【初心者歓迎】知っておくべきオペラの楽しみ方とおすすめ名作2つ

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オペラと聞くと、なかなかハードルが高いものだと感じている人も多いのでは? 『Precious』2月号では音楽評論家の加藤浩子さんをナビゲーターに、そんなオペラが実は単純明快でわかりやすく、初心者でも楽しめる内容だということを紹介しています。

 

■オペラ入門ガイド~楽しみ方~

そもそもオペラとは“作曲された歌の劇”。感情移入の動機を頭で考えるより、“身体ごともっていかれる”音楽と生身の声に身をゆだねるのが鑑賞方法としては適しています。難解と思われがちな筋書きも、実は1分もあれば説明できるものばかり。特に18~19世紀の恋愛作品群のテーマは「恋愛は障害があってこそ燃えるもの」という単純明快なものばかり。というのも、当時のヨーロッパは階級社会。ご法度である身分違いの恋など、満たされない願望を、映画の誕生する以前の大衆娯楽であったオペラがかなえた、という見方ができます。歓喜、嫉妬、孤独、諦観……。恋愛とは感情ごともっていかれるもの。オペラも同様に感情にまかせて身をゆだねながら鑑賞するのがいいでしょう。

 

■絶対見るべき名作恋愛オペラ2つ

『カルメン』 作曲ビゼー

台本:フランス語

初演:1875年

構成:4幕/約2時間30分

強烈な個性と魅力を放つ女を愛し、人生を踏み外した男の悲劇

いいなずけ同然のミカエラがいながらも、奔放な娘カルメンに惚れ、職務を放棄し、入れ込む真面目なドン・ホセ。しかし束縛を嫌うカルメンは別の恋人エスカミーリョをつくり、逆上したドン・ホセは彼女を殺害。いわば“三面記事”的な愛憎劇。序曲や行進曲風の<闘牛士の歌>など、必ず耳にしたことのあるビゼーのヒットメロディが満載で、舞台装置の展開も鮮やか。「カルメンは悪女か否か?」「一途に愛しすぎたほうが負け?」など、男女の真実をめぐる解釈が広がり鑑賞後の会話が尽きないのも魅力。

 

『ドン・ジョバンニ』 作曲モーツァルト

台本:イタリア語

初演:1787年

構成:2幕/約2時間45分

近寄るな危険!でも気にならずにはいられない行動する男

ドン・ジョバンニが、女を誘惑するだけでなく、その父親まで殺し、報いで地獄に落ちる。悪漢ですが、立ち止まらず“行動する男”の姿は魅力的。この手の輩は追いかけても無駄。しかし、父を殺されたドンナ・アンナ、一時だけ結婚したドンナ・エルヴィーラ、村娘ツェルリーナの3人の女たちが執拗に追い詰めます。敬虔、一途、滑稽と3者3様の女の性格と業を書き分けたモーツァルトの人間観察は見事。結末は、18世紀のオペラのしきたりにのっとり、道徳的な勧善懲悪の筋書きですが、感情のコントラストに満ちた作品です。

 

意外と昼ドラっぽい展開もありつつ、一流の音楽とともに感情にまかせて簡単に楽しむことができるなんて。これは是非体験したい!と思ったあなたには、是非オペラ初年度として今年こそオペラを体験してみてください!(坂田みやび)

Precious2014年2月号表紙

 

(『Precious』2014年2月号)

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