【頭痛の治し方5】「頭痛」「カフェイン」「休日」の関係を専門医に聞いた
「平日はなんともないのに、休日になると頭痛になる」
まさに私もそうなのですが、そんな頭痛のクセを持っている人は少なくありません。
よし土日だ、遊びに行きたい……と思っているのに、頭痛のせいで大事な休日がつぶれてしまう。
それは、もしかすると、「カフェイン」が関係している可能性があります。
今回は「頭痛」と「休日」「カフェイン」の関係性について、頭痛外来の病院として有名な、秋葉原駅クリニックの院長・大和田潔先生にうかがいました。
Contents
Q.平日は平気なのに、休日になると頭痛になるのはなぜですか?
考えられる原因はふたつあって、ひとつは「寝すぎ」。あとは、「カフェインの欠乏」です。
平日に、コーヒーや紅茶など、カフェインを含む飲み物をたくさん飲みすぎてはいませんか? 実は、眠気防止などにカフェインを常用し、「カフェインが体にあることが普通になる」と、カフェイン切れになったとき、脳血管が拡張して頭痛が起きてしまいます。
だから、カフェインを常用するのは、本当は頭痛のことを考えると、あまりよくないんです。カフェインって、普段は使っていなくて、ときどき入ってくるからこそ、役に立つ物質なんです。例えるなら、お金が足りないときに1万円もらったらうれしいけれど、今自由に使える1000万を持っている人が1万円もらってもあまり意味がないのと同じです。
実際にこんなケースがありました
東京でお店をやっていて、平日だけお店に立つという、静岡のお茶畑の出身の方から、「週末だけ片頭痛になる」という相談を受けました。
その方はいろんな病院をまわって脳を調べても頭痛の原因がよくわからず、痛みどめも片頭痛の薬も効かなくて、途方に暮れて僕のところに来ました。
いろいろと話を聞いていると、その方は、自分の茶畑から玉露のお茶を送ってもらって、それをかなり飲みながら店番をしていて、店番をしないお茶を飲まない週末に片頭痛が起きることが判明しました。原因はおそらくカフェインのとりすぎ、と説明しました。玉露を、あまりカフェインが含まれていない番茶にして、最終的にノンカフェインの麦茶にしてもらいました。そうしたら、すっきりと頭痛がなくなって喜ばれました。日本茶は体に良いものですが、ものによってはカフェインが多いので、注意が必要です。
Q.そもそも、カフェインをとると眠気が取れるのはなぜですか?
人間の脳は、疲れてくると「アデノシン」という物質がたまります。この「アデノシン」に、「アデノシンレセプター」がくっつくと、人間の脳は「あ、今疲れているんだな、寝なくっちゃ」と感じます。
カフェインは、アデノシンがレセプターにくっつくのを邪魔する効果がある。だからカフェインをとると、脳が一瞬「まだアデノシンが少ない=疲れていない」と錯覚し、眠気がさめるように感じています。
要するにカフェインの効果とは、「眠気がとれる」ではなく「眠気を感じるところを麻痺させる」ことなんです。
でも、脳にたまっているアデノシン自体は増加しつづけるので、そのうちいくらカフェインをとってもとっても眠くて寝てしまいます。
現在、アデノシンを消す薬は開発されていなくて、寝不足は寝ることでしか解決できません。
脳は寝ている間も活発に作業をして、翌日に備えます。眠っている間に脳のシナプスをつないだり、修復をしたり、やり残した作業を終わらせたりしています。カフェインをとって睡眠時間を削っても、それは「問題の先延ばし」になるだけで、脳に負荷をかけるだけです。
Q.では、上手なカフェインのとり方を教えてください。
この「アデノシン」が少ない間、つまりそこまで疲れていないときはカフェインがよく効きます。
上手なカフェインのとり方の例としては、「カフェインナップ」「コーヒーナップ」と呼ばれる、カフェインを利用した昼寝がおすすめです。
カフェインナップの方法
- しばらくカフェインを飲まない状態を作って、カフェインが体にない状態を12時間以上作ります。
- 眠くなってきたら、コーヒーや紅茶などのカフェインをとってから30~40分昼寝する。
- 腸から吸収されたカフェインは20~30分後に効いてくるので、30~40分後に起きると、短い睡眠時間でも寝起きがすっきりします。
いつも仕事が遅いからずっとカフェインを飲むしかない……という人でも、よく考えると「馬力を入れてやらなきゃいけない仕事」と、「実はそこまで力を入れず、流してやってもいい仕事」「切り上げても良い仕事」があるはずです。がんばるときだけ、カフェインを飲む。早めに帰って、きちんと寝て作業効率の良い脳をキープする。そうやってメリハリをつけることが重要です。
長時間勉強・仕事をするときにも関わる
よく受験生に話をするのですが、8時間勉強するのと、そこから睡眠時間を削って10時間勉強するのとでは、割合で言うと10%アップぐらいに過ぎません。ところが、きちんと睡眠時間を確保すれば、脳の作業効率は2倍にも3倍にもできる。睡眠時間を削って、脳の効率を下げる代わりに時間を延長することなんてツライだけです。脳の効率を上げて持続的にやりとげるほうが、カラダも楽だし達成感がグンと高くなります。
「長時間仕事・勉強をする」から、「効率よく仕事をして、睡眠時間をきちんとキープする」という方向に舵を切りましょう。効率が悪くなると、仕事をしなきゃいけない時間が延びる、睡眠不足になる、効率が悪くなる……の繰り返しです。
Q.「休みの日の頭痛」を解決するにはどうしたらいいですか?
まずは寝すぎないこと。寝だめしたくなる気持ちもわかりますが、これまでもお伝えしてきたように、「毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝ること」が、頭痛を引き起こさない何よりのポイントです。
どうしても寝不足でたくさん眠りたいなら、一度平日と同じいつもの時間に起きて、前述した「カフェインナップ」をしましょう。カフェインを飲んでから二度寝をすると、カフェインの欠乏で頭痛になることもないし、寝すぎることもない。それだけで頭痛は減ります。
【まとめ】
それぞれ、思い当たる点が多い……という方も多いのではないでしょうか。
休日に頭痛になりやすい……という方、是非気を付けてみてくださいね。
さて、次回は最終回。「肩こりによる頭痛」や「二日酔いの頭痛」など、頭痛あるあるQ&Aをご紹介していきます。(後藤香織)
次回はコチラ
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監修:秋葉原駅クリニック 大和田潔先生
千代田区外神田佐久間町2−1大原ビル4F