気持ちを断ち切ること。恩愛や煩悩を捨て去ること。
日常でよく使われるのは(1)の意味ですが、なんとなく違和感を感じる人が多いかもしれません。
先ほど例として挙げた会話は、「不要なので割愛します」「同じような写真は割愛しました」など、必要がないものを切り捨てる、という意味で使われていました。
でも辞書によれば、本来の意味は「惜しいと思うもの」を「思いきって」捨てたり手放したりすること、なのですね。
じつはデジタル大辞泉の「割愛」の項目には続きがあって、そこにはこんなふうに書かれています。
補説:(1)について、文化庁が発表した平成23年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「惜しいと思うものを手放す」で使う人が17.6%、本来の意味ではない「不必要なものを切り捨てる」で使う人が65.1%という逆転した結果が出ている。
つまり、もともとは「惜しいと思うものを手放す」という意味の日本語だったのですが、最近は半分以上の人が「不必要なものを切り捨てる」という使い方をしている、というのが実情のようです。
時代が変わるにつれて、言葉も少しずつ変化していきます。
普段使っている他の言葉も、もしかすると本来はびっくりするような意味を持っているのかもしれません。
(豊島オリカ)