産婦人科医が語る正しいPMS・生理痛の予防・対処法。「我慢してもいいことはありません」

■正しいPMS・生理痛の予防・対処法を産婦人科医が解説


毎月の生理が訪れるたび、憂鬱になる。

生理痛に悩む女性
(c)Shutterstock.com

痛みがつらかったり、なんとなく気持ちが落ち込んだり、何もできなくなる日さえある……。そんなPMSや生理痛、当たり前だったり、我慢するべきものだと思ってしまっていませんか?
「我慢すればそのうち終わるから」と、毎月つらいのに我慢してしまっている女性は数多くいます。けれど、カリスマ産婦人科医として、さまざまな女性の悩みや性について啓発活動を行う宋美玄先生は、「我慢することでそれらの症状が悪化してしまうこともある」と語ります。
本日は、産婦人科医が語るPMSや生理痛の予防・対処法をご紹介します。

 

Q.PMSや生理痛になりやすい人・なりにくい人の特徴はありますか?


一般的に、生理痛やPMSは、ホルモンのバランスや自律神経のバランスが崩れ、血行不良の人がなりやすいと言われています。ですが、実は医学的に根拠はありません。
女性の7割以上は生理痛やPMS、過多月経などのトラブルに悩んでいて、逆に悩みがない人のほうが少ないと思います。
ただ、強い生理痛の場合、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」など、婦人科系の病気が隠れているケースも多いので注意してください。

 

Q.PMSにならないための予防法はありますか?


PMSは正常の生理周期で起こります。生理周期に伴う女性ホルモンの変化の影響でPMSの症状が出ますので、予防はなかなか難しいものです。ですが、生活習慣を整えておくと、多少PMSに左右されにくくなるかもしれません。

・偏りなく、栄養バランスのとれた食事
・質の良い睡眠
・適度な運動

を心掛け、健康的な生活を送ることが大切です。とは言っても、現代の女性は忙しく、なかなか食事・睡眠・運動のすべてに気を配ることは難しいと思います。自分のPMSの時期を知り、その時期にはできるだけ無理をしないよう過ごすと良いのではないでしょうか。

また、自分のPMSの症状を正しく知ることが重要です。症状を記録することで、備えと対処ができるようになります。スマートフォンのアプリなどを活用するのもいいですね。
ただし、症状がひどい場合は、我慢せずに婦人科を受診してください。PMSは改善できる場合も多いので、「こんなことで病院に行ってもいいのかな?」と思うことなく、気軽に行ってみてくださいね!

 

Q.女性が日常生活の中でやってしまいがちな行動で、気づかないうちにPMSや生理痛を悪化させてしまうものはありますか?


あえて言うならば、「我慢をすること」です。
毎回つらい思いをするほどPMSや生理痛がひどいのであれば、それはあなたの体からのメッセージです。きちんと正しい処置をすれば、症状も改善し、毎月生理痛やPMSに振り回されずに過ごせますよ。
また、毎回ひどい生理痛になる場合は、子宮の病気が隠れているかもしれません。それを我慢し続けていると、将来不妊になるリスクもあります。

頭を抱える女性
(c)Shutterstock.com

Q.生理痛になったら、どのような対処をすればいいでしょうか?


PMSも生理痛も、なりたくないならばピルを飲むのがいちばんです。

生理痛がひどいのに「薬は飲みたくない」という方が、本当によくいらっしゃいます。最近は自然派志向が強まっているためでしょうか、立っていられないほどの痛みなのに、ハーブティやアロマで対処をしようとする方がいますが、医学的には効果は見込めません。頭痛薬や鎮静剤や漢方、ピルなどに頼ってもいいのではないでしょうか。

また、豆乳を飲むと生理痛に効く……など、さまざまな眉唾情報を信じている方が多いですが、間違った情報で時間やお金を無駄にしてほしくありません。インターネットには多くの情報があふれていますが、情報を鵜呑みにせずに、正しい知識を身につけていきましょう。

体を温めることもいいでしょう。血行を妨げるような体を締め付けるものはできるだけ避け、ブランケットなどでお腹まわりを温めたり、時間があれば湯船につかり体を温めることもおすすめです。

身体を温める女性
(c)Shutterstock.com

Q.生理痛でピルをはじめとした薬に頼るのが怖い……という女性の声は多く聞きますが、実際はどうなのでしょうか?


「ピルが怖い」という方のほとんどは、ピルの副作用に注目してしまっているのではないでしょうか。ピルにまったく副作用がないわけではなく、最も怖い副作用としては「血栓症」がよく知られています。ですが、血栓症になるリスクは10~30代くらいの女性なら非常に低く、とても稀であることもお伝えしておきます。
実際、副作用以上に、ピルには多くのメリットがあります。

・生理が軽くなる
・生理痛・PMSが軽くなる
・生理不順が治る
・生理日をコントロールできる(大事な予定に重ならないようずらすことも可能)
・避妊できる
・婦人科疾病のリスクが低下する

ピルの副作用を必要以上に恐れずに、嬉しいメリットをぜひ知ってください。

 

Q.生理痛のことで婦人科に行くか悩んでいる……という女性へのアドバイスをお願いします!


行くかどうか悩んでいるならば、ぜひ来てください!

婦人科はなんとなく行きにくい、というイメージをお持ちかもしれませんが、婦人科医としては、「風邪を引いたら近所の病院に行く」と同じ感覚で、「PMSや生理痛に悩んでいるから婦人科に行く」と思って来ていただきたいですね。
自分のかかりつけの婦人科医を見つけて、生理トラブルから解放される女性が増えていってくれると嬉しいです。

 

監修
宋美玄(ソン ミヒョン)

産婦人科専門医、医学博士、日本周産期・新生児学会会員、日本性科学会会員、丸の内の森レディースクリニック 院長 2児の母であり子育てと産婦人科医を両立。テレビ・ラジオ・雑誌連載などメディアへの積極的露出で“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓発活動を行っている。

★PMS・生理痛に関しては、宋美玄先生総合監修の「カラダのキモチ」アプリもおすすめ
基礎体温の記録や生理日・排卵日予測機能で、月経管理周期からPMS対策、妊活、妊娠、出産後のケアまで、女性のライフステージをトータルでサポート。妊娠しやすい時期・ダイエットしやすい時期がひと目でわかるカレンダーや、基礎体温の自動グラフ化や、対応機器の体温計を使うことでアプリに簡単転送など、便利な機能盛りだくさん。月経周期日数や基礎体温の変化からカラダの変調をお知らせすることも可能です。

 

 

★イライラ・落ち込みの原因、PMS(月経前症候群)を改善する方法教えます

【あわせて読みたい】

※体温・代謝・免疫力アップ!体あっため食材の選び方8つ

※ひどい生理痛にサヨナラ!痛みを和らげる簡単セルフケア5つ

※【頭痛の治し方4】ガマンからも、痛みどめの乱用からも卒業!専門医に聞いた、正しい頭痛の治し方

※周期、PMS、かゆみ、痛み……憂鬱なアノ日にまつわるお悩みに産婦人科医がアドバイス

※女子大生の3割が不正解!「生理周期」の数え方ちゃんと知ってますか?